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ようこそ、異世界コンツェルンへ♪   作者: 三芳(Miyoshi)
※ トーマ ※
14/86

【13】※ to outfox each other(狐と狸の化かし合い) ※

《お詫び》


相手に筒抜けでわかってしまう心の声は

((○○○○○○))で表現しています。

相手にわからない心の声(というか、自分が思っている事)は

……○○○○○○……で表現しています。


かなり、わかりにくいとのご指摘がありましたので、説明させて頂きました。

すみませんm(__)m


「おい、あれ……」



アンリの声に顔を上げると、皆同じ方向を見ていた。



部屋の掲示板らしき物にいつの間にか、文字が浮かび上がっていた。

それは次のバディーと、それぞれの研修先を指示する物だった。



((まるで学校みたいだな…掲示板で発表って……なんだかこの世界にはそぐわない…))



「い~や、ここには有用な物なら、古今東西を問わず色々あるぞ。探してみるのも一興だ。一緒に探すか?(笑)」



トーマの久しぶり?の明るい声に、何故か心底ほっとした。



……いや、トーマに騙されるな!……

なるべく…自然に…トーマに悟られてはならない。…



「掲示板が有用か?むしろ各々の頭に直接送ったほうが早いだろうに…それに、次回はお前とはバディーじゃないし、行く先も違う。」



最初とは違い、バディー毎に行く部署が違っていた。



「……まぁ、ユーキくんたら、いつの間にか反抗期!?お母さんは悲しいわぁ~ヨヨヨ(泣)(笑)」



トーマのいつものペースに俺は巻き込まれそうになる。



「いつの間に俺のおふくろになったんだよ!」



「…じゃ、やっぱりアニキな!」



「………。」



……いや、むしろ巻き込まれていたほうが自然でいいのかもしれない。だが、本来の目的は忘れない。…



「まぁ、冗談はともかく…行く先は違うが、ユーキならどこに行っても大丈夫だ、俺が保証する。」



……冗談を言ったかと思えば、真面目な話……トーマの話術は巧みだ。騙されてはいけない。……



「…ありがとう…。」



「まっ!素直なユーキくん、やっぱり可愛い!キャッ(笑)」



「お前な……。」



「…真面目な話、最初に行った案内人の仕事は、初歩の初歩だ。これから行く先々の研修は難易度が上がる。心してかかれよ。」



「…わかった。」



「特にユーキにとっては、難易度高めの仕事もあるからな。」



((特に俺にとって?…どういう事だ?))



「…怒らず聞けよ、要するにぬるい世界から来た者にとっては、しんどい現場もあるって事さ。」



「……怒りはしないさ。」



……確かに自分の記憶はないが、俺のいた世界の知識は残っている。多分、他から見ればぬるい環境なのだろう。……



「一緒に行ってやれたらいいんだが…二度目からは上が決める事だからなぁ。」



「上か…。」



……上、つまり会社の上層部の事だろうが、どんな奴らなんだろう?……



俺は迂闊にも、初めてそう思った。

何もかもがよくわからない、この無限の世界。それを管理しているという『異世界コンツェルン』という会社組織。

その組織の全容は全くわからない。そして、どんな奴らがこの会社を仕切っているのかも…。



「…なぁ、上って…?」



小声で言った俺の言葉を遮るようにトーマは話し始めた。



「何でも、最初の研修の様子から、研修生の特性を見つけ、二度目は、より活躍出来る部署に行かせるんだと。一度で特性が見抜けるとは、見上げたもんだ。俺なんかはもう何度も来ているからなぁ…きっと特性どころか尻の穴迄見られているんだろうな(笑)」



((尻の穴って…例えが下品だろう))



……上層部についての質問をはぐらかした……それなら……



「何故下品だ、お前にもあるだろうが(笑)」



「魂になった今、あるとは思えないが?食物を食べない以上ある必要もないだろう…。」



「ぷふっ、それもそうだな…。」



「…なぁ、トーマ…。」



「なんだ?」



「お前はよく『上』って言うが…それは会社の『上司』の事か?」



……俺は思いきって、トーマがどういう反応を見せるか、敢えて『上層部』ではなく(トーマの)『上司』という意味合いを込め、質問をしてみた。



「ん……そうだなぁ。お前がどういう意図で俺にその質問をしたのかはわからんが…。」



トーマは下を向いている。表情が読めない。



……俺が疑っている事に気づかれたか?……

動悸が激しくなってきた。



「…上は上さ。お前のいた世界では、会社の上と言えば誰の事を指すんだ?上の顔とか見た事あるか?」



「……それは…直接の上司か、会社の上層部…社長とか役員の事だが……社長も顔位は見た事があったと思う。」



「そうか、じゃ、同じ意味だ。だが、俺は上の奴を見た事もないし、会った事もない。」



トーマは相変わらず下を向いている。



「…そうか。…」



俺も微妙な空気感に、トーマを直視する事が出来なくなった。



「…なんか、わからんが…ガッカリさせたようだな。」



「いや、別にガッカリなんかしていない…。」



顔を上げると、トーマは俺を見て微笑んでいた。



「顔は見えずとも、存在自体怪しくても、俺達に指令が下るのは事実だからな。俺らは、ここでのルールに従って行動するだけだ。」



……存在自体怪しくても?…どういう事だ?…





「歓談中すまない。ユーキと話したいんだが…」



声をかけてきたのは、アンリだった。

正直、助かったと思った。



……歓談?……少なくとも心を割って楽しく話しをしていた訳ではない。

狐と狸の化かし合いといった所か…だが、トーマの方が一枚上手だったと思う。……



「おお、そうだな。一通り報告会は終わったから、次のバディーとの話し合いは必要だな。俺もフィンの所に行くとするか。」



トーマはそう言うと、立ち上がり



「ユーキくん、でも浮気はダ・メ・よ!(笑)」



そう言い残し、去っていった。



「浮気とはなんの事だ?」



「…トーマの冗談だよ。気にしないでくれ。」



「…そうなのか…」



トーマは、真面目なアンリに対しては、変な冗談は言った事がないのだろう。



【あとがき雑学】


『コンツェルン』≒財閥


「法律上は独立している複数の企業が、資本を通じて結びつき、実質的にひとつの企業になっている形態の一つ。

更に、持株会社が株式の取得を通じて参加企業を結合・支配し、強い市場支配力を持った巨大な企業集団のこと」


日本の財閥は、第二次世界大戦後解体されました。

現在、独占禁止政策で各国とも、市場支配や価格の吊り上げを狙いとする企業の買収や合併を認めていないので、「コンツェルン」は実質なくなりました。



『コングロマリット』=複合企業体


「法律上は独立している複数の企業が、資本を通じて結びつき、実質的にひとつの企業になっている形態の一つ。

経営の効率化、事業の多角化要請等に基づいて形成された複合企業体のこと」


形態は同じですが、目的が違いますね。

現代は「コングロマリット」が主流です。

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