表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/39

確かめてみようかな(電子書籍配信記念SS)

5月4日、電子書籍(上巻)の配信が開始されました!

※甘いちゃ注意。

 ルーク様と婚約して、私は幸せな毎日を送っている。


 けれど最近少し、悩んでいることがある。


「……ちょっと太ったかしら……?」


 これは幸せ太りというやつだろうか。

 王城で出される食事はすごく美味しいし、食事マナーもだいぶ身に付いて余裕が出てきた私は、毎食綺麗に完食するようになった。


 それに、ルーク様はよく私のためにデザートを用意してくれる。


「……たんに私が王城の美味しいごはんを食べすぎているせいね」


 少し痩せなきゃ。

 

 そう思いながら夕食後に自室のソファで休んでいたら、扉をノックする音が聞こえた。


「フィーナ、いいかな」

「はい! どうぞ」


 ルーク様だ。


「アリエラがお菓子を焼いてくれたから、一緒に食べようと思って」

「えっ、お菓子ですか?」

「ああ、好きだろう?」

「ええっと……」


 確かに、甘いお菓子は大好き。


 マドレーヌやマフィンのような焼き菓子を、私の前にあるテーブルに置いたルーク様は、とてもにこやかに微笑んでいる。


「私は、遠慮しておきます……」

「え? どうして?」


 どうして、と言われても……。


 ちょっと食べすぎて太ってきたので!


 なんて、恥ずかしくてルーク様には言えない……。


「……フィーナ? どうかしたのか?」

「その……」

「もしかして、お腹が痛いのか?」

「いやぁ……」


 言い淀んでお腹に手を当てていた私を見て、ルーク様が心配そうに問う。


「それは大変だ。今医者を呼んでくるから、少し待っていてくれ」

「あ……っ、お待ちください……!!」


 医者を呼ばれるのは困る。


 だから慌ててそう声を張ると、ルーク様は不思議そうにピタリと止まって私に視線を向けた。


「その……」

「なにかあるなら、なんでも言ってほしい」

「実は……」

「うん」


 私の隣に座って、真剣な表情で私を見つめるルーク様の視線がとても優しくて、つい逸らしてしまう。


 そんなに心配されると、とても言いにくいのですが……。


「最近、少し食べすぎなので……」

「そう? フィーナはもともと少食だったから、今で普通くらいじゃないかな?」

「ですが、少し…………太って……きて……」

「え?」

「……」


 聞こえたのか、聞こえなくて聞き直したのかはわからないけれど。

 ぼそぼそと呟いた私の言葉に、ルーク様は大きな声を上げた。


「ですから、最近少し太ってきまして……!!」

「……」


 そんなルーク様の反応に、思い切って大きな声を出してから、はっとする。


「すみません……! そんなに大声で言うことではなかったです……!!」


 いくら私たちの他には誰もいないとはいえ、これではまるで逆ギレしたみたいだ。


 落ち着こう……。


「なんだ、そんなことを気にしていたのか」

「そんなことって……!」

「フィーナは全然太っていないよ?」

「ルーク様は知らないじゃないですか……」

「……そうか。では」


 一瞬の間を置いた後、なぜか口角を上げてそう言ったルーク様に疑問を感じた直後――


「……!!」

「……うん、やっぱり太ってなんかいないよ?」


 ルーク様に抱きしめられたと思ったら、彼の手が私の背中を撫でるように這った。


「ル、ルーク様……」

「フィーナは細いが、やわらかくてとても抱き心地がいいな」

「……っ」


 嬉しそうにそう囁いたルーク様の手が身体を這って、くすぐったい。


「やっぱり、やわらかいということは、少しダイエットしたほうが……」

「必要ないよ。でも、そんなに言うなら――」



〝直接確かめてあげようか?〟



 そんな言葉を耳元で囁かれて、私は顔から火を噴いた。


「そ、それはどういう意味ですか……!??」

「さぁ、どういう意味だと思う?」

「……!!」


 くすっと小さく笑ったルーク様に、からかわれたのだと察した私は、彼の胸に手を置いて力一杯押し返した。


「もう、そんな冗談やめてください……!」


 きっとまだ顔が真っ赤になっていると思うから、顔を背けるように彼に背中を向けた私に、ルーク様の手が伸びてきた。


「冗談でもないんだけどね?」

「え――?」


 そして、あっという間に私の身体はソファの上に倒される。


「俺を突き放すなんて、ひどいな」

「ル、ルーク様……?」

「やっぱり直接確かめてみようかな」

「ちょ、ちょっと……待ってください――!!」


 そう言って、今度は仰向けになっている私の脇腹辺りに手を這わせるルーク様。


「愛してるよ、フィーナ」

「そんな言葉で誤魔化されませんよ……!!」



 楽しそうに笑うルーク様の頭から、魔王のそれらしい触覚が見えた気がした。




お読みいただきありがとうございます!

約二年ぶりの更新です……!

このお話は私が初めて書いた異世界恋愛小説です。

電子書籍として刊行していただけて、本当に嬉しいです!

刊行を記念しまして、二年ぶりにSSを投稿してみました。

二年前とは書き方が少し変わっていますが、書籍版でも大幅改稿しておりますので、よろしければそちらもよろしくお願いいたします!

活動報告にてフィーナとルークのお顔が見られる書影を公開しておりますよ~(*^_^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ