表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
complementary color   作者: 小鳥遊あん
3/10

red


『こんな会社すぐに辞めてやる』


そう思いながらも世間体を気にして辞める事が出来ないまま1年が過ぎた頃、俺は大きなミスをした。


常磐(アイツ)が居なくても俺だけで出来る』

不在だった常磐の確認を取らず進めた企画に最終段階でミスが見つかった。


ぎりぎりで大きな損害は免れたものの取引先にまで迷惑をかける事態になった。



『もう無理だ。辞めようー』



ミスがわかった時に思ったのはそれだけだった。


自分のミスを認めたくもなかったし、これ以上常磐から陰湿な言葉で責められる事にも耐えられなかった。



俺は逃げる事しか考えていなかった。



だがミスの発覚後常磐からは何の叱責もなかった。


もちろん取引先へのフォローなどやらなければいけない事が山のようにあったが、それでもいつもの何倍もの嫌みを浴びせられると思っていた俺は拍子抜けし「辞めます」の言葉を出す機会(タイミング)を見失ってしまった。


辞め損ねた俺は仕方なく常磐と後処理に奔走したが、その間も険しい顔をしているものの交わすのは最低限の言葉だけだった。



『もう俺には怒られる価値すらないのか』



常磐からの叱責を恐れていたはずなのに、いつの間にかこんな事を考えていた。



ーだが違った。



「俺は降格でも異動でも構いません。ただ、蘇芳(アイツ)には企画(いま)の仕事を続けさせて下さい…!」



俺の居ない所で常磐は上司に頭を下げていた。



この目で見て、聞いても信じられなかった。

俺の事が気にくわなくて、いつも些細な事で嫌みを言う常磐がー。



そんな事を思い出しながら本からまたそっと目線だけを上げると常磐が煙草を灰皿に押し込むところだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ