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俺、蘇芳浅緋は順風満帆な人生を歩んでいる…はずだった。
クォーターで肌も髪も目も色素が薄く、スラッとした長い手足。
タレ目がちで笑うと幼く見える優しい顔立ち。
俺は小さい頃から自分が他人の目にどう映るのかを理解していた。
この顔で愛想の良い優等生を演じていれば人生なんて楽勝だー。
そう思っていた。
華の学生生活とは裏腹に就活は最低で最悪だった。
希望していた企業は全て落ちた。
それどころか『ここは無いな』と嘲笑っていた会社にさえも採用されなかった。
人生で初めて追い詰められた俺は手当たり次第に面接を受けようやくちっぽけな会社に入った。
思い描いていた物とは全く違う生活にやる気は無く、俺は長年被ってきた優等生の仮面を脱ぎ捨てダラダラと無気力な日々を過ごした。
先輩の常磐からは毎日嫌みや小言を言われ続けたが『俺はこんな所にいるはずじゃない』と全て聞き流した。
そして入社してから1年が経った頃俺は大きなミスをした。