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『龍虎の契り』番外編//コッコちゃん part,2

燦々と太陽が降り注ぐ穏やかな朝。のはずだった。

棗を快く送り出し、コーヒーを愉しみ、忙しくて棚上げにしていた読書などをし、日がな一日のんびりと過ごすつもりだった。

だが、蓋を開けると、いやベランダを開ければそこには李仁が恐れてやまないニワトリという名の恐竜が待ち構えていた。


①お布団を干したので一度ひっくり返してから日の高いうちに取り込む事。


②コッコちゃんのおうちの掃除をする事。汚いと卵を産んでくれませんよ!


③ご飯をあげる事。大事です!


④洗濯物を取り込む事。これも日の高いうちにお願いします。


⑤明日の朝、必ず卵を生んでいるので取りに行く事。これは食べて良いですからね❤️


では行ってきます。   棗


何が良いですからね、はーと、だ!


棗からのミッションはご丁寧にもニワトリのマグネットで冷蔵庫の扉に貼り付けられていた。


ミッションはたかだか5つだ!されど5つだ。だが全てのミッションはことごとくベランダに行かねば達成できないものだった。

家のベランダは結構な広さがあったが、見ればゲージで囲ってあるとは言え半分はコッコちゃんに占拠されている。だがゲージの存在はありがたい。足元に迫ってこなければいいのだ。

昼を待ち構えて李仁は布団の裏返しを決行した。

彼女に気づかれぬよう抜き足差し足でベランダに出たもののすぐに勘づかれて睨まれる。

そこで冷蔵庫にあった白菜を一枚ぶっちぎって人身御供よろしく放り投げてやると、浅はかにもそっちにコッコちゃんは飛びついた。

その隙になんとか布団はひっくり返してみたものの、取り込むためにまたベランダに出るかと思うと片干しでも良いやと李仁はズルして早々に取り込んでしまった。

棗が居れば怒られただろうが今日は自分一人だ。セーフ!

「何がセーフだ李仁!(作者の声)」何処からか誰かの声がしたが李仁は無視する事にした。

ミッション②は難しそうなので、先にミッション③から始めよう!

コッコちゃんにご飯をあげる事。

よく見るとまだ餌箱は空ではなさそうだ。それにさっき投げつけた白菜を猛烈な勢いでつつき倒している。葉っぱのあたりはほとんど無くなっているではないか!

これじゃあ飯も要らんな。ふむ!


意外とミッションがサクサク進む事に気を良くし、難しいと飛ばしていたミッション②小屋の掃除に取り掛らねばならぬ時が来た。

武器はないか何か武器は!

たかだかニワトリに何の武器がいると言うのだ李仁!

ちょいちょい作者の言葉が入るが気にせず進もう。

とりあえず、チリトリを盾に使うことを思いつく。ニワトリをチリトリで牽制している間に箒で散らばっている藁クズをフンと一緒に掃き集める。


「何だ。意外と簡単だな!ふふふ!恐れ入ったか!恐竜め!」


だがゴミを掃き集めたと言うことは、チリトリで取らねばならぬと言う事だ。

李仁がうっかりチリトリを下げた瞬間、小学校のあの時以来の悲劇は再び響き渡った。

ベランダにコッコちゃんの羽ばたきとともに羽毛が散った。


「う~わあぁぁぁ~っ!!!」


何が起こったかは諸君らの想像通りである。

いや、それ以上の悲劇に見舞われていたのである。

飛びかかってきたコッコちゃんを避けようと李仁が縋ったのは洗濯物だった。・・・と言う事は?

と言う事である。

せっかく綺麗に干し上がっていた洗濯物は竿ごと落っこちて、コッコちゃんと李仁の足跡だらけになり、その夜李仁はコインランドリーで棗からの電話を受けるハメになった。


「あ、棗か、うん、こっちは大丈夫だ万事うまく行っているよ。心配無用だ!はっはっはっ!オレを誰だと思ってるんだ、うん、オレも愛してるよ。お休み棗(涙)」


疲れた!疲れたよ~っ!なつめー!!



李仁は久々にゆっくり眠った。こんなに深い眠りは久しぶりだった。が、今朝はいつにも増してベランダが騒がしい。


悲鳴のような鬼気迫るコッコちゃんの鳴き声と、バサバサと羽を羽ばたかせる音で李仁は目覚めた。


「なんだ?どうしたんだヤツは!」


眠い目を擦りながらカーテン越しにベランダを見ると、何やら大きくて黒い影が羽ばたくのが見える。

それと同時にアタフタと地面を跳ね回るニワトリの影。カーテンを開けるとなんとカラスがコッコちゃんを狙ってアタックをかけていたのだ。

カラスは羽を広げると結構デカイ。デカイがそんな事も言ってはいられない。カラスは何度も降下してコッコちゃんをつけ狙っていた。

カラスはその気になれば子猫くらいは持ち去ってしまうと言う。思わず李仁は裸足でベランダに飛び出していた。必死に箒を振り回して追払う。


「こらっ!!何しやがる!!しっしっ!あっちへ行け!」


その甲斐あって、カラスは諦めて飛び去って行ったが朝から思わぬ労働をした。

息を弾ませながら足元を見るとコッコちゃんは自分の寝床の周りをウロウロと歩き回っていた。

見れば寝床で今朝一番で産んだであろう卵が割れていた。


「あー…、カラスにやられちまったのか」


自分は毎朝食べていると言うのに、何故かコッコちゃんに同情していた。気づけば李仁は普通にコッコちゃんと対峙している自分に気がついた。

昨日の騒ぎはなんだったのか…。

本人よりも作者がそう思ったのであった。


ー続くー


なんと!part,3があるらしい!!


恥ずかしげもなくpart3へと続きます!今度こそは完結です!

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