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1話 時間停止モノ






『時間停止スキル』

①『止まっている時間の中で好き放題動ける』

②『自分が触っている部分は時間停止が解除される。』

③『時間停止中の感覚は時間停止解除後に体にフィードバックされる。』と

④『時間を止めている中で動くものは、老いない。』

⑤『ある一定以上の痛みを関知すると自動的かつ瞬間的に時間停止状態になる。』



時間停止モノ、のエロい本やゲームってある。


おれはそれが大好物だった。



前世で女神様のミスとかで、夜中に公園を歩いてたら隕石が頭に落ちて死亡してしまった。


どうせくずみたいなキモオタデブニートで人生詰んでたから別にいいんだが。


おれの人生の大どんでん返し。お約束で異世界にチートスキル持たせて転生してくれるっていう。

「どんなスキルでも、いいよ。あなたが好きなように条件付けしていい。」

そういった女神の言葉に耳を疑った。だから俺は時間をすごくかけて完璧な能力を手に入れようと考えた。

そして、おれは手に入れた。



『時間停止スキル』


これは、時間を停止するスキルである。



時間停止とは、つまりその間うごけなくなる。


その①『止まっている時間の中で好き放題動ける』

というスキルである。


さらに、おれは考えた。僕の欲望を満たすためにはどんな能力がいいのか。



②『おれが触っている部分は時間停止が解除される。』


これで、例えばお尻をさわっていれば、おしりをもむことができるし、おっぱいをもむことができる。しかし、時間は止まっているので、触られている方は動けない。あくまで俺が触れている部分のみ解除されるということだ。


そして時間停止ものには、二通りのパターンがある。



一つは、時間停止中のことは何もわからないパターン。

知らない間にいろいろされちゃってて、された後もわからないっていうパターンだ。


そしてもう一つは時間停止中のことが時間停止解除後に、フィードバックして一気に体に駆け巡るというパターン。


おれは断然後者が好きだ。


そこで


③『時間停止中の感覚は時間停止解除後に体にフィードバックされる。』という条件をつけたした。


そして、よく時間停止もので見かけるバッドエンドを避ける。


④『時間を止めている中で動くものは、老いない。』


さらに話を聞いたところ、転生される世界は、いわゆる超能力のはびこる世界で、一人一つは必ず異能力、つまり、スキルを持っているのだとか。


そのこの時間停止の力についてもスキルとして発現するのだという。


全員がこんなとんでも能力を持っているのだとしたら、時間停止スキルは万能ではないかもしれない。


そこでおれは条件をもう一つ付け加えた。


⑤『ある一定以上の痛みを関知すると自動的かつ瞬間的に時間停止状態になる。』


こうすれば例えばなんらかの能力で後ろから刺されたとしても、それを認識していなくても、強制的に時間停止になり、そこから逃げたり反撃できたりするだろう。





これで大丈夫なはずだ。


そしておれは、転生される。転生後の世界のことは、そのうちわかるからと言われた。とりあえず今までの知識などは全く役に立たないらしい。まあ、いい。この能力さえあればなんとかなる。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



無事に転生を終えた俺は、今日で15歳になる。15年。このときを待ちわびた。


この世界の人間は15歳になるとき、神殿で洗礼を受ける。そのときに飲む特殊な水がスキルの発現を手伝うらしい。


なので普通、15歳までは普通、学校で義務教育を受け、スキルを発現させ、就職するというのがこの世界の王道だ。



しかし、おれが転生した家は少々というか、かなり特殊な家庭だった。


大貴族イシュタルト家 この貴族は伯爵の位をもちながらも、政界での発言権もかなりある。その理由はその稼業。暗殺業だ。

その大貴族の8つある分家のうちの一つブリック家の三男として生まれた。


この家族は、普通の学校教育のほかに、朝早くと夜遅くに特別な教育が施されている。つまり暗殺のだ。


その全般はかなり多岐にわたり、暗殺には様々な知識と技術が必要とわからされる。


そちらの成績はまずまずといったところだ。俺が目指す無双を達成した場合一番怖いのがこの暗殺だろう。なのでそちらの手の内を知っておけば、僕が暗殺されることもない。


そう思って熱心に取り組んでいる。


しかし、普通学校の学業の方は・・・・かなり適当だ。というか基本行っていない。


そして知識や技能ではなく、体術や戦闘技術といった、普通の男の子なら熱を上げる部類のことにはまったく疎い。サボりまくっている。

それで、家からの反感はすごい。勉強ばっかやってるくせに、学校の勉強はまったくやらないし、かといって暗殺業に一生懸命でもない。と思われている。


おれは自分が何の能力をもらえるかを知っているから体術とか戦術とか、必要無いのだ。


そのせいで敵も多い。基本的に運動不足でおいしいものばかり食べているからぶくぶくに太っている。その見た目のせいもあるが。特に女子からのヘイトが高い。


だが、それはある種おいしい。嫌われれば嫌われるほど、スキルで無双するときの快感はでかいだろう。



そして今日。新学期最初の日。この日はいかに不登校な僕でも、登校せざるをえない。この日に、神殿に行き、神酒と呼ばれる水を飲み、スキルを発現させるからだ。

朝みんなで学校に併設されている神殿で、神酒をもらう。

教室にそれを持って行く。


「・・・おい、あいつ、ほんとに来たぜ。」


「ええ、なんかぐひぐひ笑ってる。へんな妄想してるンじゃない?」


「ああ、あいつのスキルなんだと思う?鼻くそをでかくする能力とかじゃねえ?」


「いや、体臭を二倍にするスキルだよきっと。」


「え、それやばくない?あいつの場合、効果はスカンク並だから脅威だよ。」


口々におれを罵っている。


そっちの方を無言で見つめて、奴らがだまる。おれは、そいつらの言葉通り、脳内で妄想しまくっているんだが。


「きゃあ、きも。こっちみてにやってした。」


「呪いをかけるスキルだよ。いまぜったい呪われたよ。」


「君たちは、陰で人の悪口を言うスキル、かな。」


そこに現れたのは美少女。

学級委員。そしておれのいとこで幼なじみのノア。

茶髪の髪の毛をロングに伸ばし、ポニーテールにしている。身長は165センチほど。おれの目では、スリーサイズは85ー58-83のCカップ。


ノアが一言言っただけでぐちぐち言ってた脳みそなしくず女男は、黙った。


気の強い彼女は、おれを飽きずに学校に誘ったり、たまに話しかけてくれるいい女の子だ。そしてかわいい。うん。嫁一人目だ。



「おはよう、ルイス。今日は来たね。えらい。」


「おはよう。ノア。すまない、助けてくれてありがとう。」


「別に助けるつもりなんてないよ。それに君はああいうのに強い。余計なお世話だと思ったが私の気分が悪くなるのでね。」


この人は、本当にいい人だ。

だが、この人はその実、凄腕の暗殺者でもある。おれたちイシュタルト分家の中でもすでに頭角を現している。スキルを使わない殺人術なら彼女がトップだろう。


「ノアはどんなスキルかな。どんなスキルがほしい?」


「ん?別に何でもいいよ。字がきれいになるスキルとかだとうれしいな。」


「ぐふふふ、完璧超人だね。そんなことが言えるのは君くらいだ。ぐふふふ。」


そう、実際にはそういう全く必要ないスキルの割合の方が多い。例えば、『おならがくさくなるスキル』とか、『頭皮から汁が出るスキル』とか、『コントロールがよくなるスキル』とかだ。実際に使い勝手があるコントロールのスキルなどはまだマシな方。


「いやあ、そういう君はどうなんだい?」


「おれはいいんだ。気にしない。」


「君も一緒じゃないか。そうスキルで別に人は変わらない。大事なのは中身さ。そして何をなすか。」


「すごい達観しているね。」


「そんなことないよ」


照れくさそうに、にひひと笑うノア。そういう笑い方もギャップがあって本当にかわいい。


そんな俺と普通に話していることが信じられないような目で見るさっきのモブ男モブ女たち。そしてノアのこういう行動こそ、

おれヘイトをつくる要因になっていることに、本人は気づいていない。


「そういえば、聞いたか?今日は、本家の方々も登校するらしい。」


ひっそり声で僕に言う。

おれたち分家筋は、この学年にも何人もいる。その分家筋たちが一斉に緊張しだした。

暗殺業にいくらさぼりぎみのおれでも、他人の気配をよむくらいはこの15年でできるようになっている。というかもともと得意だしな。空気を読む、ということが。


「本家って、ナンバーズが?」


本家には、英才教育どころじゃない教育施設がある。本家に子供が生まれると、その年齢と同じ子供をさらったり、拾ったりして育てているのだ。暗殺者を育てるための施設。その中に本家の子供自体も混ぜられ、日々想像を絶するような恐怖の訓練が行われているらしい。

そこで育てられた子供は、ナンバーズと呼ばれ、誰が本当の跡取りかわからなくするという狙いと、本家の子供と同等の力をもった子供を養子として何人も迎え入れるという狙いがあるらしい。

要は、凄腕の暗殺者たちだ。

特に今回のナンバーズはすごい。歴代で最高峰らしい。15歳になってもいないのに、ナンバーズが今まで暗殺した数は、三桁を超えるといわれている。


ノアですら、まだ5人だ。

格が違う。


だが、正直、そんな奴らよりも、俺の方が強い。

俺のスキルは無敵なのだ。

自然と笑いがこみ上げる。


「うげ、またニヤニヤしてるよ気持ち悪」


「ほんと、まじ来ないでほしい。あいつがくるだけでみんなのモチベーションが下がるって言うのに。」


また、外野が影口を言っている。知ったことか。愚民どもが。


バン!


神殿の扉が勢いよくひらいた。


「おう!!みんな初めまして!」


さわやかなイケメンがたっている。おお、本当にきた。


「俺の名前は、リュート!!!よろしくな!!今日はスキルをもらいにだけ来た!」


元気なやつだ。

だが、筋骨隆々なその出で立ちは男の俺が見てもかっこいい。そして快活な声、爽やかな笑顔。まるでキラキラ輝く星が周りを照らしているかのよう。

幾人もの主に女子がその一瞬でハートを射貫かれていそうだ。隣の人も実はすでに射貫かれている。



「!!おまえ、リュートなんて名乗っていいのか?」


「あ、そっか。ナンバーズは名前を言ってはいけないんだったっけ。まあいいだろ。おれが何番か知ってるやつの方が少ないし。」


「そういうずぼらなところがいけないって言われるんだ。ほかのナンバーズの方たちは?」


誰に対しても、それこそおれに対しても君、と呼ぶノアがおまえ、と呼ぶ。そう、二人は恋仲なのだ。だが、分家と本家では結ばれることはない。


禁断の恋だ。


そしてそれを引き裂く男が、おれだ。ぐふふふ。


「お、ほんとに久しぶりだな!ルイス、元気だったか?」


そう。リュートとおれは面識がある。いつか一度だけ、庭で三人で会ったことがあるのだ。

そのとき友達になろうっていきなりこいつが言ってきた。そういうやつだ。いいやつだ。その顔を憎しみで染まらせると思うと、ゾクゾクする。


「ああ、」


「相変わらず、辛気くさい笑い方してるな。直せよ女子に嫌われるぞ。」


「ぐふふふ、まあいいのさ。おれはこれで。」


「そうかよ。ああ、あとで何人か紹介するな。だが、まあ、ちょっと気難しいやつが多いから、お前らはあんまり俺に話しかけない方がいいぞ」


そういうと、後ろからぞろぞろ入ってきた。


だれもリュートみたいに、挨拶はしないし、むしろほとんど顔すら見せてくれない。

11人か。これがナンバーズ。


みんなが神酒をもらって教室に移動する。一斉に飲むのが習わしだ。


飲むと、いきなり能力が出てくるわけではないらしい。もともとおれたちの中にある力の使い方をなんとなく神が教えてくれるんだそうだ。

そしてこの日は、それぞれ力を使ってみて、どんな力だったか報告するという日。つまり自己申告。


おれは報告する力を決めていた。それは、『指の関節が柔らかくなるスキル。』


実は、こういうスキルが一番多い。そしてごまかしやすい。おれらイシュタルト家は、だいたいこういうスキルで自分の力をカモフラージュするのが通例だ。そしてそれが嘘にならないように訓練もする。


そして家に帰ってから普通は本当のことを報告し、その日から暗殺へのスキルの生かし方研究になる。

だが、たまあに嘘の報告の方が使えるスキルの場合もある。そういう場合は、スキルなしの暗殺能力を高めるしか、この家での生きる道はない。


事実、嘘の報告が本当になってしまった男が僕の父親だ。長い歴史の中で彼一人だそうだ。

そして彼は指の関節が柔らかくなるスキルを見事暗殺に取り入れたのだからすごい。



まあ、そんなことを考えているうちにとうとう教室にやってきた。


教室には机と椅子がある。前世の学校とほぼ同じスタイル。

だがいつもと違うのは、いつもは一番後ろの席のはずの僕の後ろに、二つ席があった。


ナンバーズの席だ。ほとんど顔も見れないから、男か女かもわからないけれど。


ちょっとドキドキする。でも、この人たちも、条件は同じだ。関節が柔らかくなるスキルかもしれない。



この人が凄腕の暗殺者だと知っているのは、この教室では、僕とノア。あとの生徒はこの日だけ来る留学生のようなものと考えている。場所によっては、神殿が足りないから、こういうほかの地域まで神酒を取りに来る人は、結構な数いるのだ。もちろん、ほかの教室にもいる。ナンバーズたちもそれに紛れているのだ。そして、この教室には、二人。一人は、普通に来た一般人のよう。もう一人は、ナンバーズ。僕の後ろに座った。


ごくり。


なんとなく、緊張する。


顔は見えない。隠している。白いお面をつけているのだ。


「きみ。だいじょうぶか?顔色悪いぞ。」 ノアが心配そうに見てくれる。ありがとう嫁よ。


「あ、ああ。だいじょ」


「ねえ。」


びくっとした。

話しかけられた。透き通った声。芯のある、心に響くような声だった。中が女の人だとは思わなかった。


「へ、ふは、ほ、おぼ、ぼぼくでしうか?」


言葉が出てこなかった。しかも僕じゃなかった。


「リュートの友達?」


「ん?ああ、私か。そうだよ。ナンバーズの人。驚いた、女の子なんだね。」


「・・・そう。」


「君、それ、どうやって飲むの?」


「・・・仮面、外して飲むよ。」


「そうだよね。はは、ちょっと気になってね。かわいいお面だね。」


「・・・ありがとう。」



すげえな、ナンバーズと普通にしゃべっている。



「じゃあ、またあとで。ルイス。」


そういって、自分の席に戻っていくノア。


その後、先生がきて、神酒の飲み方の注意点を説明し出す。


もちろんそんなことほとんどの生徒が事前に知っているため聞き流している。


おれもそうだ。


さあ一斉に飲むぞってなった。


みんないっせいに飲んだ。


もちろん俺も。







さあ、ショータイムの始まりだ。


となりの席には、このクラスナンバーワン巨乳。推定Fカップのフェイルがいる。


できるだけ爽やかな笑顔で話しかける。


「やあ、スキル、どうだった?」


途端に気持ち悪いものをみた顔になるフェイルたん。


うん、うん。その調子。


「おい、フェイルさんに話しかけるなんて、どういうつもりだよ。」


「まさか、なにかしようとしたってか?」


「いいスキルが手に入ったのか知らないけど、身の程知らずだな。」


男が三人いきり立って、こちらにきた。


フェイル端親衛隊。ユーマ、ロイ、セント。


最初に僕にぶっころされる予定のモブキャラ三体だ。


フェイルたんに、にこって笑顔を向ける。


本当に土気色になって気を失いそうになっているフェイルたん。そんなにかっこよかったか、僕の笑顔。


ぐふぐふふふ。


ああ、このたわわなおっぱいを、ついにもめるときが来たのだ。



15年、いや45年も待った。


待ちに待った。

いざ。


ザ・ワールド!


時よ止まれ。



問題なく止まる。

辺りを見回す。


37秒で動かない時計。



なにか叫んで空中で止まっているロイのつば。


間違いなく、間違いなく時が止まっている。


これだ。長かった。ついに手に入れたこの力を。

















しかし、異変を感じた。


うごけない。


なぜだ。動けない。


おかしい。

条件①『止まっている時の中でも自由に動けるスキルである』

これが満たされていない。話が違う。



く、だが、だがしかし、目の前には夢にまで見たフェイルたんのたわわ。

これをもまねば、今までの人生なんだったんだ。


絶対、絶対もんでやる。


体感で5時間ほど、動こうともだえたが、どうにもできずギブアップ。いったんスキルを解除する。


そう、神酒を飲んだとき、その方法を思いついたのだ。

どこに力を入れると、スキルがオンオフできるか。脳みその右上らへんとしか言えないが。そのあたりに力入れるとできる。


動き出す、はずの時間。しかし、急に、予期せぬ、痛みがルイスをおそった。

強制的に時を止め、瞬間で止まった世界に戻ってくるルイス。



なんだ。なんだこれ。


わけがわからない。


何を間違えた。


もう一度スキルをとこうにも。痛みがすぐ来てまた時間が止められる。いや正確には止めているのは俺自身だ。


え、理由がわからない。


なんどやっても痛みが来る。

いま、この瞬間に誰かに攻撃されているのだろうか。


そしてこの無限に止め続けられるエンドレスからは、逃れられるのだろうか。


ああ、ここで、条件④『止まった時間の中では老いない』がきいている。

おれはこの無限の地獄の中から永久に抜け出せることもないのだ・・・・・・。


















あれから、一ヶ月がたった。

いまだに俺は止まった時間の中にいる。

しかし、進捗はあった。

止まった時間は解除できるようになった。そして何が起きているかりかいができた。



鍵は、時間だった。あのあと、すべてに諦めた俺は、止まった時間の中で、寝た。


三日ほどねたあと、時間を停止を解除してみたら、意外と大丈夫だった。

そのかわり、汗が大量に出て、失神。そして頭をぶつけてまた時が止まった世界に戻ってきた。


おれはそこで考えた。三日ほど。


つまり、回復したのだ。三日で。なにから。もうそれは答えが出ていた。筋肉痛だ。


動かないのを無理に動かそうとし続けた。痛みがないので、感覚がわからず何時間もやり続ける。そして筋繊維が傷つきまくり時間停止のフィードバックでまた戻ってくる。これの繰り返しだった。


ということは、条件の③と④と⑤は問題なく機能しているのだから、①だって機能するはずだ。そこから、躍起になって動かそうとし続けた。動こうとし続けて、精神的に疲労したら三日以上寝て。また動こうとし続ける。また休む。これの繰り返しで、1ヶ月。そしてついに。まちがいない。


まちがいなく、俺はうごいた。


右手の人差し指が1mmだけ。


つまり、動けるのだ。筋肉が足りなかっただけなのだ。そうとわかれば、おれは、もはや努力の鬼だ。なんてたって時間は無限に。掛け値無く無限にあるのだ。

最初の一年はひたすらひたすら時停筋トレ。


それでも右手が一ミリ動くかどうか、だった。限界があるかもしれない。しかし、まだ限界じゃないのかもしれない。1年はたったが、俺にはまだ無限に時間がある。しかも④俺はこの時停のなかじゃ、不老だ。


燃える闘魂俺の中でくすぶっていた何かが燃える。


かならず、必ず自由に動けるようになってやる。

努力の方向性としてはまちがっていないはずだった。


確実に進歩している。ゆっくりで遅々たる進みだが、でも着実に。時間は無限にあるのだ。




10年たった。右腕が少しうごくようになった。


全身動かそうと思っているわけだから、時停筋トレはずっと続けている。最近は、遙か彼方の記憶である、暗殺術でならった体術の先生のことばを思いだし、反復練習している。(イメージトレーニング)彼が言うには、力の流れを捉えることが体術向上の秘訣という。時間は無限にあるんだ。体術くらい極めてやる。



100年たった。

ふつうなら、よぼよぼのじいさん。でもここでは、おれは15歳のまま。ちがうのは筋肉。あんなにぶくぶくに太っていたはずの俺は、みるみる痩せていき、むしろガリガリに見える。

栄養の摂取が足りないのだ。最初は自分にあほほど蓄えられていた脂肪の塊を使って筋肉を作っていたが、最近では、その脂肪もなくなり、さらに筋繊維がしぼんでいくのがわかる。老いていないのにだ。しかし不思議なことに、さらに強い力は出せるようになり、そしてしなやかに、変わって言ってるのが、自分でもわかる。体術は極めた。


力の流れを意識することで、止まった時間の中で、動けるようになったのだ。ほんの少しだけ10センチほど。まだまだおっぱいまでには遠い。あと500センチは動かないといけない。



さあ200年。体感で言っているから正確ではないがすさまじい時が流れたはずだった。もう10センチ動くことができるようになってきている。



500年。ゆっくり、だが、確実に、近づいている。目標に。ちなみに筋肉は隆起し、しぼんで、また隆起し、というサイクルを5回ほど行っている。100年に一回くらいでそのサイクルは起こるらしい。


多分今なら、腕相撲で全世界一位をとれる自信がある。


体術を極めたが、さらにその先を自分で極めようと模索する。


1000年がたった。

長い、長い時と目。もはや何が理由で止めだしたかも思いだせない。

しかし、目標を達成しつつある。フェイルの胸まであと3センチ。



2000年がたった。

もう触る寸前まで来ている。おれはついに目標を達成したのだ、しかし本当にこれでいいのだろうか、もしおれが今の状態で、胸をもんだら、フィードバックで、胸が爆散するんじゃないだろうか。

力が強すぎるのだ。


次は、この止まっている時の中で、モノに触る力加減を覚えなければならない。

そうおもったおれは我慢したのだ、もう1000年くらい練習するのも悪くない。目標は、高く。達せい感を得るために。


そして5000年たった。ついに、たわわな胸に触れることに成功した。長かった。ありがとう、ありがとう。こんなにも時間がかかったけど、僕はやりきった。しかし


さわったつもりなだけなのに、③フィードバックが時を止めたた分一気に来る。 なんと、時を止めるのを解除した瞬間、胸が爆散した。正確に言うと、表面が削られ、すごい勢いで流血した。とっさに光の速度で、時間を止めた。しかし治療をしようと思うがどうすればいいのかわからない。



そこで俺は10日間悩んで、ひらめいた。③俺が触ったモノは時が動く

これで直すことができないだろうか。つまり、血が出ている部分の時間だけを動かし、俺の筋肉のように自然に治癒するのを待つのだ。しかし、触ろうとして、先ほどのように爆散させたら元も子もない。違うモノで、触る練習をしまくった後、爆散してしまった胸をさわり、治療する。1000年ほど練習し、30年ほどさわっていたら治った。


ふう。危ない。あやうくフェイルたんをころしてしまうところだった。


そんなこんなで危ういときもあったが、その後も、様々な修行をトキトメの中で行っていった。

修行を初めて10000年。おれは、自由に時間を止め、中で動いたり何かに触ったり、できるようにった。


達成感だ。これで、ようやくトキトメ地獄からは解放される。


素晴らしくやりきった。おれは、時間停止を解除して、その場に倒れ込み、深い深い眠りについた。久しぶりの1万年ぶりの寝返りを堪能し、意識を失った。










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