第43話 エッチなお姉さん奪取作戦② 5月11日
5月11日(火)『表』 昼休み
いつものメンバーで学食に来た俺はカツ丼と親子丼を並べる晴香を尻目に定食二つを頼み、人気のデザートもつけておく。
「ほらよ」
「おう。わりい」
俺は片方を陽助に渡して金は要求しない。
「ねえ誉、江崎君となにかあったの? 朝も肉まんとコーヒー奢ってたよね」
「ちょっとした協力金かな」
俺に答える気がないと見た晴香は陽助の方に迫る。
「口止めされてるから言えないんだよ」
にこやかに答える陽助。
口止めされてることを言うのはグレーだろ誤魔化せよ。
「口止めするようなことなんだ……」
ほら晴香がまたジト目でこっちに来たじゃないか。
「どうせいやらしいことでしょう。水商売の女性に囲われているとか」
風里に切り込まれて思わず飲み物を吹きかけるもなんとか耐える。
まさか知ってる訳じゃないいよな。
「今日の誉は朝から妙にハイテンションだし怪しい……」
そっちはもっと切実な理由だ。
裏が酷い状況だからせめてこっちでは明るくしたいじゃないか。
「ハイテンションと言えば元村のやついないな」
今さら斉藤グループの方にも戻れないだろうし。
「あいつ生徒指導教師に捕まってたぞ。髪とアクセサリーがさすがに常識的な範囲を超えるって」
「そっか。全然似合ってなかったし黒く染め直したらいいんじゃないか――おっと電話の時間だ」
俺は一言詫びて席を立つ。
「まさか今日も予約……?」
晴香のカツを一切れ奪ってから昼休みは無人となる特別教室に入る。
そして最新知ったばかりの番号にかける。
長めの呼び出し音の後、通話が繋がった。
『私ですけど――大事な電話だから動くのやめて、ちょっともうっ!』
俺が電話をかけたのは秋那さんだ。
息が荒く、衣擦れの音と男の声まで聞こえる。
直前までセックスをしていた……というより今もしてるだろこれ。
「……俺が彼氏を部屋に招いて優しくしろって言ったからな。そりゃ当然こうなるよな」
必要なことだが狙っている女性を他の男に抱かせるのは腹立たしいのに妙に興奮して性癖が乱れる――と発情している場合じゃなかった。
「んじゃやりますよ」
『はい……ええと、でもまだ少し待って……はい』
俺の呼びかけに秋那さんは見当違いの返事を返してくる。
もちろんこれも予定通りだ。
俺は教室の扉を閉め、廊下に誰もいないのを確認してから秋那さんを怒鳴りつける。
『ご、ごめんなさい! でもそんな急に! わ、分かってます! ――なにお前怒鳴られてんの? 相手誰だよこいつ――なんでもないからちょっと離れててよ』
必死に謝る秋那さん、後ろから彼氏のいぶかしげな声も聞こえる。
これで前置きはクリアだ。
『なんでもないって! ほら続きしよう。次は私が舐――』
電話が切られる。
計画通りのはずなのに色々落ち着かなくて一度前転してから教室を出た。
食堂に戻るとさっきのカツの仕返しか俺の定食は半分食われていた。
怒るどころか笑ってしまう。
「ちょ、ちょっとやりすぎたかも……ごめん返すね」
「おう」
俺は晴香の隣に並んで親子丼を一緒に食べる。
そして陽助に「予定通り頼む」と目で合図を送る。
放課後、俺と陽助は晴香の追跡を振り切って再び新都に来ていた。
「誉、スーツ似合うな」
俺達は昨日と同じように制服はロッカーに仕舞い、親のスーツを着込んでいた。
「お前ほどじゃねえよ」
陽助もスーツ姿、身長があるのに加えて顔も良いのでとんでもなく似合う。
やり手の営業マンかスカウトマンにでも見える。
「見た目に似合うのは俺だろうけど、誉は雰囲気というかな……それにお前が茶髪にしてるの初めて見たけど迫力あるぞ。ぶっちゃけ怖い」
髪染めるの自体初めてだ。
黒髪だとどうしても俺の真面目さが浮き出てしまって不適当だからな。
終わったらすぐに染め直すさ。
「あとネクタイ外せ。中のワイシャツは白じゃなくて赤かグレーにしよう」
大人に見せないといけないがリーマンに見えてもダメなんだ。
高1の俺達が大人びても無理があるが、まあ若いチンピラぐらいに見えれば問題ない。
「どう考えてもやばいことなんだよなぁ」
「俺も一緒だから心配するなって」
その分奢りまくってやっただろ。
「肉まんとアイスと学食……千円で修羅場とか割りに合わねえ」
「こんなもん修羅場でもなんでもないっての」
俺達が向かったのは新都でも中々にお高そうなタワーマンション……秋那さんの家だ。
オートロックの前に立って時間を確認してから再び電話をかける。
「どうです?」
『今出て行ったよー。ったくアイツ止めろって言ったのに顔面にぶっかけやがって……ブツブツ』
「おい誉、なんでいきなり前転するんだ。怪しまれるだろ」
俺はスーツの埃を払いつつ背筋を伸ばす。
やがてエレベーターが開き、男が一人降りて来る。
「あー疲れたぜ。バカ女のくせに無駄に体エロいからやりすぎちまうんだよな。ま、ちょっと抱いてやるだけで50万出るんだからやめられんけど」
間違いない。
前に繁華街で投げ飛ばした男……秋那の彼氏だ。
俺と陽助は道を塞ぐように男の前に立つ。
「……なんよ?」
『蛭のコウ』だったか。
ひどいの二つ名の男は苛立った声を出しながら俺達を睨む。
前の高校生だと気づかれた様子はない。
「いやぁすみません。ちょっとお聞きしたいことがあるんですよ」
俺はニコっと笑って頭を下げる。
「んだようぜえな。知るかよ」
横柄な態度で通り抜けようとするコウの進路を陽助が塞ぐ。
「秋那さんの彼氏さんですよね?」
「あ? なんでアイツの本名知ってんの?」
コウの足が止まる。
店やビデオの客なら知らないはずの名前だからな。
「秋那さんの男……でいいですよね?」
笑いながらも少しだけ声を厳しくする。
「……そうだけど何よ」
俺はコウの肩に手を乗せる。
苛ついた様子で振り払おうとするが睨みつけて黙らせる。
「私達、秋那さんに少しばかりお金貸してましてね」
「それが期日過ぎとんのに返して貰えてまへんのや」
空気を読んだ陽助もあわせてくる。
「あのバカ、マジかよ……」
男の顔が目に見えて歪む。
うんうん、どう考えてもヤバい先から借りたようにしか見えないよな。
「それが秋那さんどうも返済できそうになくてね」
「彼氏さんやったら、ちょっともったってくれまへんか?」
「し、知らねえよ!」
逃げるコウの襟を掴みあげる――ふりをして丁寧にシワを直しながら囁く。
「お兄さん秋那のヒモだろ? お前のたかった金はこっちの財布から出てんだよ。知らぬ存ぜぬで通ると思うなよ」
ポンと肩を叩いてから秋那さんに電話をかけ、出た瞬間に豹変する。
「おい今から行くから用意しとけよ!」
コウは確認の為か秋那に電話をしているようだが、俺は本当にかけているので当然話し中だ。
電話を切ってコウにまた笑いかける。
「これから彼女さんと色々話しますけど……彼氏さんが心配なことになるかもしれませんよ」
暗に犯すぞと言ってやる。
もし俺が彼氏ならいきなり殴り付けてでも止めるところだが。
「そ、それは……」
「彼氏さん心配やわなぁ。一緒に来てもろたらええんちゃう? それならみんなほっこり安心やで」
陽助が名案とばかりに頷くが男はジリジリと後ずさっていく。
「あ、あー俺は今日は急用あってさ。ちょっと無理なんだよ。それじゃ急ぐから!」
身を翻したコウに歓声を送りつつ、背中に一言。
「このまま利息も払って貰えないと……秋那さん大変なことになりますよ」
しかしコウの足は止まるどころか勢いを増し、大通りに出るなりタクシーを拾って消えていった。
俺は唾を吐いてから普通にチャイムを押してエレベーターに乗り込む。
今までのやり取りを全部秋那さんに流していた通話も切る。
「ひっ!?」
同じタイミングでエレベーターに乗り込もうとしたマダムが慌てて降りた……悪いことをしたな。
エレベーターの扉が締まる。
「……ヤバい組織騙るのは危なすぎるぞ」
陽助が溜息混じりに呟く。
「なにも騙ってないだろ。ただ金貸してるって言っただけだ。事実、俺は昨日秋那さんに千円貸した」
大変なことというのも限界までくすぐるってことでいい。
「心配なのはやっぱり外見だ。一応スーツ着て髪染めて頑張ってみたけど、俺の外見は普通に高1並だからな。勢いでビビらせたけど冷静になった時に怪しまれるかもしれない」
「いや、ない」
陽助が言い切る。
「さっきの誉は演技だと分かってた俺でもガチで怖かった。学校の不良とかヤンキーなんてレベルの迫力じゃなかったぞ」
それならいっか。
「お前本当にやばい所で働いてたりしないよな?」
陽助が心配そうに聞いてくる。
「ねえよ。俺ほど真面目な生徒も珍しいぐらいだ」
『裏』ではゾンビの頭かち割ったり、車で轢いたり、変な怪物の頭吹き飛ばしたりしているけどな。
俺はこれ以上話が広がらないように話題を変える。
「それよりお前のふざけた演技なんだよあれ! 笑いかけたぞ!」
「空気読んで流れも完璧だったろ。息もすげえあってたじゃん」
確かにあそこまで見事に合わせてくれるとは思わなかったがそこじゃない。
「普通に言ってれば完璧だったよ。なのにどうしてエセ関西弁にした!?」
「最近そういう金融業者のマンガ見たからさ……ダメだった?」
「途中から金貸しってよりオバハンみたいな感じになってたんだよ!」
俺達はギャイギャイと騒ぎながら秋那さんの部屋に入る。
「キミもお友達もいらっしゃーい。って友達超イケメンだね!」
もちろん借金取りに踏み込まれて泣き叫ぶ……なんて展開はなく、バスローブ姿の秋那さんはソファに寝転んでテレビを見ていた。
「マンションってこんな玄関広いもんなんだな……」
『裏』で住んでいるマンションと比べても天と地の差だ。
「このタワマン名前見たことあるな。普通に月40万とかするとこだぞ」
タワーマンションの高層階の部屋は広く、相応にソファやテーブルなどの家具も大きく高そうだ。
ただ現代風のテーブルにアンティーク調の椅子、カジュアルなソファなど統一性はまるでなかった。
「ソファでも椅子でも好きに座りなよ。イケメンのお友達はあたしの隣においで」
「くぅん」
俺が悲しげに鳴くと秋那さんはひとしきり笑ってから俺を隣に座らせてくれた。
「予想はしてたけどあん畜生、自分の女が酷い目に合うってのに躊躇なく逃げやがって……」
茶化して呻く秋那さんだが、割と堪えているようだ。
俺と陽助は頷き合い、両側から秋那さんを挟んで頭を撫でる。
「若いイケメンに挟まれると心の傷癒えるわー」
さて傷も癒えたところで、もう一セットだ。
「はいはい。まーた傷付けばいいのね」
「もう少しですから」
秋那さんは俺の手をとって寝室に招く。
「コウとヤったまんまだけど」
乱れたシーツと立ち込める臭いが生々しい。
「……別に会話だけでもいいですけど」
「それは駄目。ベッドの軋む音とか普通にわかるから。それとも使用済みは嫌?」
これは踏んではいけない地雷だ。
秋那さんはこういうの多いから注意しないといけない。
「望むところです」
俺がそういうと秋那さんは嬉しそうな、ほっとしたような表情になった。
回避成功だ。
通話が繋がる。
「コウ! コウ!? 助けて――!! 今、男二人に犯されて――! やめてやめてー!!」
彼氏に電話をかけながら泣き叫ぶ秋那さんの上で腰を振る。
もちろん俺も秋那さんも服を着ているので本当に腰を振ってベッドを軋ませているだけだが。
『マ、マジであいつらやってんのかよ! おい秋那、おい!』
秋那さんのスマホを奪う。
「あー彼氏さんですか? 利息代わりに頂いてますけど建て替えてくれるならすぐやめますよ?」
スマホを戻す。
「助けてよコウ! このままじゃ殺される! お願い戻って来てー!! あぐっ!」
泣き叫びながらの懇願、そして苦悶の声の演技……ビデオ女優すごいな。
あまりに真に迫っているもので心が痛すぎて興奮もできない。
『し、知らねえよ。だいたい内緒で借金なんてしやがるから――』
「アンタに貢ぐために借りたんでしょ! お願いコウ戻るって言って! でないと私――いやああああ!!」
秋那の悲鳴が響く中、向こうから通話が切られた。
演技が必要なくなった俺達は一息ついて体を離す。
「ナイス演技。お疲れ様です」
俺が秋那さんの乱れた髪を整え、陽助が飲み物を出し出す。
「レイプなんて高校時代からしょっちゅうされてるしね。毎月1~2回はあるんじゃないかな……私ほど慣れてる女なんてそういないんじゃない? アハハ」
軽く笑いながら瞳がズーンと沈んでいく。
「陽助」
「ああ」
俺と陽助は自嘲気味に笑う秋那さんを挟み込む。
「高校生2人に挟まれるのいいわぁ」
よし瞳に光が戻った。
「それで次はどうすればいいの?」
「アイツが戻って来た時の為にリアリティが欲しいですね。顔に青あざとか」
ん、と秋那さんが顔を差し出す。
「本当に殴るわけないでしょ……メイクですよ」
なんだと秋那さんが顔を引く。
「でも必要ないかな。前に隣人トラブルになった時もアイツ一週間は戻ってこなかったから。本当に肝小さいし、あたしなんてなんとも思ってないしね」
再び挟もうとするとまだ大丈夫と辞退される。
「あとは……深夜ぐらいにアイツへ電話してください。出たらとにかくお金を返しての連呼、出なかったら着信拒否されるまでかけまくって下さい。お風呂屋の方は臨時で休みをとって下さい」
「おっけー。でもあたしバカだから覚えきれないかも。書いていい?」
「絶対ダメです」
そんな証拠を残せるわけがない。
「忘れたら俺に連絡してください。宛名はちゃんと言った通りにしてますよね?」
「うん。『金融業者 双見誉さん』で登録してるよ」
「ぐへっ」
陽助が変な声をあげ、俺も転びそうになった。
金融業者ってところは指示通りだが、その後ろに本名で入れたのか……コウにも見られたよな。
「ごめん……バカだから……」
俺は頬を一つ叩いて気を取り直す。
「大丈夫、それも含めて上手くやります」
秋那さんが笑う。
なんとか回避成功だ。
「あと……ね」
「わかってます。もしコウが秋那さんを助けに来たら計画は破綻です。正真正銘のクズではなかったってことで適当な感じで引きますよ」
言いながら少しだけ眉をひそめる。
コウは完全なカスで秋那さんをATMぐらいにしか思っていない。
もし今更助けに来てもそれは変わらない。
だがそれでも秋那さんアイツが戻ってきたらまた受け入れるつもりでいる。
秋那さんは自分を悪く言い、擦れて斜めに構えているが本当はとても優しくて甘い人だ。
だから優しくない連中に食い荒らされてボロボロになった。
近いうち彼女は完全に破滅すると確信している。
なら俺が作り変えてやろう。
少なくとも今よりは良くしてやれると確信する。
だから――もしコウが気まぐれか欠片ほどの良心かで戻って来たとしても、秋那さんの隣に戻ることはない。その為の手は既に打ってある。この場では言わないけれど。
「さて。それじゃあせっかく家まで来てもらったわけだし3人でヤる?」
俺は反射的に反応するも「3人」の部分で煩悶して前転する。
「お前今日のそれなんだよ」
陽助の突っ込みに反応するどころじゃない。
「いやキミ――双見君のことは普通に好きになってきたし、江崎?君の方は初対面だけどイケメンだし全然できるけど」
俺が最後まで成し遂げてから頂きます――と恰好良く告げる前に陽助が首を横に振る。
「遠慮しておきます。年齢がちょっと外れているので」
「がふっ!!?」
秋那さんはまるで狙撃でもされたように胸を押さえてそのままソファへ倒れ込んだ。
「陽助お前ー!!」
俺は胸を押さえて呼吸もままならない秋那さんを抱き起こす。
「あたしはまだ24……でも君達は15……ぐふぅ……」
このままでは死んでしまう。
「秋那さんしっかりしてください! 陽助は変態レベルの熟女好きで上じゃなくて下に対象外なんです! 陽助、お前のストライクは何歳だ!」
「40ぐらいですね」
治療の甲斐あって秋那さんが起き上がる。
「三十代なら大丈夫なんですけど、二十前半はちょっと若すぎて……申し訳ありません」
「いいのよ、あたしも人の性癖に文句言える立場じゃないから。こんなにイケメンなのに熟女好きか……店の40代の人達に教えたら競売始まりそう」
ともあれ、あと少しで計画は完成だ。
――深夜
「ああ疲れた。でも楽しかった」
コウには俺の顔を見られているし下手すれば名前も知られているだろう。
こっちも金貸しに偽装したり際どくやっている上に陽助も巻き込んでいる。
危ない橋を渡っていると言えるが、それでも今からいく『裏』に比べればお遊戯だ。
「こっちはどうしたものか見当もつかない。覚悟を決めて――」
独り言を言いながら玄関を開くと風呂上がりの紬と鉢合わせた。
「あ、ホマ君おかえ……なにその頭!」
紬に頭を指差されて、髪の染め直しを忘れていたことに気付く。
失敗したな。
今からやるにも時間が無い。
まあ学校は染髪OKなので明日以降にゆっくりと――。
「ホマが不良になっちゃった……ここはお姉ちゃんとして躾けないと!」
茶髪は不良というのも少し古いと思うが紬の決意は固いようだ。
「来なさいホマ!」
「はいはい」
紬の部屋に引っ張られる。
「四つん這い!」
「はいよ」
床に四つん這いになる。
懐かしいな。
「お尻!」
「ほれ」
ズボンとパンツをずらして尻を出す。
ブルンと飛び出す。
「ギャー!! 全部じゃない! ズボンだけ!」
昔は全部だったのにと笑いながらパンツをはき直す。
「こんなに夜遅くなって! お酒の臭いさせて! 親から貰った大事な髪も染めて!」
紬の小さな手が俺の尻をバシバシと打つ。
どうして紬の価値観が急に古くなったのかは置いておいて結構な痛みだ。
痛くてそして懐かしい、昔も悪さしたら母親か紬に尻を叩かれたな。
『裏』にいったらどうなるかわからない。
それだけにこの感覚が愛おしい。
「姉ちゃんバシバシうるせえよ……夜中になにを叩いて――」
「えいっえいっ! 痛いかホマ! 反省したかホマッ!」
「ああ嬉しい……」
新の珍妙な悲鳴と母親の怒声が混じる。
このバカ騒ぎを明日もやりたい。
その為には『裏』を生き延びねばならない。
主人公 双見誉 市立両河高校一年生
人間関係
家族 父母 紬「お尻叩き」新「大混乱」
友人 那瀬川 晴香#16「女友達」三藤 奈津美「女友達」風里 苺子「友人」高野 陽花里「彼氏持ち」江崎陽助「共犯」
中立 元村ヨシオ「生徒指導」上月 秋那「進行中」
敵対 仲瀬ヒロシ「クラスメイト」キョウコ ユウカ「停学」蛭のコウ「逃走」
経験値51