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ゲロ小説

作者: 烏丸牙鳥

「いいいやあああああああああああああ!!」


 私は、先輩と二人で宅飲みしていた……はずだった。しかし、ちょうど午前2時を超えた途端、二人ともこのテンションである。さっきから隣人の「うるせーよ(壁ドン)」の音が鳴り止まない。


「ふううううううううううううううう!!酒やべええええええええええ!!合法麻薬ううううううううううううう!!」

「マジでwwwww美味すぎるwwwwww二時台やべえwwwww」


 本気でこのテンションはやばかった。お前のテンションで地球がやべえ。壁ドンは、いつの間にか壁ではなく、地球から届いてきた。地球が私で、私が地球で。


「パイセン!!私らのゲロで地球が明鏡止水ですよおおおおおおおおお!!こんなん本当に売ってて良いんでしょうかねえええええええええええ!!」

「大丈夫だwww問題ないwwwww」


 途端に、ゲロは聖なる女神の住む泉と化した。コバルトブルーの液体が、電灯の下でキラキラと輝いている。羽ばたいている。天使。天使の鳴き声が止まらない。

 

「うはあああああ!!こういうときは猛虎魂を感じるううううううううううう!!バアアアアス!!掛布うううううう!!岡田のおおおおおおおおお!!バックスクリーン3連発でも観ましょうかねえええええええええ!!」

「おまwwwwブルーレイに焼いてるやないかwwwwwwwどんだけwwwww阪神好きなんwwwwww」


「でも、私ら、大坂に一回も行ったことないですよね」

「あ、はい」


 素に戻ったら、部屋の惨状の方が、やばかった。地球よりも私の部屋がやばい。有象無象、森羅万象が、私の部屋の中にあり、そこを平気で訪ねてくる、この先輩は絶対に大事にしようと強く、強く思った。


「戻るなwwwwwwもっと誰にも手の届かないところに行けwwwwwお前は高みをwwwwめwwwざwwwせwwwwww」

「やべーっすね酒ええええええ!!マジでやべえっすねええええええ!!」


 私たちはゲラゲラ笑いながら、2時を過ぎるのを感じていた。

 次に目が覚めた頃には、二人して握りつぶした空き缶を黙々と片付け、粛々と掃除をするだろう。しかも、次の燃えないゴミの日は水曜日だ。今が日曜だから、3日間、この大量のチューハイ・ビールの山を部屋に蓄えておくことになるだろう。そうであろう?


 やばいのは、私たちの方だった。それでもまた、私たちは、酒を求めて次の日曜もコンビニに行く。光の差す方へ。

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