表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴーレムさんサン  作者: macchang
7/19

ゴーレムさん 1-7 行き当たりばったりな出立

バンダイの出すメタリックダンゴムシ3個セット、すごく欲しいです。公式サイトの一番右のシルバーのがもう理想的で。

 アイオラが馬車に設置されたテントに入る。外が見えないのが不安なのか入り口は開けたままだ。

「ルルも入っていい?」

興味をもったルルが続いて入っていく。

そういえば寝袋の様な寝具を買わなかったな。ドレスアーマーに結構使ってしまったので良いモノが買えるか気になる。

「ねぁゴーレムー、これ、どうやって入り口閉めるの?」

[中にいくつか輪になった紐と対になる様に留め具がついてるだろう?それを引っ掛けて]

細かいボタンやチャックは再現できなかったのでダッフルコートの様な留め具で誤魔化している。入り口にもう一枚布をかぶせて密閉性を高める悪あがきはしている。入り口上部に取り付けられている畳んだ布がそうだが中の二人は気付いていない。テントの中から暫くルルのはしゃぎ声と、時々アイオラの声が聞こえていたが、やがて二人とも寝入ったのか静かになる。耳を澄まし寝息が聞こえるのを確認し、そっとその場を離れる。


 一人で門の前のテント村の傍までやって来た。少し試したい事があり昨日魔獣に怪我を負わされた男のいるテントを探す。

「おう、ゴーレムさんじゃねーか何してんだ?」

夜更かししていいた酔っ払いが絡んで来る。一人を皮切りに他の酔っ払いも絡んで来る。魔獣と戦ったことで無害で人を守る側だと判断されたようで、警戒心無く叩いたり身体に触ろうとする。良い印象を持たれているのは良い事だ。されるがままにしながら怪我した男を探していると

「なんか探してるのか?」

と察しの良い者が尋ねて来た。頷いて腕を指さしてみる。

「腕?アイツに会いに来たのか?」

察しの良い人は適当なジェスチャーでも伝わったようで、怪我人のいるテントへ案内してくれた。テントの中の男は薬か何かで眠らされているようだった。

「アンタが直ぐに魔獣を引き離してくれたから、出血が少ないうちに処置出来て生きてはいるがな。まぁアンタが責任感じる事は無いって、俺はゴーレム相手に何ってんだかな。」

二の腕の中ほどから先が無い。脇を縛り出血を抑えている様だ。傷口を焼いて消毒した跡が無くて少し安堵した。生身だったらこの傷口を見て卒倒していたかもしれない。あいにく血液が流れていないゴーレムボディは貧血も吐き戻すことも無い。この身体の反応を確かめるという一つの目的は達した。

[次はっと]

冷静さを保ち術式を構成していく。森林魔法の本質は命を生み出す魔法である。水の魔法で傷口から男の体に液体として顕現させた生命の素を男の体に流し循環させる。こうして男の血肉に染まった命を、傷口からっゆっくりと形を整えながら染み出させる。

「おいおい、何やってんだよ」

観ていた察しの良い男が驚きの声を上げる。それをよそに作業を続ける。

[水魔法と森林魔法で今の限界はここまでか。]

怪我した男の傷口から先に透明な水で出来た様な腕がついている。時間共に血が通い骨が通り肉がついて元の腕を取り戻すだろう。それまでも普通に自分の腕として使えるし、鍛えたらその成果は再生していく腕に反映される。満足いく成果だ。

「俺は何も見ていない森の精霊の気まぐれだろう」

察しの良い男は本当に都合よく察してくれる。


 その後暫く、テント村で夜更かしな酒飲みに囲まれ陽気な空気を楽しんでから荷馬車の所に戻った。荷馬車の横に腰を落としそのまま夜が明けるまで空を見て過ごした。アイオラは僕が離れて直ぐ起きたようで、テントの中から戻って来たこちらを伺いながらそのまま眠った様だった。顔を見ればわかるが目の下の隈が濃く、僕とルルと出会う前からちゃんと眠れていないのは明白である。そもそも最初に出会ったこの場所が場所である。これからの旅では彼女が少しでも安心して眠れる環境を作らないと、きっと途中で体を壊すだろう。やるべき事、考えるべきことは多い。他の事が考えられない位に。


 夜が明けて朝一番に門をくぐりドレスを受け取りに行く。テントで一夜を共に過ごしルルは大分アイオラに慣れたようだ

「アイオラって凄いのいろんな事を知ってるんだよ。」

なんでも光以外の精霊について昨夜は教えてもらったそうだ。街に入る前にそんな事を話してくれた。業者台ではアイオラが相変わらず緊張した様子で座っている。被服屋の前に荷車を止めてアイオラに受け取りに行ってもらう。



自分が使役しているハズのゴーレムに促されるままにドレスアーマーを受け取る。

「良い素材を扱えて楽しかったよ、また頼むよ」

職人肌の店主さんが笑顔を向けるのを見ない様にしながら代金を渡し足早に店を出る。次はギルドで依頼の確認をすると昨日打ち合わせた。当日出発の依頼など大抵は無いという常識をゴーレムさんはわきまえているようで依頼があればそれに合わせて出発したいと言っていたが、私としては今すぐにでも街を出たい気持ちだ。昨日再開したかつてのパーティメンバーであり当時まだ所属仕立てだった私の指導役だった二人。彼等にはもう会いたくないのだ。朝一番に街に入ったので今の内なら急げば彼らに出会わずに依頼を見てギルドを出る事が出来るだろう。正直にいうと依頼があっても無かった事にして早々に街を出るつもりだ。聖霊様を欺くことになるがそれでも構わない。


 どこか焦った様子のアイオラが店から出てきて荷車に乗ったのを確認し次はギルドへ向かう。都合よく当日出発の依頼があれば良いが、無いようなら依頼を待たずに街を出る事も考えて置く。その場合は今後の資金について相談する必要があるだろう。ルルは幼過ぎてその辺りの判断について相談できる相手ではないので、この世界の事情に通じるアイオラの判断は大切だ。孤児に教育を施したレスター神父に感謝である。


 ギルドで再度アイオラを降ろし以来の確認に行ってもらう。すると間もなく彼女が駆け出てきて僕の後ろに隠れた。それを追うように昨日会った彼女の以前の仲間らしい二人組が出て来た。

「まさか来ないとは思わなかったな。そんなに嫌われていたなんて心外だよ。」

本当に意外だったようでイラ立ちが男の声に混じっている。それが余計にアイオラを怯えさせる。

「あの頃の君を拾ってあげた恩人に対する態度ではない無いのでなくて?アイオラ」

女の方もかなりイラだっている様だ。

[アイオラ、彼等に貰ったものをまだ持っているなら返してやろう。あと、少ないけどお金も渡して。]

そう声をかけると驚いた顔で此方を見る。

[君のお金は渡さなくて良いよ。昨日の換金分の残りを渡してしまおう。]

その声に従い、アイオラは持っていたステッキと現金の残りを僕に差し出す。それを受け取り二人組に僕が渡す。

「直接手渡す気は無いという事か。馬鹿にしてくれる。」

心底不愉快そうに言いながら男は僕の手から現金とステッキを受け取る。

まだ何か言いたげにしているので、踵返して座り込んでいたアイオラを片手で抱えもう片方で荷車を引き早々に退散する。そのまま逃げる様に門から街を出て、テント村を抜ける。

「ゴーレムー急にどうしたの~、早いよ~」

僕の中に隠れていたルルが目を回して抗議の声を上げた所で足を止めた。脇に抱えたアイオラの体が震えているのを感じる。

[ごめんよルル、ちょっと危ない所だったんだ]

「ん~わからないけど人間は怖いって母様も言ってたから」

[そう、特に怖い人間に出会ったから急いで街を出たんだよ]

その言い訳でルルは納得してくれた。


 怯えたままのアイオラを御者台に降ろして少し休むことにする。まだ昼にも届かない時間だが今日は朝から随分と長い時間が過ぎた気がする。何も食べていないので荷物から一昨日の夜に精製した火の宝玉を取り出す。解体された魔物の肉を、自分の体から生やした枝を折り串にして、その熱で炙る。自分が食べるわけでは無いが匂いが伝わって来ると食欲をそそる香りだとは思う。その匂いに呆然としていたアイオラも視線をこちらに向ける。どんな菌がいるか解らないので、火は確り通し串をアイオラに差し出す。

「え、え?」

街の事で不安定な所に来て混乱が見て取れる。

[覚める前に食べてみてくれ。美味しかったら売れるかもしれないから。]

無理矢理に串を渡し適当な理由を付けて食べる様に促す。

「ゴーレム、それ人が食べて大丈夫なの?」

[毒があるとは言われてないし、有っても解毒の魔法があるから大丈夫だよ。]

「そっかじゃあ大丈夫だね。ルルは人の食べ物食べないから味は解らないけど美味しいと良いね。」

[そうだね。]

精霊は肉体を持たないので食事は不要だ。

「あの、聞く限り全然大丈夫じゃないですよね?私毒見役ですか?」

流石に多少の冷静さを取り戻しツッコミを入れてくる。多少は気が紛れてくれたようでこちらもボケた甲斐があるというものだ。

[毒は無いから大丈夫だよ。レムリア様の知識にそうあったから間違いない。]

レムリアの名前を出すと安心したのか、恐々とだが串を口に運ぶ。服を汚さない様に気を付けながら、一口二口と噛み切り咀嚼していくが、半分程食べた所で止まる。

[美味しくなかったかな?]

よく考えれば肉のみで味付けも何もしていない。

「いえ、そうでなくてお腹いっぱいで。」

申し訳なさそうに言われた。大分小さめにしたつもりだが、彼女には多すぎた様だ。飢餓状態が続くと胃が縮んで食事が取れなくなり、食べ物があっても食べられなくなると聞いた事があるが、彼女の体躯をまじまじと見つめ納得する。

[苦労したんだね]

その場は食べ残しを串と一緒に灰になるまで燃やし土に埋めた。少しもったいないがアイオラの過去の食生活を見誤った僕の責任だ。


 食後に少し休んだ後に目的の山間の村を目指し出発する。慌てて街を出たので、出る出口を間違えてしまったので少し回り道になる。いつの出入りしていた門とは別の所から出ると道なりに進むだけだったのだが、慌てていたので使った事のある門から出てしまったのだ。そこまで焦る程の遅れではないので気にせずにアイオラと道を確認し荷車を進める。タイカン一行に挨拶くらいしたかったとは思ったりするが、機会はまたあるだろうと思い直したりしながら、精霊巡りの最初の一歩を踏み出した。

甲殻類って良いよなぁ

ファンタジー世界にザリガニに転生とか誰か書かないかなぁ読みたいなぁ。

僕のハサミをお食べ。大丈夫何度か脱皮すれば元通りになるからとかそんな感じの濡れても平気なアンパン的な感じで

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ