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ゴーレムさんサン  作者: macchang
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ゴーレムさん1-4 生活向上

登場人物の能力を数値化したり可視化するって言うのは自分にはまだ難しい。

鳥山 明先生のスカウターって発想は本当にすごいものだと感心するばかり。

  街を出てアイオラに先導されながら昨日の小屋跡までやって来た。一先ずそこで担いできた瓶を降ろす。よく見ると彼女の生活の跡が見受けられる。

「その大瓶には何が入って居るのですか?」

[空だよ。アルタイト製で見かけ以上に入るらしいけど、入れるものが無いからね]

何気なく答えたら表情が引きつっていた。

「ねぇルルもう出ても大丈夫?人間居ない?」

街中や門の付近では静かにしていたルルが顔を出す。

[今はアイオラしか居ないよ]

そう言うと安心したのか、ようやく出て来て僕の周囲を漂い出す。

[それで、薬草を探すので良いのかな?]

「はい、森の方に少し行けば生えていますので。」

そして再び彼女に先導されで薬草を探しながら歩き出す。自分の前世での記憶ではヨモギやアロエを想像していたところ、この世界でも似たような草が薬草として摘まれていた。後、シソも毒消しとして扱われていた。


 だだしそういった草の中でも特別効果の高いものが薬草として扱われる様でもあった。魔力の含有量やらこちらの世界の要素が合わさって判別されるそうだ。レムリアの知識で薬草となる草の識別は出来たがその辺りの判別は解らなかった。


アイオラの草花の声を聞くという能力はその判別の助けになるらしい。彼女の腰に下げた袋が膨らむ迄採取した後は小屋跡に戻り休憩する。時刻は調度昼頃だ。

[この後はどうするのかな]

「何もしません」

[依頼は?]

「明日届けます。」

[午後にもっと薬草取れば稼げないかい?」

「お腹が減りますし、あまり持っていると悪い人に狙われます。」

言った彼女の瞳には怯えの色があった。過去に強盗にでもあったのか、金を奪われただけなら良いのだが。自身の肩を抱くようにして僕から目を逸らした様子を見るにそれだけではなさそうだ。

[これでもさっきのダイクくらいの相手までなら僕を盾にすれば安全だよ。]

返事は無い。無言で顔を伏せじっとしている。暫くそっとしておいた方が良さそうだ。門の周囲に集まる人々から距離を取り、隠れるようにここにいた彼女だ。そうするだけの事情があったのだろう。それにも増しての僕の言葉が分かる彼女の存在は有益だ。今日街に入った短い時間でそれは実感できた。通訳が出来るだけでなく彼女の持つ教養が重要だった。森の奥で箱入り娘に育ったルルと違い、アイオラにはどこかで教育を受けた様な社会で生きる為の教養があった。今後、何をするにもそれは役に立つものだ。


 何となく今日はもうこのまま彼女は動け無さそうなので、昼時という事もあり食べ物でも提供しようかと身体に魔力を循環させる。実ったハルトの実を彼女に差し出す。

[昨日タイカンさん達も食べてもらって、味は保証するよ。]

「ルル良く知らないけどゴーレムの体はハルトの木だからハルトの実でしょ?人間は食べたがるって母様が言ってたよ。」

そうなのかレムリアの知識で検索してみる


〈ハルトの果実〉

『活力と再生の魔力を実体化させ果肉とした果実。食すと細胞を若返らせ体内ホルモンを状態もそれに準じた状態にさせる。果実のその物が若返りの秘薬とされる。味は甘く美味。』


 これ知られたら厄介な事になる奴だ。確かハルトの木は最後の一本が自分の体になったのだから、言わなければそうそう知られる事は無いだろう。というかハルトの木ってどんな植物なのだろう。


〈ハルトの木〉

『光の聖霊の住処で慈しみの感情から生まれた光を浴び続ける事で変異した魔樹。その昔、世界を守った勇者が瀕死の重傷を負った際に葉を煎じた薬で生き永らえ、その果実を食し長く世界に平安をもたらしたという。多くの宗教にて神聖視される。』


 随分仰々しい経歴のある樹木だったようだ。タイカンさんには教会に行くように言われたがあの人、気付いてやしないだろうな。表沙汰にすれば情報集めは楽そうだが、本気で厄介ごとに巻き込まれそうだ。頭に生えてる葉っぱとんでもない薬草だったぞ。アイオラがハルトの葉の形状を知っていたらそれだけで面倒な事になりそうだ。


「ハルトはもう実在しませんよ?全て魔王が切って燃やしましたから。」

そう言いながら差し出した実を食べてくれた。顔は伏せたままなので表情は見えないが、咀嚼から飲み込むまでの様子からお気に召したようだ。

[美味しいでしょう?僕は食べられないから味は解からないけどね]

返事は無い。そのまま動く気も無いようなので彼女を於いて勝手に行動させてもらう。


 最初に今いる小屋跡の改修だ。ただしあまり確り小屋を治すと人目を引いてしまう。それはアイオラの望むところでは無いだろうし。先程知った自身の事を鑑みても目立つマネはしたくない。辛うじて残っている壁を補強し雨どい程度の屋根を取り付ける。この屋根も無い場所でアイオラはどんな暮らしをどれだけ過ごして来たのか。想像しても碌な事は浮かばない。森林魔法と土魔法で木材と鉄骨を作り簡単な補修をする。その結果、僻地のバス待合所の様な感じになった。鉄骨と言っても魔法で作った不思議金属だ。

「おうち造るの?」

[屋根をつけるだけだよ。]

次に屋根の下に石を積み土でそれを多い竈を作る。その上に以前の土魔法で瓶を作った時の容量で鍋を作り乗せる。僻地のバス停からさびれたキャンプ場の炊事場になった。そこまで作って火のつけ方に考えが至る。魔法は使えないし、土魔法で火打石を作ってもその後が困る。ススキの穂に火をつけるのを何かで見た覚えがあるので燃えやすそうな物を探しに行く。青々とした草が生い茂っているがススキの穂の様な物は無い。葦でもあればと水場を探すも、見当たらない。門の付近のテント村に井戸があるのを見つけた。観察していると他に水源の様な物が無い。魔法で水を生み出して居る人を見つけてここが魔法のある世界のだと再認識した。


 特に収穫も無く小屋跡まで戻ってくると、時間が経って少し落ち着いてアイオラが興味深そうに竈を眺めていた。

[火を起こす方法が思いつかなくてね。アイオラは魔法は使えるのかい]

「風の魔法がLv4です。」

[それは評価としてはどんな感じなのかな?」

「それぞれ適性は最高でLv10と言われています。魔法を使って仕事するなら一つは3以上の適性が無いと務まらないと言われます。」

[成長したりするの?]

「沢山経験を積むことで適性が上昇したり、新たな適性を得る事はありますね。その為に危険な魔物退治に行く人は多いです。」

[実際に成長して生還する人は少なそうだね]

「はい。ゴーレム様は魔法が使えるのですよね。適性を教えてもらえますか?」

[水と土の魔法ががLv8で森林魔法がLv5だよ]

少し下にサバを読んだ。

「凄い、王宮の上位魔導士でもLv8が一つが最高なのに二つも。」

[創造主が特別だからね]

そう言って頭上を漂う発光体に視線を向ける。それで納得してくれたようだ。

「それで火を起こす方法なのですが、それだけの土魔法の適性と魔導鉄鋼を生成する術式が使えるのですよね、そうであれば宝石の様な鉱物の生み出せるのではないでしょうか。」

魔鋼精製より少し低い難易度で魔鉱精製というのがあった。

[出来そうだね]

「その術式で炎を宿した石を生成してはどうでしょう。消えることの無い炎を中に宿した宝玉があると聞いた事があります。」

[魔法って便利なんだね。]

レムリアの知識を少し引き出しながらアイオラいう鉱石と思われるものを生成する。魔力が収束して実体を持ち始める。普通に球状だと、設置し難そうなので丸みを帯びで角の無くなった円錐状に形作る。竈に入る大きさに調整し完成する。円錐というより台形の回転体の様な形になっている。手の上に精製された鉱石からもう熱を感じる。結構熱そうだが、自分の体が燃える様な気配は無い。意外と火にも強い様だ。

「凄い、本当に作ってしまうなんて。」

透明な結晶の中で底面から白い光の粒子が沸き上がり、上の面で収束して炎となる。見た目は結構綺麗だ。とりあえず竈の中に入れて上から覗くと結構な熱量があった。満足したのでアルタイトの大瓶に放り込んで蓋をする。かなり熱いハズなのに、アルタイトの瓶が熱くなるような事は無かった。流石最高位の魔導鋼物と思っておく。

「ゴーレムさん、今の宝玉を貴族か名の知れた商人の所に持ち込めば、聖霊様の復活を手伝ってくれると思いますよ。」

力無い声でアイオラが助言してくれた。信用できる人にあったらそうしようと思う。

[アイオラは誰か紹介出来る貴族か商人は居る?]

目を逸らされた。

[教会の人ならだれかいるかな]

「わかりません。」

「そっか、それじゃあ明日行ったときに聞いてみよう。」

 そうして現在思いつくだけの場所の整備をしたところでその日の活動を終える。アイオラは本当にその場を動かずじっとしていた。気付くと寝息を立てていた。まだ若いのにこんな生活していたら将来絶対に身体を壊すだろう。


 自分が最後に寝た布団の感触を思い出す。フローリングに直接寝るよりはマシなだけの風通しが良く固い布団だった。石の床に蹲り膝に顔を沈めて眠る彼女の姿に生前の自分を重ねてしまう。街での様子から彼女が何か犯罪を犯していたりする様子は無い。能力的にも劣っているとは思えないのにこんな生活を一人でしている。おそらく犯罪の被害者側なのだろう。能力がある分、救済の手が無くても生きていくことが出来てしまう。それ故に誰も彼女を救おうとしなかった。彼女自身が拒んだのかもしれない。


 しかし、同じように一人で生きようとして僕が破綻したのはまだ一週間もなっていない最近の事だ。この世界の四季がどんなものかは知らないが、冬はどうしのぐつもりだったのか。薬草の減るだろうし寒くもなる。こちらの一方的な善意の押し付けでしかないが、アイオラが僕と意思疎通できる能力を持っていてよかったと思う。干渉する理由になるから。


ルルとアイオラに眠る中、そんなことを一人考えていると、門の方が騒がしい。誰かが大声で何か叫んでいる。小屋跡の壁から身をだして観ると。すると番兵が騒いでる男に詰め寄り、何かを言われて慌てて門の方へ走っていくのが見えた。そしてカンカンと鐘の打ち鳴らされる音が聞こえて来た。悲鳴と共に男が森の方を指さす。そこに大きな黒い影が現れる。鐘の音にテント村の人々が目を覚まし明かりが増えると、その影の正体が照らし出される。


 そこにいたのはサイに鎧を着せた様な大型の魔獣だった。

他者の投稿作品においてもいろいろな手法で、あとがきや前書き欄を活用しているのを見ると、

サイトの形式も利用していて、時代というか、そういう場所なのだといろいろ考えさせられる。

無造作に行われているが書籍形式の小説では見かけない様式だからなぁ。

ああ、でも書籍版のオーバーロードみたいに巻末のキャラ紹介の様な物と考えると、

そこまで珍しいモノでもないのか。精進せねば

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