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Le pomme du Eden  作者: 神谷 楓
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Prologue1 ーEden's songー


この世界には二種類の人間がいる。

一つは一般人。一つは神に愛された人。

神は人類のごく僅かな人間を愛し、寵愛を与えた。

それは人でありながら人を超えた力、それを人々は"ギフト"と呼んだ。

ギフトは神が作り出したもの。

故にある神話になぞらえ、それを持つ男性は"アダム" 女性は"イヴ" と呼ばれた。


ギフトとは人智を超えた力、人の身では持ち得ないはずの異能力だ。

しかしギフトを持つ人間は、全人口の2割にも満たない程少数である。

そのため、一般人の彼ら/彼女らに対する認識は酷く曖昧なものであった。

「化物」「神の写し身」「兵器」「悪人」

その認識とは、大体が負の感情によって生み出された物となっていた。

ギフトは強大な力だった。それ故に、持たない者にとっては恐怖の対象である。

それが高じ、異能力を恐れた一般人は、彼ら/彼女らを迫害の対象とした。

そして、元々ギフトを恐れていた権力者達はこれを利用するのである。

「ギフトを持つ者は神聖なものではない、罪人である。これらは排除すべきだ!」

そう高らかに宣言したのは、国家の最高責任者候補であった。

「私はギフトを持つ者を排斥する!我らの国に、罪人はいらない!」

その言葉を公約に立候補した男は、ほとんどの一般人に受け入れられ、そして歓迎されたのである。

そして男によって新たに作られた物が【アダム及びイヴの生存及び人権に関する法律】だ。

全項は50にも登り、彼ら/彼女らに対しての基本的人権が詳しく定められた法であった。

しかしそれは基本的人権を確定するものではなく、むしろ人権を侵害するものだった。


『アダム及びイヴは、生存権及び幸福追求権及び基本的人権を有さない。』

『アダム及びイヴは、公共機関及び設備の利用を制限される。』

『警察は犯罪発生時、容疑者の中にアダム又はイヴ又はその両方が居た場合、それらを第一容疑者とし逮捕する権利を有する。』

『アダム及びイヴがギフトを使用しての問題発生した場合、その場に居合わせた者は私刑を実行しても罪に問われない。』


この法律が施行されて以降、彼ら/彼女らに対しての風当たりは目に見える形で非道くなる。

一般人が彼ら/彼女らに対し犯罪行為を行っても、それを咎める者や止める者は現れなくなった。

この法律により、多くの彼ら/彼女らは惨たらしく蹂躙され、殺戮された。


故に彼ら/彼女らはそれを一生涯隠し生きるようになった。

家族にも、友人にも、恋人にも。

しかし、細心の注意を払っていたとしても、自分がアダム又はイヴであるという事が周囲の人間へ漏洩することがあった。

そうした場合、彼ら/彼女らは二つの行動のどちらかを取る。

一つは、逃げる。

一つは、知った人間を殺す。

大体は前者を取る。

ギフトとは人によって様々な力であり、そして全員が強く強大な力である訳ではない。

攻撃性に優れない力を持った者達は総じて逃げ隠れた。

しかし、中には後者を選ぶ者がいた。

後者を選ぶものは大体が攻撃性の強いギフトを持っている場合だった。

それらは一般人では手に負えず、周囲の街や人間に多大な被害をもたらした。

それはまるで天災のように一般人の生活を壊す。

しかし、ギフトとは際限なく使える代物ではなく、徐々に力が弱くなると決まって国家機関に身柄を拘束された。

そして処刑された。

それに裁判などなく、捕まったその日にはもう死刑が執行される。

粛々とではなく、公の場で首を吊らされ、その場に放置された。

肉が腐り落ち、首縄に腐った肉がこびり付き黒くなった頃、ようやくそれは回収されるのである。

まさに見せしめであった。


人権を無いとされた彼ら/彼女らは、いつ生命の危機に晒されるか怯えながら、ギフトを隠し、今日も生きている。


ある人は言った。

「ギフトは、神が捨てた致死の毒だ。」


初投稿なので至らぬ点が多いと思います。

誤字、脱字などありましたらご指摘いただけると幸いです。




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