缶コーヒー、ブラック
あなたのフラットな感情
握ったつめたい指先
スニーカーの結び目のゆるんだ紐が
わたしの付け入る先
投げかけた世間話に
生真面目な返事
抑揚のない声を乾いた風が運ぶ
あなたの缶コーヒーはブラック
一寸先は闇
そんな心持ちでついたため息で
暖めてる手のひら
先に口を開いた方が負け
あいこのない喧嘩を繰り返しては
あなたの勝ち越しがつづく
シーソーで席につくのはいつもわたし
始まらないゲームに途方に暮れて
今はブランコに勤しんでるから
眺めるばかりなら背中を押して
夜空から勝ち星をひとつ盗んで
あなたの胸につけてあげる
湿度を失った愛が転がってる
あなたの缶コーヒーはブラック
わたしには苦すぎるそれを
飲み干す喉を見つめ
コーヒーの実は赤い、
そんなことを思い出して
慰められたりする