セシル、見つける
セシル視点です。
広く青い海。切り立った山々。僕の生まれたシューエン国はアムールノ国と並ぶ大国である。
いや、あったというべきなのか。アムールノ国は若き賢王と名高い、美しきロゼアム王がいる。フルール国の公爵令嬢と婚姻し、3人の子宝にも恵まれている。
それに比べ、我がシューエン国王は身体が弱く、政治もままならない。王弟の叔父が代わりに執り行っている。本来ならシューエン国王は王弟に王位を譲り、王弟が次代の王となるはずだった。しかし、シューエン国王の唯一の王子である僕は獅子の王に愛された。
僕は王弟にとって邪魔な存在であった。
獅子に変わることを知ってる者は王弟によって消された。僕も消されるはずだった。
僕にはまだ力がなく、王弟を止めることが出来ない。
僕は消される前に城を抜け出し、アムールノ国を目指した。何故だか分からないが、僕の血が肉体がアムールノ国を求めていた。
アムールノ国王は僕を受け入れ、知識を与えてくれた。
初めてリリアムと合った時は黒に近い紫の瞳から目が離せなかった。それと同時に愛されて育ったリリアムに反感をもった。仲良くしたい気持ちと、負けたくない気持ちが僕の中でぐちゃぐちゃになる。
ある日、双子に膝枕をしているのを羨ましく見ていたら、彼女の悪戯心でいつも生意気な僕に無理やり膝枕をした。
疲れていた僕は彼女の膝枕で眠りについて、気を抜いて獅子の姿になってしまった。
しかし、彼女の態度は変わらない。セシルはどんな姿でもセシルだと言ってくれた。
僕が求めたいたものがあった。彼女は僕に安らぎを与えてくる。
命を狙われる心配はないものの、気が抜けない日々。リリアムの優秀さを聞くと焦ってしまう僕。
リリアムは無理しなくてもいいと言ってくれるけど、6歳年上の彼女はいつまでもは待ってくれないだろう。
早く大きくなるから、待っててね。リリアム。
君のために早く大きくなるからね。