表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/19

リリアム、天使と出会う

「誰がにゃんこですか?」

背後から耳元に囁かれる透き通る声。後ろを振り向くと、金髪に榛色の瞳。天使の様な顔立ち。

セシル・シューエン。シューエン国の第一王子である。セシルは留学という形でアムールノ国に来ている。


「なぜ、セシルが花の館にいるの?ここへは入れないはずよ。」

紫の瞳が鍵となるので、お城の後宮の片隅にある館へはわたしか、母様、父様が一緒でないと入れない。


「俺が入れた。セシルとエル、ミルが遊んでるのが見たくて。リリアムはこの後ビオラと王女教育の勉強だから、俺は3人を見て癒される。」

母様に寄り添う父様は、お疲れなのか母様成分が足りないのか、3人を見て癒されたいらしい。


確かに、天使顔立ちのセシルに、父様似の美しい双子。3人一緒は絵になる。でも、セシルが天使なのは顔だけだ。口を開けば嫌味ばかり。


「心配しなくても、後でリリアムとも遊んであげますよ。」

わたしを見て微笑むセシル。わたしより睫毛ながいなぁ。


「婚約者候補とのデートの予定もないでしょうし。」

ほら、やっぱり嫌味ばかり。肌もわたしより極めが細かいなぁ。


「何でわたしが、セシルに遊んでもらわないといけないの?あなたはわたしより年下じゃない。

わたしと一緒に遊びたいの間違いかしら?」

そう、セシルはわたしより年下の10歳。声変わりもまだで、身長だってわたしの肩くらい。

嫌味なセシルは年のことを言われるのが大嫌い。


「じゃ、後で遊んでもらおうかな。エル、ミル庭の噴水で遊ぼう。」

セシルは年のことを言われ一瞬嫌な顔をするが、すぐに天使の笑顔に戻ってわたしに遊んでほしいと言う。わたしが嫌だと返事を言う前に、エルとミルを連れて噴水へ向かう。父様も癒されるため3人の後を追う。


「ロゼアムが男性をこの館へ入れるなんて、珍しいと思わない?」

母様がわたしへ疑問を投げ掛ける。


「リリアムとも仲が良いし、わたくしもセシル王子が息子だったら嬉しいわ。」


「わたしとセシルは仲良くなんかありません!セシルを何歳だと思ってるのですか?いくら婚約者がいないとは言え、セシルと結婚はしませんよ。」

母様に向かって言うと、母様はわたしを面白そうに見る。


「リリアムの旦那さまではなく、わたくしとロゼアムの息子だったら嬉しいという意味だったのよ。でも、リリアムったらそう勘違いするのね。

まんざらでもないのかしら?」


「母様の方こそ勘違いですよ。まんざらって何ですか?」


「あらあら、顔を赤くして必死に否定しなくても。そうだわ、今日の授業はセシル王子への贈り物を作りましょう。ここで使う王子の椅子はどうかしら?」


母様はウキウキと木材調達へ行きましょうとわたしの手を取る。


母様、普通、淑女は椅子は作れないと思いますよ。ノコギリの使い方って王女教育としてどうなのですか?

ビオラ:あら、ノコギリなんて持ってどうしたの リリアム。


リリアム:ノコギリは使わないのですか。(ほっ)


ビオラ:ええ、まだ使わないわ。


リリアム:母様、もしや手に持っているのは、斧ですか?


ビオラ:木材調達からよ。


リリアム:父様、とーうーさーまー!助けっ


ビオラ:もう、淑女が大声なんてはしたないわ。


リリアム:(斧もって娘の口を塞ぐ淑女もいないわよ。誰か助けて!)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ