リリアム5歳、御披露目
短いです。
御披露目の舞台となるお城の広間を見渡せるバルコニーを目前にわたしはとても緊張していた。母様の言った通りたくさん人がいます。
今まで館で両親と数名の侍女しかいなかったので驚き体が固まります。
「まず、父様がスピーチをしますわ。リリアムは王女だと紹介されたら、笑顔で自分の名前を言うのですよ。母様がずっと手を繋いであげますから、緊張しなくて大丈夫ですわ。」
でも、緊張でわたしは今にも泣きそうな顔になります。
「リリアム、これが王女としての第一歩ですわ。王女たるもの表情一つで相手へ弱みを握らせないこと!心で何を思っていても、自分の思惑だけを相手に伝えることよ。笑顔は基本。」
わたしは、コクコクと頷き母様の手を握りしめ、スピーチが終わった父様の待つバルコニーへ足を進めた。
「アムールノ国民よ、私の可愛い娘リリアム王女だ。この国の豊穣の女神の娘。今日で5歳となり、御披露目となった。」
挨拶を促すように母様は繋いだ手を優しく握りしめる。
「わたし、リリアム・アムールノ・フルールです。」
わたしはとびきりの笑顔で挨拶をし、手を振る。
すると、溢れんばかりの歓声と拍手が広間を覆いつくす。後々知ったことですが、妻、子供可愛さに館に閉じ込め…、云々で本当に後継ぎがいるのか国民は半信半疑だったそうです。
父様のヤンデレって国民に知れ渡ってます?
それと、母様。とびきりの笑顔のわたしにボソッと70点って!5歳児の笑顔って普通100点じゃないですか?厳しすぎます!いつもは優しい母様ですが、教育ママになりそうです。
国民A:本当に王女様がいたんだ。ビオラ様、王女様可愛さに表舞台には絶対に出さず、誰の目にも触れさせないと思ってたけど…。一週回って可愛さに自慢でもしたくなったのか?