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リリアム、泣く

セシルの姿に皆次々と膝を折る。誰一人立ってはいられぬほどの威圧。王なる風格。


「僕は獅子の王に愛された子。この意味が分からないのか!」

牙をむき、吠えるように言い放っ。



皆、畏敬の念を持ちひれ伏した。セシルが王として認められた瞬間でもあった。獅子の王の風格はとても立派な姿だった。わたしの膝枕で寝ていた獅子の子供とは思えない。


「誰か!誰かセシルを捕らえよ!」

獅子の王の姿にアゼルも驚いている。 命令を出しても誰一人として頭を地面から上げる者はいなかった。わたしの手を離し、セシルにフラフラと歩き出す。


「獅子の王よ。何故セシルだったのだ?私の方が相応しいのに。私は終わった。終わってしまった。」

アゼルは懐から液体の入った瓶を取り出し、木に向かい投げつける。すると割れた瓶から火の手が上がり、気に燃え移る。

一気に火が大きくなり、次々と木々に火が回り逃げ道がなくなってしまった。


「セシル、王女。私と共に逝きましょう。」

虚ろな目でとても正気とは思えないアゼル。


「リリアム!」

セシルは一足でわたしの元へ来て、力の入らず崩れ落ちそうになるわたしを口で受け止め器用にセシルの大きな背中へ乗せる。


兵士たちは立ち上がり、草木を払い逃げ場を作ろうとするが間に合わない。


チリリと肌が焼けそうくらい熱い。

熱い、力が入らない。もうダメなのか?


そんな中わたしは母様の言葉を思い出した。

女神の力を。


わたしは力を振り絞り、空に祈りを捧げる。

女神様、わたしはセシルと共に生きないです。



わたしの頬を涙が一筋つたう。すると晴れていた空が真っ黒になり大雨が降りだした。


女神の雨だ。




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