リリアム、なでられる
感想ありがとうございました。拙い文章ですが頑張ります。
花の館の一室。この頃一層忙しく勉学に励んでいるセシルと久々に一緒に過ごしていた。
「今度は公爵家の子息をチェスで負かしたのですか?本当に懲りないですね。」
リリアムを面白そうに見つめるセシル。
「パーティーでは、パートナーを差し置いて令嬢から囲まれるし。」
うっっ。言い返せない。
「審査員をした馬術大会では大会優勝者より高得点を出すし。」
ぐっっ。
「セシルは馬に乗れないじゃない!」
これは言い返せる。ちょっと得意げに言い返す。
腰に手をあて、顎をつんと上げセシルを見下ろす。
「僕は馬に乗れないのは、馬が獅子の本性を持つ僕を畏れるからです。根本が違います。」
わたしのつんと上げた顎を指先で元に戻し、目線を合わせてセシルも言い返す。
あれ?セシルと目線が合う。大きくなった?
この頃は、セシルもわたしも忙しく中々一緒にいれない。今日は婚約者候補と会う約束だったが、断られたので、久々にセシルと時間が取れた。婚約者候補は、わたしが熱く天文学について語っただけで心折れたらしい。おかしい、天文省の役人のはずなのに。
そんな感じでわたしの婚約者はいまだに決まらない。どの男性もわたしの心に響かない。わたしに勝るものが一つもない。
「リリアム聞いてますか?」
思案していたわたしに訝しげにセシルが聞いてくる。声変わりも無事に終わり心地よい美声となっている。
「ええ、聞いてるわ。セシル背が伸びたの?もうすぐ11歳の誕生日ですものね。」
「そうですね。僕もちゃんと成長してますよ。ちゃんとよそ見しないで見てくれないと噛んじゃいますよ。」
セシルは顎の指先を首すじへ下ろし、犬歯を見せて笑う。獣が補食するように頸動脈を狙うような仕草。
指先がなでる。
赤い唇が言葉を紡ぐ。
犬歯が牙を剥く。
セシルがわたしを補食しようとする。
「セシル、まだ早いわよ。」
わたしは首すじの手を握る。
「早いって何が?」
補食者の顔から、天使の顔へ。
「白々しい。」
天使のほっぺをつねる。
痛がる素振りを見せながらも嬉しそうなセシル。
「今日は膝枕で我慢する。」
膝枕をご所望のにゃんこに促されてソファーに座るわたし。座るとすぐにセシルの重みを感じる。
「まだってことは、いつかはいいなかな?」
不穏な言葉を残しすぐに寝てしまうセシル。




