表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本滅亡  作者: TAMAJI
3/137

No.003 一日目 23時 ~ 二日目 03時

 No.003 一日目 23時 ~ 二日目 03時


 まず一つは、大量の外国人労働者の受け入れであった。特に東京では極めて安い給料で働く外国人労働者が、いたるところにいて日本国民の職を奪っていた。それなりの学歴がなければ、そういった低賃金外国人労働者と同じ場所で働くしかなくなるので、借金をしてでも大学を卒業する必要があったのである。

 ただ、問題はそれだけではない。不況によって職を失うのは外国人労働者も同じである。そういった外国人達は、都内の特定の場所に集中して、独自のコミュニティを作り上げていた。そういった地域の治安は最悪で、殺人事件が起こっても警察が捜査することすらできなくなっている。麻薬、覚せい剤の取引は言うの及ばず、銃火器の取引も横行していた。

 それ以外の場所においても、治安の悪化は加速度的に進んでおり、銃規制すらまともにできなくなっているのが現状であった。

 それに対して、日本国民に対する取り締まりは厳しさを増している。少しでも外国人批判をしようものなら、ヘイト思想取締法によって刑務所に送り込まれることになる。

 こうした法律も後押しする形で、よほどのことがないかぎり外国人による犯罪に関しては、手のつけようがなくなっていたのだ。治安が良かった日本というのは、最早都市伝説のようになっている。

 今の日本は社会全体が暗い雰囲気に包まれていて、まともな未来が見えないのは何も修だけではなかった。

 そうは言っても、少しでも良い将来が欲しいというのは誰もみな同じで、修も必死であがいているのだ。

 帰りは地下鉄を使うつもりだったが、丁度入り口の辺りで集会が行われており、道が塞がれていた。拡声器を使い、耳がいたくなるような大音量で、ラップ調のリズムに乗せて『日本しね』というフレーズを連呼している。

 同じことを日本以外の国に対して言ったらヘイト思想取締法の対象になるが、日本に対して言うのはまったく取締対象にはならない。そのことが彼らの免罪符となっている。

 どういった連中がやっているのかは知らないが、近づかない方が無難そうなので、修はバスを使って帰ることにした。

 バスに乗ると明らかに日本人ではないであろうと思われる人間がほとんどだった。大きな声で北京語を話しているのでほぼ間違いないだろう。奥の座席は空いていたが、そこには座らず立ったままでいる。今ではバスの後部座席に座ると、犯罪に合う可能性が高くなるということは常識であった。今も誰一人座ろうとしないのはそういった理由からである。

 基本的に中国系の移民は他人に対して無関心な人間が多いが、犯罪をするとなると容赦がないのであまり近づきたくはない。

 バスに乗ってから4つ目のバス停で降りる。ここから十分程度歩くと修が部屋を借りているアパートにつく。

 道の途中で何人かの人間とすれ違うが、半分くらいは明らかに外国人だった。少し前まではほとんど見かけることはなかったのに、随分と増えてしまった。この周辺も急速に治安が悪化するのだろうかと考えて、修は鬱になった。

 自分の部屋に入ると、すぐにパソコンの電源を入れる。今からレポートをまとめなくてはいけない。もう、寝るような時間はなさそうだった。

 修が借りている部屋は六畳一間にトイレと風呂がくっついたユニットバスと、簡易的なキッチンがあるだけのとてもシンプルな部屋だった。

 狭い部屋なので、机もベッドもおいておらず、ちゃぶ台の上に古いノートパソコンを置いて使っている。フローリングの床なので長時間座ると足と尻が痛くなるので座布団を置いてその上に座わる。

 冷蔵庫からペットボトルに入った水を持ってくる。もちろん中身はミネラルウォーターなどではなく、単なる水道水だ。水源となっている土地を中国系の会社が買い占めたとか言って話題になっていたが、今のところ水道水をそのまま飲むことはできた。

 長い起動時間が終わり、ようやくマウスが使えるようになる。

 それでも、ノートパソコンからはハードディスクのカリカリいう音が絶え間なく続いており、スムーズな操作が可能となるまでは今しばらくの時間が必要であった。

 最初に起動するアプリはワードプロセッサで、レポートの提出に使うための文章フォーマットを呼び出す。

 次は必要な情報を見つけるために、ブラウザを起動する。大学のレポートに必要な情報をネットで検索するというのは、大学生にとってテンプレートとなっている。

 今日もいつものように、検索しようとするがおかしかった。

 普段なら検索ワードを入力すると、すぐにレスポンスがあるのだがそれがない。入力した後しばらく待機状態が続いた後タイムアウトになってしまう。一体どうしたんだろうと調べてみるが、確かにインターネットへの接続はされている。プロバイダへの接続もされているし、グローバルIPもきちんと取得できている。

 一体何が起きているのか、その理由を調べようにもネットへの接続ができないのでは調べようがない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ