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第七話 新しい生活を始めるために

◆冒険者ギルド


直哉は、受付のお姉さんにイリーナさんを取り次いでもらい、三人で個室に入った。

「イリーナさん、ただいま戻りました」

「戻ったの」

直哉は礼儀正しく、リリは元気よく、帰って来た報告とクエストの報告を開始した。

「あらら、お二人は随分と距離が縮まったのね、本当の兄妹みたい」

イリーナはリリにやさしい視線を向けながら、クエストの報告を聞いていた。


「オークが十三匹と、えっ? バトルオークが一匹?」

討伐証を確認していたイリーナが驚いた。

「バトルオークって中級のパーティで挑んで倒せれば御の字っていうあの化け物よね?」

討伐証を見てみると、ナオヤ96%リリ4%となっていた。

イリーナは驚愕していた。冒険者になって数日の直哉と、冒険者として未熟すぎる魔術師のコンビでバトルオークを倒した事に。

「あのね、リリが大きな音で目を覚ました時には、バトルオークはボロボロでお兄ちゃんを狙っていたの、だからリリは回り込んで最後にパンチを喰らわしたの」

リリはその時の状況を伝えるが、眠っている内に戦闘になっていたため、あまり役には立たなかった。


「何にしても、これだけの戦果があれば直哉君の冒険者ランクを上げられるわね」

そういって、ランクアップ申請書を取り出し必要事項を書き始めた。

ランクアップ申請書を提出し、認可されるまでの間にドロップアイテムの買い取りに入った。

直哉はオークの牙×13個とバトルオークの牙、そしてシルバーリングを取り出した。

「シルバーリングまで、手に入れたのね。もう驚き疲れちゃった」

イリーナはため息をつきながら、鑑定していった。

直哉の見立てでは、オークの牙は20C、バトルオークの牙は200S、シルバーリングは10Gの価値なので、その半額くらいにはなると予想していた。


「買取が7G、650S、195C、オーク討伐クエスト報酬が5S、バトルオーク討伐クエスト報酬が250S合計7G、905S、195Cね」

受け取ったお金を半分リリに渡しながら、イリーナさんに質問した。

「魔法が付与された石が売っている所って、どこですか?」

「魔法石なら鍛冶ギルドの一階で売っているものが一番種類あるし、商人ギルドの方で確認すればレアなものが取引されているかもね」

そういって、商人ギルドへの地図を差し出した。


「ありがとうございます、最後に僕たち一緒に暮らすことになりました!」

「く、暮らす? 付き合い始めましたとかではなく? はー、最近の若者は行動力が半端ないのね」

イリーナはそう言いながらも許可が出た冒険者ランクのアップ作業に入った。

「リリちゃんは、直哉君で良いの?」

「お兄ちゃんと一緒にいたいのはリリの方だよ?」

イリーナの問いかけにリリはしっかりと答え、

「というか、二人は付き合っているの?」


「いいえ、兄妹です(なの)」

次の質問には、二人で答えた。

「そっか、リリちゃんが幸せになるなら文句は無いけど、直哉君はどうなの?」

直哉は少し悩んだ後、イリーナに自分の境遇を話した。

イリーナは、直哉からの情報を整理しながら答えた。

「そっか、直哉君もこの世界での居場所が欲しかったのね」

「と、いうわけで、これから自分たちの店と家を作ろうと思っています」

そう言って、お店のレイアウトパーツを紙に書き出し組み合わせた模型と、家の模型を取り出した。

「こんな感じになっています」


お店のほうはシンプルで、平屋で手前が接客用、奥が倉庫スペース用となっている。

家のほうは複雑で、見た限り四階建てで、一番下が訓練場、次が入り口、次が住居、最後がお風呂などのリラクゼーションスペースになっている。

「お店のほうは良いとして、家は凄いわね。出来たら呼んでもらえるのかしら?」

イリーナは家の間取りを見てリラクゼーションスペースに釘付けになっていた。

「もちろん!」

更新した冒険者プレートを受け取りステータスの確認をした。


ステータス画面


ナオヤ

鍛冶見習い

冒険者ランク2

Lv:8

最大HP:88+200

最大MP:128+200


力:10+20

体力:8+20

知力:8+40

素早さ:8

器用さ:8

運:8+10


ボーナス 12

スキルポイント 12


スキル

戦士系:0

○縦斬りLv1

○横斬りLv2

○リジェネLv1

魔術師系:0

○魔力吸収Lv1

商人系:0

○目利きLv1

鍛冶系:3

 武具作成Lv3

 アクセサリ作成Lv1

 大工Lv3

 冶金Lv3

 精錬Lv2



(これで、鍛冶屋の見習いが取れれば攻撃スキルも鍛冶スキルもランク2以降のスキルが覚えられるな)

リリの方は冒険者ランクが上がらなかったようで、横で直哉に新調してもらった防具の手入れをしていた。

直哉の防具も、布製から鉄製に変わり防御力を高めていた。

「よし、次は鍛冶ギルドに行って、お店建てるぞ」

「おーなの」

イリーナに見送られ、二人は鍛冶ギルドへ向かった。



◆鍛冶ギルド


「おじさん、お久しぶりです」

直哉は裏口の髭樽おじさんに話しかけた。

「おっ、ナオヤじゃないか、調子はどうだ? ってこっちの調子は良さそうだな」

そう言って、小指を立てた。

「この子はそういう子じゃないけど、マスターは居ますか?」

直哉はあからさまに話題を変えた。

「最上階にいるよ、行き方はわかるよな?」

直哉は礼を言ってリリと共に奥へ進んだ。


「これはどういう意味なの?」

リリは小指を立てて直哉に聞いてきた。

直哉は、慌てて小指をしまわせて、

「それは、女遊びの事で、ってリリにはまだ早いか」

リリは困惑しながらも直哉に食い下がった。

「女遊びって、リリと遊んでくれるって事?」

直哉は冷や汗をかきながらも、妙案を思いついた。

「その事は、俺から事情を説明するのでイリーナさんに聞きなさい」

リリは渋々といった表情で、

「わかったの」

と、絶対納得のいってない返事をした。

「部屋の前で痴話喧嘩しとらんで入って来い」

いつの間にか、マスターの部屋の前に居たらしく、呼び出しのお姉さんが若干引きながら直哉を見ていた。

直哉は開き直りつつ、

「失礼します」

と、マスターの部屋に入った。


リリがマスターを見て、

「あー、仙人様がいるの」

「ちょっ、何言ってくれてるの」

直哉は焦っていたが、

「ふぉっふぉっふぉ、可愛いお嬢さんじゃの」

「なのー」

何故か意気投合した二人。


直哉は気を取り直しマスターへ相談事を持ちかけた。

「お店と自宅を作りたいので、郊外の広い土地が欲しいのですが」

マスターは直哉の石の剣作成の件で、スキルの特異性を知っていたので候補地を探しておいてくれた。

「ちと値は張るが、ここは面積も広く店と家の間に林も配置出来るから条件的には良いぞ」

と言って、城下町の外れにある森の一角を指差した。

直哉とリリは地図を覗き込んで、ここなら大丈夫だねと確認しあった。

「店や家の目処は立っておるのか?」

「この、模型をご覧ください」

マスターの質問に直哉はイリーナに見せた模型を取り出して見せた。


「フムフム、これは面妖な」

マスターはお店の方は一目見て頷き、家の方はワクワクするようにじっくりと見ていた。

「この部分はリフトで、入り口が二階というか、もしかして地中に埋めるのか?」

直哉は驚きながらも、

「そうです、この訓練場は地下に埋めようかと思っています」

直哉もワクワクしながらマスターと話した。

玄関フロアは、ダイニングやキッチンなどが完備されており、酒場のような感じになっていた。

住居フロアは、大きな区画が二つあり、リリと直哉で一つずつ使う予定であった。

リラクゼーションフロアは、大浴場が二つと露天が一つのお風呂があった。

「こんな感じになっています、後にスキルレベルが上がれば増改築を行っていく予定です」


現実的な案を示した所でマスターは納得した。

「では、土地代は2Gになるが良いかの?」

直哉は即決で2Gを払い土地を確保した。

「これで鍛冶職人への第一歩だな」

「やったね!」

直哉とリリが満足しているところに、マスターが微笑みながら、

「お店が出来たら連絡をよこしなさい、係りのものにチェックさせるのでの」

直哉とリリはお礼を言って部屋を出て、その足で一階の販売スペースを訪れた。


入り口に居たさわやかなお兄さんが近寄ってきた。

「本日は、ご購入ですか? ご依頼ですか?」

直哉は、明かりや注水、排水、注湯などの魔法石を買いに来た事を告げると、

「結構値が張りますけど、大丈夫ですか?」

さわやかなお兄さんは、マニュアル通りの対応をしてきたので、直哉は聞いてみた。

「どの位、かかるのでしょうか?」

「最低で1S、高いものだと500Sはしますよ」

「買える物もあるようなので、お願いします」

さわやかなお兄さんは、謙虚な直哉を気に入って魔法石を販売しているフロアまで案内してくれた。


「お兄ちゃん、私はあっちが見たい」

リリは、魔法具の売り場を指差していた。

「一緒に行こうか?」

「一人で大丈夫なの」

直哉は着いて行こうとしたが、リリは一人で行ってしまった。

(まぁ、冒険者家業はリリのほうが長いから大丈夫だよな)

直哉は当初の予定通り、明かり20個×1S・水(注水10個×1S)+(排水10個×2S)・お湯5個×8S・風15個×4Sを適量購入し150Sの支払いを済ませ他に目ぼしい物が無いか物色していた。

リフトなどの動作石を探していたが見あたらないため、リリが行った魔法具売り場へ向かうことにした。

すると、沈んだ顔のリリが魔法具売り場からやってきた。


「どうかしたのリリ?」

直哉は心配そうに声を掛けると、

「お兄ちゃんに作ってもらったこの武器の価値の分かる人が居なくて悲しかったの」

「あー」

それは仕方ないという言葉を飲み込んだ直哉は、

「その武器はリリ専用の武器だから、他の人には価値が分からないのは当然だよ」

リリを慰めながら、家具売り場へ向かった。

窓を作るのに必要なガラスを買うためである。ガラスは不透明なものが多く、透明度の高いものは高値で売られていた。直哉のスキルでも作成できるが、材料が足らず既存の物にする予定であった。

必要枚数の曇りガラスを買い込み、他に必要な物があれば後で買いに来れば良いと思いお店部分から出て、ギルドの自分のスペースからアイテムを回収し、次に商人ギルドへ向かった。



◆商人ギルド ギルド本部から個人商店まで


イリーナに教わった商人ギルドへ行くと、多くの人でごった返しており、迷子にならないようにリリと手をつなぎながら受付に行った。

受付でリフトなどの動力石販売場所を書いたメモを貰い、そこへ向かった。

販売場所へ向かう途中、直哉に手を引かれていたリリが串焼き屋さんの前でとまり、


「リリ、あれ食べたい!」

と、大きな串を指さした。

「へぃ、らっしゃい! この串はモーモーキングの串で一本30Cだよ!」

こぶし大の肉の塊が四つも串に刺さっており、独特の濃厚なタレが焼ける芳ばしい匂いが食欲を刺激した。

「一本ください」

直哉は30C払い、屋台横の食事スペースへ移動した後、串をリリへ手渡した。

「ゆっくりお食べ」

リリは喜びながら肉にかぶりついた。


「お兄ちゃんも食べる?」

「お腹一杯になっちゃった?」

リリが肉串を向けてきたので、聞いてみると、

「やっぱり、一緒に食べた方が美味しいかなって思ったの」

「じゃぁ、一緒に食べるね」

直哉が一緒に食べると言うと、リリは喜んで、

「はい、あーんなの」

そういって、串をこちらへ向けた。

直哉は刺さっている肉にかじりつくと、肉汁と共に濃厚なタレが口の中に広がった。

「これは美味いな、肉は美味いしタレも負けないくらいに美味い」

「でしょでしょ」

リリは直哉と一緒に肉を頬張り、幸せな時間を過ごしていた。


食べ終わった二人は目的の店に向かった。

途中で素材の店があったので寄っていた。

リリがつまらなさそうな感じだったので、店内をサッと見て、衝撃吸収効果・魔法反射効果・爆発的燃焼効果がある素材を購入して、早々に立ち去った。


動力石を販売している店は、客入りも少なくひっそりとしていた。

「なんか、この店だけ雰囲気が暗いの」

リリはそう言いながら店に入ると内装は意外と普通だった、ただそれはいた。


「いらっしゃーい」

店番をしていたもの凄く化粧の濃いおっさんが話しかけてきた。

リリは一瞬で直哉の背中に隠れ、直哉は瞬間的にお尻をカバーしながら、目的の物を聞いてみた。

「ここにリフトの動力石が置いてあると、ギルドで聞いてきたのですが、まだありますか?」


「あっらー、礼儀正しい坊やは、私の、こ・の・み・よーん。じゅるり」

よだれの擬音まで口にしながら、なめ回すように直哉を値踏みした。

直哉は背筋に冷たいものが走る感覚と、リリがくっつくことで生じた物理的暖かさを同時に感じながら相手の言葉を待った。


「うほ。まぁーいいわーん。これがー動力石のーリストよーん」


(うほってなんだ? うほって)

リストには様々な大きさ、加工された動力石が並び、その価格が表示されていた。

「このメガネを使っても良いですか?」

直哉は鑑定のメガネを取り出した。


「あっらー、その若さで鑑定のメガネを持っているなんて、んもーゾクゾクし・ちゃ・う」

化粧の濃いおっさんはクネクネしながら直哉ににじり寄ってきた。


「も・ち・ろ・ん。好きなだけ調べて、いいわよーん」

直哉は鑑定のメガネを使い効果を調べつつ、適正の価格で販売していることに驚きながらも、

「この動力石をください」

700Sの価格のついた効力の高い石を購入した。


「あらん、お金の使い方も、す・て・き・よ、また買いに来て頂戴。次回は、たーっぷりサービス、し・ちゃ・うから」

恐ろしい台詞を吐きまくるおっさんから逃げるようにして店を出た二人は、店の前で大きなため息をついた。


「ぷはー、ものすごっく濃い人だったの」

「結局リリは一言も喋らなかったね」

リリは直哉の後ろに回りながら、

「だって、怖かったんだもん」

と後ろに隠れるまねをしていた。

それから、自分の店予定地へ向かうことにした。



◆ナオヤの店


森に続く道の途中に分かれ道があり、少し行ったところに森を四角く切り取ったような区画があり、『ナオヤの土地』と立て看板があった。

「ここが、僕たちの土地か!」

(どうやって作るのかな?)

とステータス画面を開くと、項目タブの一覧に土地というメニューが増えていた。

(これか)

直哉がそのタブをクリックすると、上空から見た自分の土地がマス目で区切られた状態で写り、その上に浮かんだ状態の配置メニューがあった。


直哉は四苦八苦しながら土地をお店部分と自宅部分に分け、お店部分は道の方から分かりやすく、家の方は少し奥まった所に木々を置いて分かりにくくした。

リリは、更地だった土地に、木々や柵などの区切りがポンポン出来ていくのを興奮しながら見ていた

「凄いの! 凄いの!」

デフォルトのお店をつくり、お店部分へ配置した。


「ふぅ、とりあえずMP的にこのくらいかな」

直哉は一息入れながら、リリと一緒にお店の中へ入った。

お店は、販売スペースと倉庫スペースに別れており、間は扉で区切られており、入り口も扉で倉庫スペース側にも出口があり全て木造であった。

オークの森で作った椅子や机そして、買ってきた明かりの石を取り出した。


「配置は任せて! お兄ちゃんは指示出ししながら休んでいて!」

リリはお店の中を所せましと動き回り、配置をしていった。

直哉は倉庫の方へ移動し、鍛冶ギルドに置いてあった自分のアイテムや素材を押し込んだ。

倉庫部分の材料は、鍛冶スキル使用時にどんなに離れていても使える様な仕組みになっていた。

(倉庫便利だな、もっと広くしておけば良かったかな?)

使用した石は明かり2、水1・1、風1で残りは家に使う予定であった。


「お兄ちゃん、お店の掃除終わったよ! 倉庫はどんな感じ?」

リリが扉を開け、倉庫の方へやってきた。

「おー、スゴい大量だね!」

リリは上機嫌で直哉の元にやってきた。

「そういえば、お店の方に作った物出さないの?」

「うーん、初期の武具なら良いかな」

直哉は考えをまとめながら、

「一応、鍛冶屋なので鍛冶をメインにしようかと思ってね」

リリがハテナマークを出しているので、

「売ることをメインにするのではなく、造ることをメインにしたいんだよね」

直哉は商人時代に売買を繰り返し、満足していたのであった。

「よく分からないけど、お兄ちゃんと一緒に居られるのならリリ何でもするよ?」

「じゃぁ、初期の武具をお店に並べてくれるかい?」

直哉はスキルレベルを上げるために作った木と石で作った剣やナックル、槍、棍棒などを集めた

リリは器用にまとめて運んで行った。


販売スペースの方に行くと、リリが店のスペースを縦横無尽に走り回って配置していた。

「おーいリリ、ご飯がてら鍛冶ギルドに行って、店作ったって報告に行くよ!」

「はいなの」

リリは元気良く答えたが少し悩んで、

「あ、でも、リリはご飯食べたら寄りたい所があるの!」

「一人で大丈夫? 一緒に行こうか?」

直哉は心配したが、

「大丈夫なの、鍛冶ギルドへ行く途中にある、魔術師ギルドに寄る予定なの」

「あー、確かに途中にあったね。何をしに行くの?」

「置いてある私物の受け取りと、新しい系統の魔法を覚えに行くの」


魔法の属性について

魔法の系統とは、基本的に四属性あり、火・水・風・土に分類される、それぞれの上級属性に爆(炎)・氷・雷・金(属)がある。火と水、風と土は同時に覚える事が出来ない。

魔術師達はこの系統を覚え、その後どのように活用していくかで、上級職が別れていく事になる。

この他に光・闇があるが、魔術師で扱える者は少なく、光は僧侶職、闇は魔族が使用していた。

リリは、水属性と氷属性覚えていて、エクスプロージョンは爆属性である。


「リリは水系の属性を覚えているんだよね? 何を追加するの?」

「風の属性を覚える予定なの」

リリは考えていることがあるらしく直哉につげた。

「風の魔法を使って、もっと早く動けないかなって思っているの」

リリはとんでもない事を考えていた。

直哉は冷や汗をたらしながら、そんなに攻撃速度を上げていったら、本当に武闘家だよなと思いながらも、

「そうか、応援するよ!」

と、リリのやりたいことを応援するのであった。


直哉は鍛冶ギルドで、リリは魔術師ギルドでそれぞれ用を済ませ、お店の方へ帰って来た。

お店の査定は一緒に来た幹部の方が行っており、直哉はリリが覚えてきた風系の魔法について考えていた。

「うわ、こんのー、ちょっと、あー」

リリいわく、熟練の風使いになれば風を纏い己の速度を上げることも可能であるが、覚えたてのリリでは上手くいくわけもなく、四苦八苦していた。


そこへ、査定を終えた幹部から声がかかった。

「ナオヤさん、お店の査定が終了しました」

「どうでした?」

直哉が聞いてみると、

「このレベルのお店が建てられるのであれば、見習いは終了して鍛冶職人になることが出来ます」

幹部はギルドへ連絡を入れると、直哉のステータスが鍛冶見習いから鍛冶職人へと変化した。

「よっしゃ! ありがとうございました」

直哉は喜び、幹部へ頭を下げた。

幹部は荷車を持ってきて、

「こちらは、鍛冶職人の証明書と、お祝いの品です」

手渡された物は鍛冶職人ナオヤの証明書で、荷車には鍛冶職人の炉と鎚があった。

「ありがとうございます」

直哉は証明書を受け取り、リリと一緒に炉と鎚を運び込んだ。

幹部が帰り、二人だけになったお店では、家造りを始めていた。

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