第三十六話 追加された装備
◆直哉の屋敷 地下鍛練場
(まずは、ステータスの調整だな)
ステータス画面
ナオヤ
鍛冶職人
冒険者ランク2
Lv:20
最大HP:156+200
最大MP:252+200
力:20+20
体力:18+20
知力:46+40
素早さ:13
器用さ:13
運:8+10
ボーナス 0
スキルポイント 25
スキル
戦士系:0
○縦斬りLv5☆
○横斬りLv5☆
○リジェネLv1
○得意武器(片手剣:Lv3)
四連撃Lv3
盾攻撃Lv1
急所攻撃Lv2
×の字斬りLv1
魔術師系:0
○魔力吸収Lv1
商人系:0
○目利きLv1
鍛冶系:0
武具作成Lv5☆
アクセサリ作成Lv1
大工Lv5☆
冶金Lv5☆
精錬Lv5☆
アイテム作成Lv5☆
武具修理Lv3
アクセサリ修理Lv1
家具修理Lv2
リフォームLv1
リサイクルLv1
魔法石作成Lv1
魔法の武具作成Lv1
魔道具作成Lv1
鉱石変化Lv1
サイボーグ系:0
疑似四肢作成Lv4
疑似臓器作成Lv1
疑似部位連携Lv4
疑似四肢修理Lv1
マリオネットLv4(MP補正:+40)
操り糸強化Lv1
(これまでの戦いで重要だったのはMPだな。という訳で知力に全振りしてみた。スキルは鍛冶系を覚えて、操り糸強化と、×の字斬りを覚えた)
「ふぅ! 頭が冴えた気がするぜ!」
(まずは、魔法石の現状で造れるのは、魔法石ランク1の中の火・風・水・土の四種類だけか。しかも各属性に必要な素材が必要か。必要なと言っても、火と水と空気と土だからすぐ出来るな。そして、いくつか造っていく内に、明かりの石とか造れるようになるはず。そして、最終的には転移石を造れるようになる!)
直哉は素材をかき集めスキルを発動させた。
ポンポンポンポンと各属性の石が五個ずつ出来た。
「おー、コレが新スキルなの!」
(次は、魔法の武具作成だな。さっき作った石を使ってリリのナックル杖の強化版を造ろう。ん? 魔法石のランクによって付けられる個数が決まるのか。しかも結構なMPを消費するな)
直哉はマリオネットを使い、クマさん人形をリンクさせて作業を開始した。
「とりあえず、四つの属性を混ぜて、今までのデータを呼び出して、作成っと」
直哉の持っている剣のような輝きをしたリリの武器が出来た。
鑑定のメガネで確認すると、予想通り《四属性の杖》となっていた。
「よし! 上手くいった! フィリアにも同じ属性を付けるね」
そういって、四属性のハンマーを渡した。
「さて、次はリリの盾を強化しよう」
既に装着した盾はそのままにして、新たに念動石などを組み込んだ盾を造ろうとした。
「まずは、制御部分の腕輪。そして、対応したピンクの花びら、こっちはさっきの四属性を足しておこう」
そう言って、MP回復薬をがぶ飲みしながら造り出したのは腕輪と十枚ずつ属性の違う四十枚の小さなピンクの花びら、モチーフは桜の花。腕輪には念動石を組み込んだ段階で付けられる限界になり、花びらの方は四つの属性を付けたところで限界になった。
(こんなところかな)
「普段はリリのローブのスカート部分にくっつけておく。腕輪を装備して、魔力を使って守れと指令を出してみて」
リリが腕輪を装備して、
「わかったの。よし! 私を守ってなの!」
地面に落ちていた花びらが舞い上がり、リリを中心にして周囲を飛び回った。
「綺麗なの」
「その状態にしておいてね。フィリア、リリに光の上級魔法で攻撃してみて」
「いきますわよ!」
「天より来たりし光の精霊よ、我が魔力にひれ伏し邪悪なる者に裁きの鉄槌を!」
「エンジェルフィスト!」
無数の光の矢がリリを襲う。
バシュ!バシュ!バシュ!
リリに近づく光の矢は、リリの周囲を飛んでいる小さな花びらが全て拡散させていた。
「すごいの! リリの所まで来ないの!」
(ふむ。上手くいったようだな)
「リリ! 元に戻れって考えてみて」
「元に戻ってなの!」
リリの周囲を飛んでいた花びらはリリのスカートへ集まって、五枚一組の塊となってリリのスカートの模様のようになった。
(よし! 完璧)
「これ、スカートが燃えたり凍ったりしないの?」
「腕輪を起動させている限りは大丈夫だよ。その腕輪が制御しているから。だから、戦闘中とか腕輪を破壊されると制御できないから気をつけてね」
「はいなの!」
「そして、操作にはMPを消費するから、慣れるまでその枚数で鍛練しよう。慣れてきたらどんどん増やしていこう」
リリは、花びらを自在に操るべく鍛練を開始した。
「さて、フィリアにも同じ物を用意するけど、形状は何が良い?」
「天使の羽根の様に大きいモノが良いです」
「了解!」
直哉はフィリアの要望通り、大きめの羽根を用意した。四属性の羽根を五枚ずつで合計二十枚。収納形態は背中部分に天使の羽根を閉じたような模様に収納された。
「こっちも同じく慣れるまでは少ない枚数で鍛練して、徐々に最大枚数を増やしていこう」
二人は念動石の使い方をマスターするべく鍛練を開始した。
(さて、次に魔道具作成だね。この魔蓄石を使ってMPを溜めたり出したり出来る道具を造るぞ! えっと、魔蓄棺ってやつだ。核となる魔蓄石に魔力を溜めておく場所にゴーレム岩を指定して、外側に魔力を反射する素材を大量に用意して、精錬を使って純度を上げて指定する、っと)
スキルを発動させ、必要な素材を選択していくと実行の文字が選択可能になったので作成を開始した。
「出来た!」
鑑定のメガネで確認すると、予想通り《魔蓄棺320/500》となっていた。
(よし! 最大MPが950になった。溜める時は何もしなくても良いけど、使う時はこのボタンを押さないとダメなのか。というか今、俺のMPがどんどん取られているような気がする)
鑑定のメガネで確認すると、《魔蓄棺350/500》となっていた。
(俺のMPがある限り吸い取られるのかな? まぁ、スキルで回復し続けるから大丈夫だと思うけど)
ステータスで自分のMPの増減と魔蓄棺の増え方を確認した後で、
(後は、火山に行く時に必要になる熱さを遮断する魔道具を造りますか)
「あのドライアイスっぽいやつを素材にして造ってみよう」
そういって、マント形状の保冷マントを造り出した。マントを装備している人の周りを一定の温度以上にならないようにする効果を持たせる事に成功した。
(予想以上に上手くいった。コレをベースに火山で素材を集めて保温のマントも造れれば最高だな)
直哉がニンマリしていると二人がやってきた。
「慣れてきたの!」
「やり方がわかれば、慣れるのは楽ですね」
二人の言葉に、
「枚数を増やしても問題なさそう?」
「そうですね、命令を出す時にMPを消費するようで、枚数が一枚でも二十枚でも同じでした。ですので、枚数を増やす事自体は問題ありません。ただ、個別に動かすとその分MPを消費しますので。それが注意ですね」
「わかった。素材のある限り造り出すよ」
そう言って、最大枚数造り出した。
一回の作成につきリリの花びらは五〇枚、フィリアの羽根は一〇枚造れる。
残りの素材を使って、リリの花びらが全部で五〇〇枚、フィリアの羽根が全部で三五〇枚となり、直哉のスキル『魔法石作成』と『魔法の武具作成』がそれぞれLv2に上がった。
(よし、やっぱり明かりの石とかの作成が出来るようになった、おそらく次のレベルで上位属性の爆・氷・雷・金が造れるようになると思う)
ステータス画面を確認した後、お城から作成依頼が来ている武具を造り、魔弾銃用の素材を提供して貰ったので試作品として魔弾銃とその弾を二個造り出した。
(作成依頼の武具は追加で三名分か。一人は重装備で、もう一人は魔術師だな。最後の一人は軽装だからハンターとか盗賊とかかな。そして全員女性用と来ましたか。絶対リカードの趣味が入っているよな)
直哉が城への納品物をチェックしていると、
「何ですかコレは?」
という、ミーファの驚きの声が聞こえてきた。直哉が声のした方を見てみると、リリとフィリアが念動石の鍛練をしていて、花吹雪と羽根吹雪が猛烈に戦っていた。
(俺が鍛練していない間に、二人が恐ろしく強くなったんだけど。俺、アレの間に入りたくない)
直哉が畏怖しながら見ていると、リリの花びらは一定の動きを繰り返し、フィリアの羽根は半分が防御、残りで攻撃と役割を分けて操作していた。
(フィリアはなかなか器用だな。それにMPも結構ありそうだ)
感心してみていると、
「三人とも、そろそろ上に来なさい、ご飯が冷めてしまいますよ!」
ミーファの大声に三人の動きが止まった。
「ご飯! 食べるの! そういえばお腹空いたの!」
リリとフィリアは戻るように司令をだし、直哉は造り出したモノをアイテム欄へ放り込み片づけを済ませて上の階へ上がっていった。
今日は、ヘーニルやヘーパイストスはギルド長としてお城に呼ばれているため集まれず、ラウラも付き添っていた。
イリーナはいつも通りの仕事を終え、帰って来ていた。
「先に始めてるよ!」
イリーナは直哉達が上がってくるよりも早くに食べ始めていた。
「お帰りなさい、イリーナさん」
「はーい。ただいまー」
ぐったりモードのイリーナであった。
「直哉様、私たちは汗を流してきます」
リリとフィリアはそのまま上の階へ行った。
直哉は二人を見送った後、
「何かあったのですか? いつも以上に緩くなってますけど?」
「緩いって・・・。そりゃ、今日はこの屋敷の斡旋と、地震から来る苦情や不安の声などに対応していたから、いつも以上に心身が疲弊しているの。早く食べて、温泉で全てを洗い流したい」
「この屋敷の応募はありましたか?」
「そりゃ、巷で噂の伯爵様のお屋敷で働けるのであれば応募も増えますよ。さっき、ミーファさんに書類を渡しておいたので確認するならどうぞ」
「そうですね。ありがとうございます」
「まぁ、コレが仕事だからね。っと、そうそう、セリーヌって娘、知ってる?」
直哉は少し考えたが、
「うーん、記憶に無いです」
「そっか。じゃぁ、知り合いって言うのも嘘か」
イリーナはそう言って、メモを書いていた。
「ちなみに、俺の事を何か言ってました? 何処であったとか?」
「ん? 教会で出会った運命の人だって言ってたわよ」
「教会であった、運命の人・・・・教会で会ったのはシスターとその長と神父さん、だった気がする」
イリーナは、
「その中だと、シスターね。シスター長ってジェニでしょ? 神父は男だろうし、そうなるとシスターになるわね。一体何したの?」
直哉は思い出そうとしていたが、
「全く覚えがありません。そもそも、教会に行ったのは、メイフィスさんの遺体と対面するために行っただけだし。その時会った人の事は、良く覚えてないですよ」
「ふぅん、そう言うことにしておくか」
イリーナは棘のある言い方で直哉を責めた。
「まぁ、間違いなく無関心でした」
「そっか。それなら、候補から外しておいた方がよいわね」
メモを取ったイリーナは、ミーファの元へ向かった。
(さて、一人で食べても味気ないし、俺はやり足りなかった基本鍛練でもしておきますか)
直哉は鍛練場へ向かった。
基本の型をなぞっていると、風呂に入っていた二人が顔を出した。
「やっぱりここに居たの!」
「お母様が怒っていますよ」
直哉は区切りの良いところで、
「二人を待っていた事にしてほしいな」
「そう言うと思ったので、お母様にはそう伝えました。まぁ、ばれていると思いますが」
「さっき、鍛練してなかったから、ここに居ると思ったの」
「そうなんだよね。飯の後で残りをやるか」
直哉は軽く汗を流した後、二人と一緒にご飯を食べに行った。
居間に上がると料理は暖めなおされ、ミーファが資料を見ていた。
「遅くなりました」
直哉の声に、
「急に居なくなるから心配したわよ! どこかに行くのであれば一声かけてくれると、助かるのだけど」
「そうですよね。昔と違って今はみんなで生活しているのですから連絡はしっかりとします、反省します」
「昔はご家族と暮らしていたのでないのですか?」
直哉は昔を思い出しながら、
「両親共に働いていたので、帰っても一人で過ごすことが、多かったのですよ」
「そういえば、そんな事を言っていましたね。でも、この家なら大丈夫! 誰かしら家にいるし、直哉さんの傍にはリリとフィリアが居ますから」
「そうですね。俺にとっては非常にありがたい事です」
「そうだ、お兄ちゃんに聞きたいことがあったの!」
「なんだい?」
「あのお花、見たこと無いけど何ていうお花なの?」
リリは直哉の造った花がたいそう気に入っていて、その花について聞いて見た。
「あの花は俺の居た世界にあった、桜という名前の花だよ。春になると綺麗に咲いて、みんなでその木の下でお花見をするんだよ」
「お兄ちゃんもお花見したことあるの?」
「いや、俺は一緒にお花見する人が居なかったから、したことないや」
「では直哉様の世界に帰ったときは、私たちでお花見をしましょう!」
ちょっと悲しかった直哉は、非常に嬉しくなって、
「ありがとう! 是非みんなでお花見をしよう!」
みんなで、楽しく食事を取った。




