表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/188

第二十四話 南の森で ~中編~

「お兄ちゃん、どうしよう?」

「フィリアの加護はまだ続いている。意識がある内に救出するよ!」

直哉は武具作成で巨大な木の盾を造りだし、マリオネットスキルを使い操作した。


(現在のスキルレベルだと、十本の糸が限界だな。しかも十本一気に動かすとMPをかなり消費するな。でも、フィリアの身には換えられない)

MP回復薬を飲みつつ、

「リリはMP平気?」

「まだ、回復薬余ってるの!」

リリは指を四本立て、残りの本数を教えてきた。

「それなら、フィリアに纏わり付いている白い粘着液を風の魔法で吹き飛ばして! 初級魔法ならフィリアの防具で防ぎきれるから!」

「はいなの!」


直哉は盾を動かしフィリアの上に配置した。

「これで、追加の攻撃は防ぎきれるはず」

ジャイアントスパイダーは狂ったように白い粘着液を飛ばしまくってきた。

リリは素早く盾の下に入り込み粘着液をかわしながら風魔法でフィリアの周囲を飛ばしていった。


(うぐぐ。敵の攻撃を避けながら糸を維持するのはMP消費が激しすぎるな。なにより、敵が自由に動けるのは厄介だな。ジャイアントスパイダーの弱点は火だったよな。それならアレを試してみるか)

直哉は盾の糸を三本に減らし、アイテム作成を使いガラスと布と爆発的に燃焼する素材とオイルと火種を使い火炎瓶もどきを作成した。


(これに衝撃を加えれば中の燃焼する素材が一気に燃えるはず)

直哉は盾と火炎瓶もどきに糸を付け、ジャイアントスパイダーに向け突撃させた。

ジャイアントスパイダーは迫り来る盾に反応し、粘着液を盾に集中させた。

(うぐぐ。重い)

直哉はMP回復薬をがぶ飲みしながら、火炎瓶もどきの作成をして、さらに糸を操作していた。


盾が近距離攻撃の範囲内に入ると、ジャイアントスパイダーからの直接攻撃がやってきた。

八本の足の内、四本を器用に使い打撃と粘着糸を付ける事を交互に繰り返していた。

直哉は、その攻撃を見切り、打撃攻撃が来る瞬間、盾と火炎瓶の位置を入れ替えた。

「ギギギ?」

ジャイアントスパイダーの足が火炎瓶を直撃し、もの凄い爆発と炎上が起きた。

その衝撃で、ジャイアントスパイダーは離れた位置に落下し、身体に付いた火炎に身もだえていた。


「今だ!」

直哉は追撃を掛けるべく、作って置いた火炎瓶もどきを操作し、ジャイアントスパイダーへぶつるように飛ばした。

三本目の火炎瓶が直撃した後、完全に動きが止まり、キラメキながら消滅した。

「よし!」


(これなら、投擲スキルが無くても相手に当てられるし、味方に物を届けるのにも使えるな)

直哉がマリオネットについて考えていた所へ、救出されたフィリアとともにリリが帰って来た。

「ただいまなの!」

「不覚を取りました」

身体についた不快感を拭うかのように身体を拭く真似をしていた。

「消耗が思ったよりも大きいし、この辺で休憩しよう」

直哉はMP回復薬を飲みながら、スキルを発動させた。


蛇神の湖で造ったコテージのデータを呼び出し再現した。

(そろそろ、蓄えておいた魔法石が少なくなってきたな。アイテム作成で造れるようになるのはレベルいくつだろうか? そうそう、さっきのジャイアントスパイダーがドロップした『糸の壺』は凄いな。蜘蛛の糸を素材にして使う事が出来るから、色々なアイテムに使えそうだ、しかも無限に使う事が出来るというのが素晴らしい。まぁ、まずは二人の武具アイテムの手入れからだな)

「二人の防具を修理するので、お風呂に行く前に俺に渡してくれるかな?」

「はいなの!」

「よろしくお願いします」

二人は防具を直哉に渡し、奥の風呂場へ消えていった。


直哉は武具修理を使い防具を新品同様へ直し、消耗した回復アイテムの作成に入った。

(MP回復用のハーブが少なくなってきたな、菜園の規模を大きくして生産量を増やさないと追いつかないな)

そう思いながら、MP回復薬を飲みつつ、MP回復薬を造るのであった。

そろそろ、ステータスを確認するか。


ナオヤ

鍛冶職人

冒険者ランク2

Lv:14

最大HP:132+200

最大MP:162+200


力:20+20

体力:18+20

知力:13+40

素早さ:13

器用さ:13

運:8+10


ボーナス 21

スキルポイント 28


スキル

戦士系:4

○縦斬りLv3

○横斬りLv4

○リジェネLv1

○得意武器(片手剣:Lv2)

 四連撃Lv2

魔術師系:0

○魔力吸収Lv1

商人系:0

○目利きLv1

鍛冶系:14

 武具作成Lv5☆

 アクセサリ作成Lv1

 大工Lv5☆

 冶金Lv5☆

 精錬Lv5☆

 アイテム作成Lv4

 武具修理Lv3

 アクセサリ修理Lv1

 家具修理Lv2

サイボーグ系:3

 疑似四肢作成Lv3

 疑似臓器作成Lv1

 疑似部位連携Lv3

 疑似四肢修理Lv1

 マリオネットLv2


(結構スキルレベルが上がったし、俺のレベルも上がったな。ジャイアントスパイダーを倒したときのポイントが大きく入ってる気がする。それにしても、武具作成の☆は何だろう? これ以上レベルが上げられないみたいだけど、最大レベルではないんだよな。帰ったら親方(マスター)に聞いてみよう。後は派生スキルの確認だな)


スキル名(消費スキルポイント)(前:前提条件)

戦士系スキル

 八連撃(10)(前:四連撃Lv5)

 熟練武器(10)(前:得意武器Lv5)

 盾攻撃(2)(前:得意武器・片手剣Lv1)

 急所攻撃(4)(前:得意武器・片手剣Lv2)

 ×の字斬り(8)(前:得意武器・片手剣Lv3)

 各種属性攻撃(10)(前:得意武器・片手剣Lv5)

鍛冶系スキル

 リフォーム(5)(前:大工Lv5)

 リサイクル(5)(前:武具修理Lv5 or アクセサリ修理Lv5)

 魔法石作成(3)(前:アイテム作成Lv5)

 魔法の武具作成(5)(前:武具作成Lv5)

 魔道具作成(5)(前:アイテム作成Lv5)

 鉱石変化(5)(前:冶金Lv5、精錬Lv5)

サイボーグ系スキル

 疑似四肢強化(10)(前:疑似四肢作成Lv3、疑似四肢修理Lv3)

 疑似臓器強化(10)(前:疑似臓器作成Lv3、疑似臓器修理Lv3)

 操り糸強化(10)(前:マリオネットLv3)


(フム、一気に消費スキルポイントが上がったな。それに、戦士系スキルの(バツ)の字斬り、やっぱり修正が入ったか。ゲーム内で最強を誇っていたチートスキル! 縦斬りと横斬りのダメージをかけたダメージを与えることが出来た技だったんだけどな。今回はスキルのダメージを足して十倍か。ついでに命中率も上がるか。リフォームとリサイクルは、造った家や武具を素材に戻すか、これはいいな。そして何より、魔法石の作成が来たぜ! 魔道具や魔法の武具作成も気になるし、一気に楽しくなってきた!)


色々試そうと思ったが、

「ただいまなの!」

「お風呂いただきました」

二人が戻って来たため、

「ゆっくりとスキルを吟味する時間も無いか」

「そうですわね。原因の場所へ急ぎましょう。不覚を取った私が言うことではありませんが」

「それじゃぁ、二人には装備品と消費したアイテムを渡しておくね」


二人に装備品を渡して、二人は装着した。

「おー、まるで新品なの!」

「さすが直哉様ですわ!」

「さて、新スキルでコテージを解体するから離れて」

二人が離れたのを確認すると、スキルを発動した。

コテージの素材が倉庫に入っていった。

(よし! これで、いつでもコテージが出せるようになったか。素材をアップグレードすれば、コテージもランクアップするな)


直哉はマップを開き半分くらいまで来ていることを確認した。

「よし! 行こう!」

「はいなの!」

「はい!」

三人は更に奥へと進んだ。


暫く進むと、リリが何かに気が付いた。

「お兄ちゃん、何かいっぱい居る」

リリの言葉に注意を向けると、高さはリリの腰くらいまであり、全長数メートル級の大きなアリが大量にいた。

「うへぇ、うじゃうじゃ居るな。見つかってないうちにルートを変えるか」

直哉達は抜け道を探したが、アリたちの行動範囲は予想以上に広く、なかなか突破できずにいた。

「このままじゃ、先に進めないの!」

直哉は覚悟を決めた。


「リリ、聞きたいのだけど、水の最上級の魔法って何を習得しているの?」

「お水の最上級はストリングウォーターって言って、大量の水を一気に溜める魔法なの」

「なぜそれを?」

「んー、覚えるのに一番安かったから」

「なるほど」

直哉は少し考えたうえで、

「よし、その水で一気に押し流すか」

直哉はマップと現在の地形を照らし合わせ、一番効果のあるポイントを割り出した。

「あの場所に大量の水を溜めて、一気に流そう」

そういって、少し崖になっている部分を指した。

「わかったの!」

「フィリアは加護を切らせないようにするのと、飛び道具を打つ準備をしておいて。水を回避して来るかもしれないから」

「わかりました」


リリは詠唱に入った。

直哉はマリオネットを発動し、レベルが上がったので操れる本数が増え、消費MPが少し減った。

(水が押し流して行く先はあの辺りを通過するな)

編み目が小さく全体は大きい網を造り出し、糸を使ってアリよりも水が流れたら下流になる場所へ配置した。

さらに、剣と盾、それに火炎瓶を操りながらリリを待った。

「水を司る精霊達よ、我が魔力と共にその姿を現せ!」

膨大な魔力が膨れ上がり、リリは直哉を見た。

「リリ! 今だ!」

直哉の掛け声に、

「ストリングウォーター!」

何も無い崖に大量の水が現れた。

リリはふらつきながら、MP回復薬を飲んでいた。

大量の水はジャイアントアントを次々と押し流していった。


どんどんとキラメキながら消えていく中、十匹程度のジャイアントアントがこちらにやってきた。

リリは息切れで対応できず、フィリアのクロスボウも距離が遠かったのか、アリの外郭を貫くことが出来なかった。

「まずいな、フィリア! リリを守って!」

直哉はフィリアの返事を待たず、マリオネットの操作に集中した。

同時に五匹以上のアリを相手にしているため、気を抜けず疲弊していった。


(盾と剣で攻撃を受けて、火炎瓶で攻撃して倒す!)

直哉の奮戦により、少しずつアリを仕留めていった。

「受けて、止めて、燃やす、受けて、止めて、燃やす」

呪文のようにつぶやきながら、前方のアリを片付けた。

そこへ、横をすり抜けたアリたちが動けないリリへ向かっていた。その数五匹。


「この!」

フィリアはクロスボウを無闇に撃つのではなく、アリの口が開くのを狙って撃った。

「ギギギギ」

一匹の口にクロスボウの矢が突き刺さり、そのまま脳を砕いた。

その間に残り四匹にかなり接近され、狙いを付ける時間が無いため、魔法に切り替えた。

「天より来たりし光の精霊よ、我が魔力に呼応し敵の目をそらせ!」

「スパークフラッシュ!」

直哉はまぶしく光るフィリアに、

「その魔法は、意味がない!」

と叫んだが、

「きゃあー」

と、フィリアの声が光の中から聞こえてきた。


直哉は、剣と盾を装備しながら、盾攻撃と急所攻撃を覚え突撃した。


直哉が光になれてくると、アリたちは食べられないフィリアには目もくれず、リリの肌が出ているとこを囓っていた。

リリの身体は血まみれになっており、直哉の身体の奥にある何かが目を覚ました。


「よくもリリを!」


この世界に来て初めて本気で怒った直哉は、冷静さを失いかけたがすぐに持ち直し、

「フィリアは無事か?」

「ううう。はい。まだ動けませんが大丈夫です」

「すまないが、もう少しそのままそこに居てくれ」

そう言って、リリを囓っているアリへ攻撃を仕掛けた。

フィリアは目を見張った。今までの直哉では考えられないほどの正確な攻撃と破壊力で次々とアリを倒していった。


(まずは、こっちを見ながら食べてるあいつだ!)

直哉は全力で走り、急所攻撃でアリの目を貫通させた。

「ギギギギ」

こっちを見ていたにもかかわらず、何の反応も出来なかったアリはたまらず吹っ飛びキラメキながら息絶えた。

残りのアリは、食事の前に邪魔者を倒そうと直哉の方へ意識を向けた。


直哉は、マリオネットを使い、数本のふりかける濃縮回復薬をリリの所へ操作しながら、三匹の中へ突撃した。

アリは左右から一匹ずつ、最後の一匹は後方へ回ろうとしていた。


「うぉー!」

直哉はスキルの本質を理解したかのようにスキルを使い、左のアリに盾攻撃と四連撃を同時に使い盾の四連攻撃をぶちかまし、右側のアリには、急所攻撃・縦斬り・横斬り・急所攻撃を四連撃に乗せて攻撃した。

左右のアリはキラメキながら消滅した。


後ろに回り込んだアリは、隙有りと言わんばかりに噛みついてきたが、直哉は慌てずにマリオネットを使い剣を何本も並べ剣山のようにして迎え撃った。

アリは止まる事が出来ず、串刺しになった。

「ギギギギ」

そして、そのまま消え去った。


直哉はリリの元へかけより傷の具合を確かめた。

濃縮回復薬の効果で、目立った外傷はなく、呼吸も安定したいたため、リリを抱っこしてフィリアの元へ向かった。


フィリアは、アリの体当たりで吹き飛ばされ、木に叩き付けられていた。

一瞬意識が飛んだため加護が切れてしまい、予想以上の衝撃を受けてしまったようだ。

「打撲が酷いな。回復薬をかけておくよ」

フィリアに回復薬をかけてから、MP回復ポーションを飲み、コテージを作成した。

「予想以上に敵が強い。メイフィスさん達はどうやって進んだのだろう?」


フィリアとリリを抱き上げ、コテージのベッドへ運んだ。

「フィリアも休んでいて、俺はドロップアイテムを回収してくる」

「それなら、私も一緒に参ります」

と、食い下がってきたので、

「リリの護衛を頼む」

直哉は外へ出ると、コテージの周囲に蜘蛛の糸と通常の糸、さらにピアノ線のような硬度の高い糸を組合せて簡易版防衛網を造り張り巡らした。


直哉は下流に張った網の所に行くともの凄い量のドロップアイテムが引っかかっていた。

(よし! 完璧だな)

直哉はガッツポーズをしながら、網を外し持ち帰った。

コテージにたどり着くと、見知らぬ女性が防衛網に引っかかり、身もだえているのをオロオロしながら見守っているフィリアの姿が見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ