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第百七十七話 魔王領での戦闘 対デーモン戦

◆ルグニア 大規模工房


いつも通りの熱気に包まれていた。

直哉の弟子の他にも、鍛冶師として、また、その他の生産職として集まっていた。

(けっこう広くなったな)

そう思いながら周囲を見渡していると、


「親方! 入らしていたのですか!」

メントールが声をかけて来た。

「えぇ。先程やって来ました。それにしても、大きくなりましたね」

メントールが胸を張って、

「そりゃあ、親方が造ったこの工房の品質は上級ですから、その秘密を探るべくあちらこちらから人が集まって来ました」

メントールに連れられ工房を案内してもらうと、


「親方!」

「親方ー」

と、バーヴロヴナやベドジフ達が駆け寄ってきた。


「みなさん。精進しているようですね」

「はい!」

そのまま、弟子達の質問が始まり、技術の向上に一役かっていた。

「良いなぁ」

その様子を見ていた見馴れぬ職人が呟くと、

「聞きたい事があるのであれば、どんどん来てください。解る範囲でお答えしますよ」

と、直哉が声をかけると、我先にと職人達が押し寄せた。



直哉の指導は、スキルのお陰で理解しやすく、職人達に好評であった。

「遠かったけど、ここまで来て良かった。長年の問題が解決しました。ありがとうございます」

次々と職人達が自分の工房へ帰っていった。

「さすが親方ですね。これほど様々な分野の質問に全て答えられるとは!」

「一応上級鍛冶職人なので、この位は簡単になりますよ」


「そうだ、この間の宿題が出来ていますよ!」

バーヴロヴナが連結した魔畜棺を取り出した。

「おぉ! 出来ましたか!」

バーヴロヴナから魔畜棺を受け取ると、製作方法を教えて貰った。

「なるほど! そういう原理か! 素晴らしい!」

直哉はバーヴロヴナを筆頭にして、関わった鍛冶職人達にボーナスを出していった。

(原理がわかった所で、俺の作成可能な一覧に連装魔畜棺が追加されたな)

これは二つ以上の魔畜棺を接続して一つの装備とするもので、二つ付ける事が出来ない魔畜棺を付けられるようにするシステムであった。


(この、連装魔畜棺を一度造り)

直哉の手には連装魔畜棺が出来上がった。

「おぉ! さすが親方! もう造れるのですね」

(これを劣化複製して、さらに連装魔畜棺とする)

直哉の手には容量が大きくなった連装魔畜棺が出来上がった。

「よし! これで魔力が尽きるまで大きくする事が出来るぞ!」

直哉は大喜びで、この日はルグニアで大きな宴会を開き、ルグニア中の人々が笑顔になっていたが、大半の人は何のお祭りなのか、わからずじまいであった。




◆次の日


直哉は朝からスキルの鍛練をしていた。

(神器作成を修得するために、鉱石変化と特殊アイテム作成を中心に鍛練していこう。鉱石変化は大量にある石ころを使ってどんどん変化させていって、オリハルコンとかヒイロカネ等のランクの高い物質を多く含んだ鉱石に変化するまで使い続けるか。特殊アイテム作成は、昨日の連装魔畜棺を作成すると良いみたいだ)

直哉は黙々と作成していった。


外では、リリが風・雷の究極魔法を鍛練して、実戦で使えるようにしていた。

その雷が鳴り響くなか、マーリカが雷遁の鍛練をしていた。リリの放った雷を直哉の造った避雷針で受け流しながら、雷畜棺に雷を溜めていった。

(これで、いつでも雷遁を放つ事が出来る!)

マーリカは戦力が上がった事を確信していた。

ラリーナはリリの放ったサンダーテンペストを回避する鍛練をしていた。

始めの頃は銀狼化と瞬迅殺を駆使して回避していたが、鍛練が進むにつれて両方を使わなくても回避出来るようになっていた。


エリザは筋力アップを図っていた。始めは上空にいたのだが、リリのサンダーテンペストにより、上空から追い出され、仕方なく筋トレをしているのであった。

フィリアは瞑想をして、光の精霊とのコンタクトを密にしていた。

アイリは新しく仲間になったクロードとの意思疎通を図るために、クロードに乗ってドラゴンバルグをグルグル回っていた。


直哉達の戦力アップが終わり、カソードから魔王が住む南の島までのゲートが出来た事を知らされると、直哉はみんなを集めた。




「準備が整ったので、コレより魔王の撃破とこのドラゴンバルグを解放しに行きます」

「おぅ!」

「行くメンバーは、俺、リリ、フィリア、ラリーナ、エリザ、マーリカ、アイリの七名です」

そのセリフにタダカッツが前に出て、

「拙者も行くでござる! 強者と戦うのは拙者の使命」

直哉は横に首を振って、

「タダカッツさんには、このバルグフルの防衛をお願いします」

「しかし!」

「南の島には、イーエヤッスさんは居ませんよ。それに、我々が攻め込んでる間に、バルグフルや他の都市が落とされたら意味がありませんから」

「ぐぬぅ」


「そう言う事ですので、各都市の皆さんは、来るかどうかはわかりませんが、防衛体制を取っておいてください」

「了解した!」

そこで、ヨシが前に出てきた。

「あのー、出来ればバラムドにも戦力を貸して頂けると、助かるのですが」

直哉は肯いて、

「各国の連携はリカードを中心に行ってください」

各国の代表達はリカードの元へ集まった。



直哉は、カソードを見て、

「そうだ、光と闇の精霊達と契約したいのですが、どうにか出来ませんか?」

カソードは、腕輪を使い、自分の契約を直哉に写し変えた。

「これで、光と闇の精霊を呼び出す事が出来る。ただ、自らの力で契約して居ないので、究極魔法は使えないぞ?」

「ありがとうございます。俺が使いたい魔法は、カソード・レイですから、大丈夫です」

「そうか、では頼むぞ? お主達が管理者を魔王から切り離してくれれば、後は今ある権限を使ってあやつの権限を剥奪出来る。そうすれば一気にこの世界を解放する」

「わかりました。俺達の仕事は魔王を引きはがす事ですね」

「そうだ」

最終確認を終え、リカード達に見送られながら直哉達は最終決戦の地へ飛んだ。




◆南の島 魔王領


荒野が広がる大地に降り立った七人は、周囲を警戒していた。

「真っ暗なの」

リリの言う通り、昼間だというのに、周囲は暗く先が見えづらくなっていた。

「これが、魔王の影響か」

フィリアが前に出て、

「天より来たりし光の精霊よ、我が魔力と共に邪悪な力を祓いたまえ!」

魔力を高めていき、一気に解放する。

「ブレイクウィケンネス!」


さーっと、闇の衣が消滅していき、周囲に明るさが戻った。

「さすがフィリアだね。だけど、魔王の所まで祓っていくのは厳しいよな」

「そうですね」

直哉が考えていると、

「お兄ちゃん、空は明るいの!」

と、リリが袖を引っ張った。

「ん? 空か、飛ぶか?」

「うんなの!」


リリはドラゴン化してフィリアとラリーナを乗せ、ドラゴンを出したアイリがマーリカを乗せて、直哉とエリザはそのまま飛んで行った。

空から見ると、現在位置より南へ行った所に、闇のエネルギーが充満している部分があった。

「あそこが変なの!」

「確かに」

「もの凄い闇のエネルギーだな」

「よし、何が来ても驚かないように! 戦闘準備しながら進もう」

「はいなの!」


直哉とフィリアは呪文の準備をして、ラリーナとエリザは闘気を溜め、マーリカは忍術の準備をしていた。

「前方から飛行する物体、多数なの!」

リリの警告と共に、前方の物体から魔法が飛んで来た。

「むっ!」

直哉達は器用に回避しながら、

「デーモン達か! 迎撃開始! 全部地面に叩き落とす!」


直哉は新しく造ってMPを蓄えておいた《連装魔畜棺 巨大》を装着して魔力を集中させた。

「火と爆発を司る精霊達よ、我が名の下に集いその力を示せ! 我が名は直哉。ここに集いし精霊に命ずる! 目の前に群がる無数の敵に裁きの鉄槌を! 原始の爆発と恐れられたその力を示せ!」

濃縮された魔力が一気に解き放たれる。

「ビッグバン!」


ドーン!


物凄い爆音と共に、衝撃波がデーモン達に襲いかかった。

大半のデーモンを消滅か地上へ落下させる事に成功した。

(残ったのは強い敵だよな。下は闇の衣が覆っていて良くわからないな)

「よし! この場を拠点とする。フィリアはこの場に留まり光の加護を付与した後、破邪魔法で援護を、フィリアの護衛にエリザは弓で、マーリカはフィリアの足場作成と忍術による援護を! リリとラリーナはそのまま突撃! アイリはリリ達の援護を!」

「了解!」

直哉の指示に従い皆が動き出した。


「いっくのー!」

ラリーナを乗せ、ドラゴンの姿のままデーモンの群れに突っ込むリリ。

デーモン達は魔法で応戦するも、リリの回避とラリーナの剣撃で叩き落すために、ダメージを喰らう事無くデーモン達を蹂躙して行った。

「これならいけるの!」

リリが調子に乗って突進して行くと、

「リリ止せ! 戻るんだ! あれは危険だ!」

上に乗っていたラリーナが警告を出した。

「えっ!?」

リリが慌てると、そこへデーモンからの魔法が飛んできた。


「このくらい!」

今までの様に回避しようとしたが、

「不味いの、範囲が広すぎるの!」

範囲が広い攻撃魔法だったので、ラリーナの迎撃も追いつかずに、ダメージを負っていた。

「ぐぬぅぅぅ」

リリが痛みを堪えていると、

「次が来る、速く後ろへ!」

ラリーナが更に警告を出すが、

「ぐぅぅぅぅ」

リリは回避する余裕が無かった。


そんなリリ達を見て、デーモンはニヤリと笑い、さらに追い討ちの魔法を飛ばしてきた。

「むっ!」

だが、そこには、

「させないよ?」

直哉が飛行しながらマリオネットを使い、大型の盾を飛ばして、リリ達に迫る魔法を防御していた。

「ラリーナ、盾を押さえてくれ」

「おう」

魔法の勢いに弾き飛ばされそうな盾をラリーナに押さえてもらいながら、直哉はデーモンに近づいた。



デーモンはごつい槍と鎧を装備した、中々強そうなデーモンであった。

(中々簡単に行かないな)

直哉は、魔法にするか物理にするか悩んでいると、魔法を防ぎきったリリ達が攻撃を再開していた。

「むー、今度はこっちの番なの!」

リリ達が横から突撃して行った。


デーモンはどちらを優先するか少し悩み、リリの方を向いた。

(今だ!)

直哉は魔法を唱え始めた。

「火よ水よ風よ土よそして、光よ闇よ、我が声に耳を傾けその力を示せ!」

(光と闇をいきなり呼び出すのは厳しいか?)

直哉はカソードの力を借りて、各精霊達を制御して行った。


デーモンはリリ達に再度魔法をぶつけようとしたが、すでにラリーナがリリから飛んで、突撃していた。

「リズファー流、瞬迅殺!」

ラリーナの突撃により、魔法は中断され、

「ちぇっすとー!」

さらにドラゴン形態のリリが飛び込んでいった。


デーモンは直撃は回避したものの、完全に避ける事は出来ずにダメージを負っていた。

後方では、フィリア達が地上からまい戻ってきた下級デーモン達と交戦していた。


「クロード!」

「雷遁、稲妻走り!」

アイリとマーリカがドラゴンと雷で牽制して、

「喰らうのじゃ!」

エリザの矢や槍でデーモンを粉砕して行った。

さらに、

「セイントプリズン! ブレイクウィケンネス! エンジェルフィスト!」

フィリアの光魔法が周囲に炸裂し、どんどんデーモンの数を減らしていった。


(向こうは問題ないな。あとは、こっちの上級っぽいデーモンを何とかするだけだな)

直哉は六種類の精霊の力を均一に纏め上げていった。

(これなら行けそうだ)

リリ達がデーモンの気を引いてくれているのを確認して、更に詠唱を開始した。

「我が名は直哉。ここに集いし精霊達に命ずる! 全てを消滅させよ! この世界から完全に消し去れ!」

六種類の精霊達が、直哉の前に集結し一つに纏まって行く。

「リビローアウト!」

直哉の放った魔法は、デーモンに直撃した。


その瞬間、デーモンはキラメキながら消滅した。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

あまりの魔法の効果に、呆気にとられたが、

「えーっと、倒したの?」

「そう見たいだな」

「なんだ今の魔法は!? 抵抗出来なかった見たいだぞ?」

(これなら、カソード・レイを使わなくても、魔王を倒せそうなんだけど)

と、思っていた時、直哉は魔力切れの症状を起こして、足元に広がっていた闇の衣の中に落ちていった。


「お兄ちゃん!?」

「直哉!」

近くに居た、リリ達は直哉を追って、闇の衣の中に突撃して行った。

「直哉様!?」

フィリア達は下級デーモンと交戦中の為、直哉達の後を追う事が出来なかった。

フィリアは怒り心頭で、

「あなた達の相手をしている場合では無いのです!」

魔力を高め、魔法を乱打して行った。

エリザ達も、今まで以上に奮戦し周囲のデーモンを一掃し終えた。

だが、その時には直哉の姿はおろか、リリ達の姿も見えなくなっていた。



「アイリさん、みんなを乗せられますか?」

フィリアの冷酷な声に、

「はい」

アイリは怯えながら答えると、クロードにその場のみんなを乗せて直哉達の後を追って行った。

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