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第百六十三話 決着

ルナの連続攻撃とミシェルのクリティカル攻撃により、ビャッコはキラメキながら消滅した。

「よし! まずは、一体目!」

後方から援護射撃を行っていたスザク達の攻撃は、二人が上手く攻撃を合わせて防いでいた。


「ごるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


護られていた魔族長シンリュウが雄叫びを上げると、両脇のスザクとセイリュウも攻撃に参加するようにあった。

炎、風、土の攻撃に加え、シンリュウからの雷が降り注いだ。

「これは危険だ! ルナ、デイジーは下がれ!」

ラナが盾を構え直し、みんなを下がらせた。

「私の魔法だけでは、ダメージが通りません」

「泣き言を言っている暇があるなら、どうすれば良いか考えろ!」

ヘレンの嘆きに下がってきたミシェルがカツを入れた。


「いやいや、ヘレンの言いたい事もわかる。この属性魔法の嵐の中、どうやって近づこうか頭が痛いぜ」

デイジーも頭を抱えていた。

四天王の三体と、魔族長はラナ達の生命を削り取るべく、前進していた。

「不味いな。これ以上は支えきれない」

前面で魔族長達の攻撃を受けていたラナの腕は限界に到達していた。

(私の腕は限界なのに、直哉さんが造ってくれた、この盾はまだまだ余裕があるのですね)


ジリジリと押されている所に、レオンハルトとルカそして、カラティナとガンツ達がやってきた。

「お待たせしました」

レオンハルトとガンツが盾で、戦線を支えると、

「はぁ!」

ルカとカラティナとバールが分かれて斬りかかった。

リンダは、魔法の詠唱をしていた。


ルカ達の攻撃をゲンブが受けようとしていたが、範囲が広すぎるためにカラティナの攻撃を防ぐので精一杯となっていた。

スザクとセイリュウはルカとバールに詰め寄られると、距離を取るように動いていた。

コレにより、四天王からの攻撃は止まり、ラナ達に余裕が出来た。


「増援感謝いたします」

「とにかく回復を優先で。傷が癒えたら参加してくれ」

レオンハルトはラナ達に指示を出した。

「わかりました」

ラナ達も素直に従い回復に専念していた。


ラインハルトを中心に防衛をしていた五人は、四天王にダメージを与えていたが、魔族長にはダメージを与えることが出来ず、逆にダメージを負っていった。

「やはり、抑えるのが精一杯だな」

隙をついて、魔族長に攻撃を仕掛けるが、纏っていた闇の衣を貫けず、責め手を欠いていた。



「ごるぁぁぁぁぁぁ」

さらに、魔族長の指示の元、四天王の三体が連携を使って攻撃を師始めた。


「ちっ、火と風の合成魔法かよ!」

二体が同時に魔法を放つ事により、従来の数倍の効果を持つ魔法となった。

これは、相性もあるがどの組み合わせでも威力があがる。

ヘレンやリンダが魔法で相殺を狙ったが、敵の魔法に押し切られる形になった。

「くっ、押し切られるか?」

「お待たせした」

ラナ達が合流し、何とか耐え凌げる程度になった。


ルナ、ルカ、バールが回り込もうとすると、ゲンブの土魔法で足止めを喰らい、シンリュウからの雷でダメージを負わされていた。

「どっせーい!」

そこで、ラナ達に護られ、ゲンブの前に出ていたスザクとセイリュウへ近づいたミシェルは、上段からの振り下ろしの一撃で、ゲンブの防御層を突き破り、セイリュウへダメージを与える事に成功した。


「ギュピー!」


傷を負ったセイリュウは怒り狂い、周囲に狙いを定めず魔法を乱射し始めた。

「ぐっ、はっ」

ラナ達は懸命に防御していたが、ミシェルはその防御の隙を突かれセイリュウからの攻撃を受けて、吹き飛んだ。

「ミシェル!」

「デイジー! 回復を!」

ミシェルへ駆け寄ろうとしたデイジーにシンリュウから雷攻撃が来た。

「ごろろろろろぁぁぁぁぁ」


完全に不意をつかれ、雷が直撃した。

「きゃぁ」

「なっ!?」

シンリュウはその様子を見て不気味な笑みを浮かべていた。


「ごるぁぁぁぁぁぁ!」

さらに、スザクに動かなくなった二人へ攻撃するように指示し、自分も詠唱を開始した。


そのお陰で前衛陣に余裕が出来た。


レオンハルトは前に出て、守りの薄くなったゲンブに肉薄した。

スザクとシンリュウは詠唱中でセイリュウは激昂していたため、ゲンブを護ろうとする者は居なかったか。


「せぃやぁ!」

レオンハルトの剣をゲンブは自慢の土の防御層で受け止めるために、層を厚くして身構えた。

「朧月!」

レオンハルトの剣が防御層をすり抜けて、ゲンブに到達した所で実体化した。


「ぎぃあああああああ」

予想していなかった痛みにゲンブは叫び逃げ出そうとしていた。


ゲンブの防御壁が消えた事で、ラナとガンツはスザクとセイリュウに近付き攻撃を開始した。

「せぃ!」

「おらぁ!」

スザクは詠唱中断を余儀なくされ、避けていたがセイリュウは激昂していたためガンツと殴り合いになっていた。

ガンツは大盾でセイリュウの攻撃を防御していたが、セイリュウは自慢の鱗で受けていたために、ダメージが蓄積されていった。


「ぐるぁ・・・」


シンリュウが指示を出そうとした時に、ルナとルカとバールの波状攻撃を受けて、指示どころか魔法詠唱すら止める事となった。

「私が魔法を唱えるので、貴方は仲間の回復をしてください。くれぐれも敵の攻撃には気を付けて下さい」

「わかりました」

リンダの言葉を聞いて、ヘレンがミシェルとデイジーの所へ慎重に向かっていった。




魔王と対峙していたリカード達は、苦戦していた。

「アレク、まだやれるか?」

「む、無論であります」

肩で荒い呼吸をしながら答えていた。


後ろでは、ヘーニルがエバーズとギューサを回復している所であった。

「大気に宿る風の精霊たちよ! 我が魔力と共に立ちはだかる敵を吹き飛ばせ!」

シンディアは何発目かの風魔法を唱えていた。

「ふっふっふ」

魔王は不気味な笑みを絶やさずにいた。

「ストームブロウ!」


爆風が魔王を中心に吹き荒れる。

だが、魔王は闇の衣を吹き飛ばされることなく立っていた。

「フム。心地よい風だ。これは、礼をせねばな」

闇の衣より魔力を練り上げ、

「光無き世界に居る闇の精霊たちよ! 我が魔力と共に、永遠の苦しみを!」

膨大な魔力がシンディアを襲う。

「インテンスペイン!」


「くぅぅぅぅ、きゃぁぁぁぁ」

「シンディア!」

あまりの激痛に、シンディアはその場に崩れ落ちた。

アレクが駆け寄ろうとしていたが、ヘーニルがシンディアを見てくれていたため、リカードの傍を離れずにすんだ。

「次は、お前だ!」

リカードが孤立しそうなのを見て、魔王がリカードへ全方位からの攻撃を繰り出した。


「ちっ!」

リカードは躱していたが、数が多すぎるために、ダメージを負っていった。

「リカード様!」

傍にいたアレクが割って入り、リカードへの攻撃を減らす事に成功したが、自分も大きなダメージを負っていた。

「アレク、もう良い、下がれ」

リカードがたまらず言うと、


「いいえ。下がりません」

不屈の精神で立っていた。

「アレク、お前・・・」

「ふん。動かぬ的など、楽しくないわ!」

魔王は闇の衣から生やした、闇の剣を大きく振り上げ、アレクに振り下ろした。

「アレクー!」


そこへ、一陣の風が吹いた。

「リズファー流奥義! 大地割り!」

ラリーナが駆けつけ、振り下ろされる剣に向けて下から大地割りを放った。


ガン!


魔王の闇の剣をはじき飛ばしたラリーナは、

「邪魔だから下がっていろ! 動けぬと言うならマーリカに頼め!」

そう言い放つと、魔王へ向けて突撃していった。

「貫け! シルバーニードル!」

周囲に無数の針を展開させて飛び込んでいった。


リカードは少しの間呆気にとられていたが、

「アレクよ、下がれ、今なら大丈夫だろう」

と言って、ラリーナの後を追っていった。

アレクが何かを言おうとすると、

「そのまま運びますので、ジッとしておいて下さい。リリ様は援護をお願いします。エリザ様はラリーナ様達の援護をお願いします」


「えー、リリも突撃したい!」

リリはそう言いながらも、マーリカ達を護っていた。



「ふむ、羽虫が増えたか? いや、お前達はあの時のイレギュラーの仲間か。あの時の恨みを晴らさせてもらう!」

魔王はそう言いながら、迎撃を開始した。

「何度やっても同じ結果だ!」

ラリーナも叫び突撃した。

(何だ? この間に比べ、やけに強くなっているぞ?)

ラリーナは違和感を覚えながら戦っていた。


「ラリーナ、波状攻撃で行くぞ!」

「おうよ」

ラリーナとリカードは連携攻撃を開始した。

「そらぁ!」

「せぃ!」

ラリーナが魔王の右を斬りながら走り抜けると、左側をリカードが斬りながら走り抜けた。


「ふっふっふっふ」

しかし、魔王は避けることもせず、闇の衣を展開し続けていた。

「これほど長時間、闇の衣を持続できるのか?」

「これでは、埒があかないぞ」

ラリーナ達が焦る中、

「我もお主らもダメージを受けていないが、攻撃を避けて受けないのと、攻撃を受けても受けないのでは、どちらが有利かな?」

魔王が挑発してきた。



二人が距離を取ると、

「ん? どうした? 諦めたか?」

魔王が怪訝に思っていると、そこへ槍が飛んできた。

「むっ?」

魔王を貫き、地面に縫い付けた様に見えたが、

「ほほぅ、これを突破するか。だが、この程度では」

そういうと、槍が腐り始め、ボロボロに崩れ去った。


魔王がエリザの攻撃を何とかしている間にラリーナがリリを見て、

「リリ、続けて攻撃できるか?」

「任せろなの!」

リリはそう言って、魔法をストックし始めた。

「出し惜しみはしないの!」


「そういえば、あの忌々しい光魔法使いは居ないのですね。ならば!」

一気に闇の力を周囲にばら撒いた。

「むっ!? させませんよ。プロテクションフィールド!」

ヘーニルが光の障壁を展開した。

「ふん、この程度の障壁など、吹き飛ばしてくれる!」

魔王が力を溜めた時、

「させないよ!」

ラリーナが銀狼へ変身して飛び掛った。


「ぬっ、闇の力が効かないか。だが、我に攻撃は通用せぬぞ?」

魔王の懐へ飛び込み、闇の衣の中に飛び込んだ。

「何だと!?」

流石に魔王は焦ったようで、距離を取ろうとしていた。

「喰らえ!」

ラリーナはその場で爪と牙の連続攻撃で、闇の衣を引き剥がした。

「リリ! 今だ!」



「はいなの!」

リリは一気に闘気を爆発させ、

「ちぇっすっとーーーーー!」

一気に飛び込んできた。

「はぁぁぁぁぁぁ、魔神氷結拳! 魔神雷撃拳! 魔神連続拳!」

リリは、右手に氷を纏い、左手に雷を纏って、魔神拳を連続で解き放った。

「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ」

リリの拳が、魔王を捉える。


「うぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ」

苦悶の表情を浮かべる魔王に、背後からラリーナが襲い掛かる。

「リズファー流、第一奥義! 大地割り!」


ザシュ!


ラリーナの攻撃で魔王の左肩から右の脇腹にかけて切断した。

「ま、まさか!!」

魔王は目を見開いたまま崩れ落ちた。

「よし!」

その瞬間、魔王を闇が包み込んだ。

「何だ?」

「何かがおかしい、下がるぞ!」


ラリーナ達は魔王から距離を取った。

魔王の懐にあった、ガナックが渡したものが発動して魔王を包み込んだ。

「闇の珠?」

闇の珠はフワフワと浮かび上がった。

「まさか、逃げるのか? させない!」

リカードが剣に魔力を流し込んだ。

「絶空!」


風の刃が解き放たれるのと、闇の力が溢れ出すのが同じ時であった。

「くっ!」

闇のエネルギーから身を護るべく、ヘーニルが障壁を展開し直した。

闇のエネルギーが収束していくと、そこに魔王の姿は無かった。


「くそっ! あそこまで追い詰めたのに、逃げられたか!」

リカードが悔しそうに地面を殴った。

「まさか、あの状態から逃げることが出来るとは。腐っても魔王という訳ですか」

ラリーナは荒い息をしながら、銀狼の力を借りて、闇のエネルギーを浄化していた。


リカードがラナ達を見ると、丁度五体目のシンリュウを撃破し、キラメキながら消滅している最中であった。

「終わったな」

「はい。皆さんのお陰でルグニアの消滅は免れました。心より感謝いたします」

アシュリーが皆の前に出てきた。

「おぉ、ご無事でしたか」

「はい。リカード王やレオンハルトさん方のお陰です」


ルグニアの民達は壊れた門を見て呆然としていたが、

「ルグニアの民達よ! 今回は魔物の襲撃だけでなく、魔王の襲撃があった。多大な被害が出たものの、ルグニアの消滅は免れることになりました。魔王を退けたのです! これも、勇者直哉殿が築き上げた同盟の力です。そして何より、ルグニアの全ての民たちが諦めなかった事にあります。皆さん、勝利の雄たけびを! この地を護り新で行った者達にも届くように!」


「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「勝ったぞー!」

「我々の勝利だ!」

「やったぞー!」

ルグニアは大きな痛手を負ったものの、無事に魔王軍を撃破し、魔王にも瀕死の傷を与え撃退することに成功した。

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