2018年 新年 明けましておめでとうございます 本年もよろしくお願いいたします
◆直哉八歳のお正月
カタカタカタカタ
直哉は部屋で一人、パソコンの画面の前にいた。
「そろそろ、年が明けるか。カウントダウンイベントが始まった」
サブの画面には、ビデオチャットの画面が開いていて、父親と母親が別のウインドウに出ていた。
「直哉、今年も一人にしてすまない」
「なお君ごめんね。出来るだけ早く帰るから」
父親は病院の一室から、母親は大企業の一室からつないでいた。
「パパ、ママ、心配しないで。僕は一人で居るけど、一人じゃないから。ゲームを通して大勢の仲間が出来てるから。だから、お仕事頑張って!」
「直哉」
「なお君」
二人は心配そうな顔で覗き込んでいた。
その時、画面の向こう側で呼び出し音が鳴った。
「すまない、急患だ。行ってくる」
「ごめんなさい、システム障害が発生したみたい、行かないと」
「うん。行ってらっしゃい」
二人が画面から消えると、急に視界がぼやけてきた。
「う、うっ、うっ」
「一人は嫌だよぅ。一人は寂しいよぅ」
椅子の上で、体育座りをして自分の膝を抱えながら顔を埋めていた。
(・・・・ん)
(・・・・ま)
不意に、身体の中心が暖かくなってきた。
「・・・ん?」
(・・おや!)
(・・やどの!)
(・・・・じんさま!)
急に周囲が輝き始め、直哉は白い光に包まれていった。
「あれ? 俺は・・・?」
◆直哉の屋敷
「うっ、あっ?」
目を空けると、そこは直哉の屋敷であった。
「お目覚めですか?」
「大丈夫? お兄ちゃん?」
「随分とうなされていたみたいだが、大丈夫か?」
周囲を見ると、料理や飲み物が散乱していて、直哉はソファーに寝かされていた。
「あれ? 俺は?」
「だらしないのじゃ、あの程度飲んだくらいで倒れおって」
「無茶を言わないで下さい。ご主人様はデリケートなんですから」
「そうか・・・・」
直哉は思い出していた。
「年末のカウントダウンパーティをしている最中に、飲み過ぎて倒れたのか」
「そうです」
「それにしても、悲しい夢を見た気がするよ」
「悲しい夢ですか? では、悲しい夢を吹き飛ばせるようにしますので、お風呂へ行って顔を洗ったら、章駆動へ来て下さい」
「食堂へ?」
直哉が風呂で身支度を整えて食堂へ行くと、皆が揃っていた。
ピンクを基調とした着物姿のリリが、
「あー。やっと来たの!」
黄色を基調とした着物姿のフィリアは、
「お料理はずべて揃っています」
緑を基調とした着物姿のラリーナが、
「お屠蘇の準備は万全だ」
紫を基調とした着物姿のエリザが、
「早く座るのじゃ」
青を基調とした着物姿のマーリカは、
「ご主人様の席はあちらです」
赤を基調とした着物姿のアイリは、
「楽しみです」
直哉が席に着くと、ミーファが、
「それで、直哉さんがいらっしゃったので、新年の挨拶を始めようと思います。では、直哉さんお願いします」
(いきなりっすか? 無茶振りっすね)
「えーっと、軽い気持ち出始めたこのドラゴンバルグも、既に一年半が経ちました。作者の考える物語も終盤を迎え、後は一気に突き進むのみです。リリ、フィリア、ラリーナ、エリザ、マーリカ、そしてアイリを迎え新たな気持ちで物語を進めようと思います。この後、魔王はどうなるのか!? ガナックは!? そして謎のシステム達と、何かを知っているカソード達。これからのドラゴンバルグもご期待ください」
ミーファが、
「それでは皆様、御屠蘇の準備を」
皆が持ったのを確認して、
「直哉さん、お願いします」
「新年明けましておめでとうございます。今年も皆様にとって、良いお年でありますように! 乾杯!」
「かんぱーい!」