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第十話 古都バルグの内乱

◆直哉の家 次の日


地下の訓練場で身体をほぐしていた直哉は、朝の訓練をする前に現在のステータスを見て、これからどうするかを考えていた。

ランク2の戦士系スキルと鍛冶系スキルは、

スキル名(消費スキルポイント)(前:前提条件)

戦士系スキル

 四連撃(5)(前:縦斬りLv3 or 横斬りLv3 or 突き刺しLv3)

 十字斬り(5)(前:縦斬りLv3、横斬りLv3)

 五月雨突き(5)(前:突き刺しLv3)

 得意武器(5)(前:縦斬りLv3 or 横斬りLv3 or 突き刺しLv3)

鍛冶系スキル

 アイテム作成(3)(前:武具作成、アクセサリ作成)

 武具修理(3)(前:武具作成)

 アクセサリ修理(3)(前:アクセサリ作成)

 家具修理(3)(前:大工)

他にランク2スキルのスキルレベルが上がると、それぞれ派生した項目が増える。

(戦士系のスキルは前提条件が厳しいので無理か。鍛冶スキルを覚えよう)



ステータス画面


ナオヤ

鍛冶職人

冒険者ランク2

Lv:8

最大HP:88+200

最大MP:128+200


力:10+20

体力:8+20

知力:8+40

素早さ:8

器用さ:8

運:8+10


ボーナス 12

スキルポイント 5


スキル

戦士系:0

○縦斬りLv1

○横斬りLv2

○リジェネLv1

魔術師系:0

○魔力吸収Lv1

商人系:0

○目利きLv1

鍛冶系:0

 武具作成Lv4

 アクセサリ作成Lv1

 大工Lv3

 冶金Lv3

 精錬Lv2

 アイテム作成Lv1

 武具修理Lv1

 アクセサリ修理Lv1

 家具修理Lv1


こんな感じかな。

(ステータスボーナスはどうしようかな?パーティの立ち居地が不明だから、もう少し保留するか)

修理系のスキルは現在の物に属性を追加したり、別の特性を持たせたりする時に使用するスキル。

例えば、リリのナックルに、クツに使った魔法を受け止める特性を追加する事が出来る。

直哉が片手剣の基本の型をなぞっていると、リリが下りてきた。

「お兄ちゃん、おはようなの」

「リリ、おはよう」

二人は挨拶をして、訓練に入った。


直哉は造っておいた盾を取りだし、両手に装備した。

片方は、盾形状の片手剣カテゴリーで、見た目は盾二つだがシステム的には剣と盾を装備している事になっている。


「大気に宿る、風の精霊達よ! 我が魔力に呼応し敵を絶て!」

「スライスエア」

リリは風魔法をクツの底に発動させ、もの凄い速度で飛んできた。

「ちぇすとー」


直哉はかろうじて反応し、盾を振り上げリリにぶつけた。

「なんの!」

リリは飛びながらさらに風魔法を唱え、上方向へ方向転換した。

直哉は上に気を取られ、腕を動かそうとした瞬間、リリが最初に乗っていた風魔法がぶつかった。


「しまった!」

左手に持っていた盾をはじき飛ばされ、盾の剣のみとなった。

「もらったの!」

リリはさらに風魔法を唱え、上空から一気に飛び降りてきた。

直哉は盾を両手で持ち、衝撃に備えた。


「それは、あまあまなの!」

リリは、ぶつかる瞬間に横っ飛びし風魔法を直哉に当て、自分は横に回り込んだ。

「ぐぅぅ」

直哉は風魔法の直撃を盾に受け、身動きが取れなくなった。


「氷を司る精霊達よ、我が魔力にひれ伏しこの大気を凍結させよ!」

リリは氷系魔法を唱え、氷結クラッシュを構えた所で、

「参りました」

直哉が降参した。

「やった!」

訓練というか、一方的にやられていた朝練が終わったところで、奥から拍手が聞こえてきた。


「素晴らしいですね」

へーニルはヘーパイストスと共に転移石で帰ろうとして地下に下りたところ、二人が訓練をしていたので帰る前に見ていたのだが、あまりにもハイレベルな訓練だったため、称賛を送った。

「予想をはるかに超える強さですね」

へーニルがそう言いながらリリに近づき、

「私がお相手しましょうか?」

「よろしくお願いします」

リリは戦闘態勢を整え、へーニルに頭を下げた。


へーニルは魔法の発動体を取り出し、詠唱を開始した。

「天より来たりし光の精霊よ、我が魔力と共に敵よりの攻撃を防げ!」

「プロテクションフィールド」


へーニルが構えるのと同じく、リリは風魔法を詠唱し突撃していた。

「ちぇすとー」

ところが、へーニルの前に張られた障壁により、攻撃が止められてしまった。

派手にはじけ飛んだリリは、風の魔法を利用し、直哉の横に戻って来た。

「むー、あのバリア硬すぎるの」


「この障壁は生半可な攻撃では破壊出来ませんよ。直哉君も一緒にかかってきなさい、バトルオークを倒した実力を見せてみなさい」

へーニルは障壁を厚くしていった。


「エクスプロージョンを打ちます」

直哉は、万が一のため攻撃の手段を先に教えておくことにした。

「リリは、その後手数の多い技で攻めて、俺もMPが回復したら剣で攻めるから」

リリとの作戦が決まり、へーニルへ攻撃を開始した。

バトルオークに放ったものと同じ威力のエクスプロージョンを放った。

「エクスプロージョン!」

へーニルは魔力を高めエクスプロージョンの直撃を耐えていた。


エクスプロージョンの効果が切れる瞬間、リリが飛び込んだ

「ちぇすとー」

障壁に弾かれそうになりながら、風の魔法を駆使しその場に留まり、連撃を繰り出していた。

「あちょちょちょちょちょちょ」

直哉もMP回復薬を数本飲みながら参戦してきた。

「えい、えい、えい」


「ふむ、さっきのが君たちの隠し技って事かな?」

へーニルは慌てることもなく防ぎきっていた。

「あと、一つあります」

直哉はリリに向かって、

「氷結クラッシュで障壁に攻撃!」

「了解なの!」


「氷を司る精霊達よ、我が魔力にひれ伏しこの大気を凍結させよ!」

リリは右手に冷気をため、

「クールブリザード、氷結クラッシュ!」

鉄拳と共に氷撃を障壁に当て粉砕しようとしたが、障壁は硬くダメージは通らなかった。


「だめか、参りました」

直哉は自分たちの最強攻撃を放ったが、障壁を破ることが出来なかったため負けを認めた。

リリも障壁を破るだけの攻撃手段が無い事を実感しながら座り込んだ。


へーニルは障壁を解きながら、

「確かに今の攻撃ならバトルオークは倒せるね、しかしエクスプロージョンが撃てる指輪か、高価な代物だな」

「一日一回限定ですけど、MPがあれば強いので重宝してます」

直哉は正直に答えた。

「まぁ、何にしても使いこなせているのであれば問題は無い、そうそう、後でイリーナに二人を案内させるので、よろしく頼むぞ」

「はい、わかりました」

「それと、冒険者ギルドからの直通の扉を用意して置いてくれ、依頼を受けてくれるなら必要になるから」

へーニルはそう言って、鍛冶ギルドへの扉をくぐり帰って行った。

「良い返事を期待しておるぞ」

すっかり空気になっていたヘーパイストスも帰って行った。


「何の話?」

リリは話が見えないため、直哉に聞いてみた。

「へーニルさんからの依頼で、追われているお姫様とお母さんを匿って欲しいって話なんだけど、これからその二人が来るから、リリも一緒に二人から話を聞いて、それから受けるかどうかを決めることになってるから、話し合いに参加してリリの意見を聞かせてね」

「リリが参加しても良いの?」

リリは自分がいないところで、すべて決まっていると思っていたので驚きながらも喜んだ。

「じゃぁ、汗を流して二人が来るのを待ちますか」

「うん!」

リリは直哉にぶら下がりながら、お風呂場へ向かった。



◆直哉の家 しばらくして


リビングでお茶菓子の用意をして待つ二人の所に三人の訪問者がやってきた。

イリーナさんと、メイドさんと、甲冑の置物さんであった。

メイドはエプロンドレスを装着していて耳がとがっていた。甲冑の置物は以前どこかで見たようなと感じていたら、イリーナさんのうなずきを見て、おもむろにフルフェイスの兜を脱いだ。

彼女は圧倒的な存在感があり、直哉は目を奪われた。

そんな直哉を見たリリはムッとしていた。


「直哉君の要望通り、お二人を連れてきたわよ。私は同席しても良いのかしら?」

ぼーっとしていた直哉に、イリーナは話しかけた。

「おっと、コレは失礼しました。どうぞお掛けください、もちろんイリーナさんもどうぞ」

直哉は三人に椅子をすすめお茶の用意をした。


「俺は風見直哉、この家に住む鍛冶職人の冒険者です、こちらはリリ。さぁ、挨拶をして」

「リリはリリなの、お兄ちゃんと一緒にココ住んでます。リリも冒険者なの」

メイドが驚いた顔で、イリーナに聞いた。

「こんな小さな子が冒険者なのですか?」

「そうです、優秀な冒険者の卵ですよ」

メイドは気を取り直して、

「わたくしは、古都バルグ王国にお仕えしていたエルフのミーファと申します」

「その娘のフィリアです」


お互いの挨拶が終わり本題に入った。

「今回お二人はかくまって欲しいとの事ですが、経緯を教えて頂けますか?」

ミーファはうなずいて話し始めた。

「事の発端はこの娘の産まれにあります。この子は、先代の王とわたくしとの間に出来た娘。先代は可愛がってくださいましたが、正室様や側室様方からは疎まれておりました」

「よくある、古き伝統ですね」

直哉の相づちにうなずきつつ、

「はい、その通りです。そして、この娘が三歳の時に次女が産まれた事がきっかけで、王国から追い出され、港町であるバラムドや西の大草原ソラティア、雪国ルグニアを経て先週このバルグフルへたどりつき、亡命したのです」


「それで?」

「ルグニアにいた時に、先代と第一王子が暗殺された事を知りました。そして、魔の手は第二王子にも伸び残ったのは、第三王子と三人の王女達です。他の王女達はそれぞれ嫁ぎ先で守って貰え、第三王子はバルグ王国の名誉にかけて守るそうです」

「そして、あぶれてしまったと」

ミーファは耳を下げながら続けた。

「おっしゃる通りです。実際に脅威が迫っている訳ではありませんが、少しでも安全なところへ娘を預けたいのです」

「なるほど、預けた後あなたはどうしますか?」

さらに踏み込んで聞いてみると、

「そこまでは考えておりません。娘の安全が第一で」


「わかりました。それでは次にフィリアさんにお聞きします」

直哉は今回の騒動の根源となる質問をぶつけてみた。

「フィリアさんはバルグ王国を継ぎたいですか?」

フィリアはしばらく考えたあと、明確に答えた。

「継ぐ気はありません」

直哉はうなずきながら、


「わかりました。リリは何か聞きたい?」

リリは悩んだ後、

「お姉さんは何かしたいこと、無いの?」

フィリアは先ほどと同じように考えた後、自信なさげに答えた。

「まだよくわからないけど、とりあえずは同じ場所に落ち着いた暮らしをしたいかな」

「そうなんだ。あのねリリもね、両親が死んじゃった後あちこち転々としてたけど、最近になってお兄ちゃんと巡り会えたの。今のリリにとって一番落ち着ける場所なの。お姉ちゃん達もここがそういう場所になったら、リリは嬉しいの!」


そんなリリの反応にイリーナが、

「これで、問題は無くなったわね」

「こちらからも、よろしいでしょうか?」

フィリアが逆に質問をしてきた。

「先ほどの質問にどのような意味があるのでしょうか? あなたは一体何者なのですか?」

直哉に詰め寄った。


「王位継承問題に巻き込まれないための布石です。この言質を元に両国から正式な書類がもらえれば当面は御の字ですね」

「どういう事ですか?」

「これで敵対する勢力が少なくなるはずです。例えば、生き残った他の王位継承者に上手く取り入ろうとする輩がいたら、フィリアさんは該当しなくなるので排斥する意味も無くなります。まぁ亡命している時点で、その心配は無いと思いますが念には念を入れてですね。また、王家に恨みのある人間が相手の場合は、他国の王位継承者を守ると内政干渉の声があるかもしれませんが一般市民扱いで対応できますからその対処ですね。まぁ、どちらにしても書類が発行されれば余所の国で問題行為を起こすことが難しくなることは間違いないと思いますよ」

フィリアは少し考えて、

「では、あなたは私を使ってバルグ王国を乗っ取る気は無いということですね」

「そうですね、王位継承問題には拘わりたくないですね」


(このクエストはゲームでは、序盤のメインクエストとして受注できる『古都バルグの内乱』と同じような感じですね)


ゲームの知識

『古都バルグの内乱』

第三王子の取り巻きが起こす内乱。第一王子陣営、第二王子陣営、第三王子陣営、第一王女陣営の四つに分かれ、プレイヤーが何処に属するかによって話が変わってくるメインクエスト。ちなみに、戦士時代は第一王女陣営に属し初の女性国王を誕生させた、魔術師時代は最狂に拘っていたのでどの陣営にも属さず全てを滅ぼした。商人時代は我関せずで気がついたら第三王子が勝っていた。

今回の場合、基本は商人時代と同じだが、第一王女をかくまうというオプションが付いている。

この選択がどう変わるのかは、直哉にもわからなかった。


(ゲームと同じく第三王子の取り巻きが原因なら、この対応で問題無いと思うんだけど、シナリオは変化するからな。しっかりと対応していかないといけないな)


フィリアは直哉が何か隠していることに感づいてはいたのだが、これ以上は話してくれる雰囲気ではないため諦めた。


「ミーファさんは何かありますか?」

イリーナさんが一応聞いてみた。

「私たちは守られているだけでよいのですか?」

「と、言いますと?」

「亡命したわけですし、一市民として生活を送らなくて良いものかと」

「確かにそうですね。直哉さん何か方法はありませんか?」

イリーナは突きつけられた問題を直哉に投げた。

「まる投げっすか?」

直哉は困惑しながらも続けた、

「フィリアさんは冒険者なので、そのまま私たちと冒険に出てもらえば問題ないと思います。ミーファさんは鍛冶ギルドのマスターのところで秘書見習いの様な肩書きでラウラさんと共に行動してもらいます。夜はこの家を使ってもらって、ラウラさんには気の毒ですがミーファさんと共にこの家の管理をやってもらいます。掃除とかご飯とか」

直哉は使える人を総動員して、このクエストをクリアするつもりだった。


「私の出番はなさそうなので、このまま契約しちゃいますか」

イリーナはそう言って契約書を出そうとしたので、

「イリーナさんには、ヘーニルさんにこの事を伝えてもらい、両王国から王位継承問題の書類をもらい、鍛冶ギルドからミーファさんとラウラさんの件の承諾を得てもらうと言う、お仕事がありますよ!」

イリーナは始め何それ聞いてないという顔をしていたが、よく考えてみるとヘーニルに丸投げできると判断し、

「では、その辺の確認をして契約に入りましょう」

と、言いながら出て行った。


「では、その間に部屋にご案内しますね」

直哉は、二階と三階の間に二階と同じ客室を作りそこへ二人を案内した。


現在の直哉の家


地上6 風呂

地上5 風呂

地上4 直哉・リリの部屋

地上3 ミーファ・フィリアの部屋 空き2つ

地上2 ヘーニル・ヘーパイストス・イリーナ・ラウラの部屋

地上1 酒場

地下1 訓練場

地下2 訓練場


二人に部屋と各設備を案内しているとイリーナと共にヘーニルがやってきた。

「なかなか面白いことを考える若者ですね」

そう言いながら、この王国の書類を広げた。

「これが、直哉君の所望した書類です。この部分にフィリアさんとミーファさんのサインをお願いします」

二人がサインすると、

「これを、古都バルグ王国へ届けサインを貰えば形式は整うだろう」

「誰に行かせるのですか?」

イリーナが聞くと、

「私自らが行こう、流石に一冒険者では荷が重い」

ヘーニルはそう答えた。

そこへ、ラウラさんが現れ、

「ヘーパイストス様からの伝言です『ミーファさんの件、了承した』、です」

直哉は、これで今打てる手はすべて打ったと安心した。


「それでは、私は古都へ向かうのでこの辺で、そうだ、直哉君これを取り付けてくれないか? 出口は冒険者ギルドの私の部屋になる」

直哉は、大工スキルから地下の訓練場を一部変更し冒険者ギルド直通扉を増設した。

「これで、移動が楽になる」

と言って、ヘーニルは帰っていった。

「では、ミーファさんはこのまま鍛冶ギルドへ来てください」

ラウラさんが促し、二人で鍛冶ギルド直通の扉をくぐっていった。

「そうそう、これが今回のクエストの依頼書です。無くさないように」

イリーナはそう言って直哉に依頼書を渡し、徒歩で帰宅した。


残された三人は、

「鍛練しますか?」

直哉の提案により、お互いの戦力の確認をすることになった。

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