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魔術×言霊=作戦決行!

「シトリミヤ・フーラーテ」


今日も僕を呼ぶ声がする。あぁ、嫌だな。行きたくない。……………もう、本気、出しちゃおうかな。



「遅いぞ、ノロマ人魚が!」


五月蠅いなぁ。死ねよクソ王子。






「きまし…………」

「きまし…………」

「お、繋がった」

「「たー!」」


きまし待機してた私達。今日が作戦決行…………名付けて「囚われの人魚を救おう大作戦」の開始日です。いやー長かった。父親豚脅して(「そう言えばダースが不可解なこと言ってたんですよね、何でも起きたら父様が鼻息荒く服を脱がそうとしてた、とか」と言ったら簡単。この国で男色は犯罪)休みとったりとか。王宮にある水籠の部屋──シトリミヤがいる場所を兄様に調べてもらったりとか。んで、ようやく今!



「にしてもルナ様には本当驚かされます……」

「魔力を重ねて魔法を重ねるなんて言われた時は無理かと思ったけどやれるもんだな」



私が守護者となるアメジストの能力は「言霊魔術」と呼ばれる他とはちょっと違うもの。祝詞を述べ、精霊の力によりその効果を引き出す精霊魔術だ。祝詞は重ねることで強大な効果を生み出すが、それには膨大な魔力が必要。そして素質も。この素質ってやつは中々発現しないんだけどね、アメジスト使いって少ない。

んで、私が考えたのはダースの隠蔽、妨害の闇魔術(これは宝石が無く、無の術と呼ばれる)に私の祝詞を繋ぎ、それに更に兄様の転移、そして転移場所微調整の魔術を繋ぐってこと。魔術と魔術を祝詞で重ねたのだ。結構強引だったけども私の力が強いお陰か無事成功。やったね!



「じゃあ転移………なんだが。荷物は持ったか?」

「おやつは300円まで!」

「先生、バナナはおやつに入りますか!」

「エンって何だルナ。あとダース、あれは果物だ。おやつじゃない」


ダースは私権限で今日のお仕事は休み。私のお気に入りと判断されているらしくすんなり貰えたよ。


「……ま、冗談は置いときまして。呪術の反射のブレスレット。取り寄せるの遅れたけど付けていって。あとコンタクト取れる機械。耳に付けるイヤリングタイプだから目立たないはず。まぁ話す時には外したりしなきゃならないっぽいけど高性能、のはず」

「うわ、すっご」

「アメジスト……ルナのお手製か?」

「正解。祝詞を何ヶ所かに分けて刻み込んだ。質の高いアメジストを媒体にしたからね、結構上手いこといったよ」


めっちゃ私頑張りました。だってダースとランス兄様に付けてもらうものだからね。失敗は許されない。



「んじゃ、囚われの人魚フラグ、ボキッバキッグチャッと折りに行きましょうか」

「ルナ様、擬音が不穏」


煩いですよ。可愛い女の子大好き=男の娘も守備範囲内なんだ。察して。あと鼻息荒くなっても気にしないで。







「あまりにも簡単に行けて不安なんだが王宮の警備が」

「唯一すごい警備網が敷かれてる場所、なんですよね、ここ」

「私のやったことがあまりにも予測不可能だったからに違いないよ、うん。……………うん」

「ルナ様、現実の世界はこちらなので逃避してもすぐにお戻りくださいね」

「ちょっと旅に出てくる。探さないでね」

「それ帰って来ないフラグですので折らせてください」



……………うん。会話から見て分かるように呆気なく侵入出来た。水籠の部屋───シトリミヤが監禁されている最高の警備がされている(はずの)部屋に。もう何も反応しないんだ。この部屋に入った……いや、この部屋に直接転移して動き回っているのにも関わらず。なお、影魔術も闇魔術も私の言霊魔術並に希少価値の高いものです。…………確かにこれを重ねる案は出ないだろうし、やろうとしても人員が足りない。あとは能力者の質が足りなくて諦めるか。



「にしても……………」

「淋しい場所ですね」

「こんな広いとこで独りで監禁されてるのか?………王族クソだな」


兄様の王族への好感度ダウンにつき、恐らく王宮付きの暗殺者の道は無くなりました。…………予定外のフラグボキッがあったけどまぁいっか。



さて、ここの場所を説明するには水族館を思い出してもらう必要性がある。ほら、水族館って壁一面の水槽とかあるでしょ?あれの上まで行って餌やり体験、みたいなことをした人はアレで想像してほしい。その上の水槽の縁に私達は立っている。……………ちなみに無い人は屋内プール、底超深い、で考えてもらえれば大して変わりはないと思う。



「ね、君達、誰?」



人の声に思わずギクリと反応する。


「ルナ様、大丈夫です。今の声………」


ダースの小声で私は我に返る。

そうだ、彼がシトリミヤ・フーラーテ。私が用事があった人物だ。





シトリミヤ・フーラーテ。男人魚(マーマン)。男の娘のような風貌で顔面偏差値は恐らくあのゲームの中でもダントツに高い。外に出たことが少ないせいか、好奇心旺盛。……………そして、腹黒。少しでも「?」って思えば暗殺エンドにご案内というガチモンの人間不信。しかも直前までそれを感じさせないことからついたあだ名は…………麗しの、悪魔。



「シトリミヤ…………さん?」

「うん、そうだよ。それで君達は…………誰?」



そこには天使のような微笑を浮かべた美少年が上半身だけ水から出した状態で揺れていた。



…………………失敗は、許されない。

何故失敗が許されないかというと、彼の場合強制エンディングが暗殺エンド一択だからです。しかも雇うんじゃなくて自分で殺す方の。直前まで、場合によっては殺害直後までいつもと変わらない微笑を浮かべ微笑んでいることからついたあだ名が麗しの悪魔、というわけです。

引き続き、感想ブクマ評価等あれば狂喜乱舞します。もう愛犬は「またか………」という物言いたげな視線を送るに留めてきました。諦めるなよ……諦めたらそこで試合終了なんだぞわんこ……!

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