表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/42

兄様×添い寝=幸せ

「と、いう訳ですのでここが兄様の新居です。なおここのボタンをポチっとなすると物理的に私の部屋に繋がっている階段が現れます。もしかすると同居人が増えるかもしれないのですがそこら辺はご理解いただきたく」



なんとね。私の部屋、屋敷の外と繋がってたのよ。先々代の寝室とも聞いていたからね、抜け道あるかなーって思って自力で調べたんだ。ちなみに夕方のうちにダースによる幻惑を用いた命令で私のものになりました。………父さん豚、お金増やすためって土地と一緒に家売っちゃ駄目よ?これ、悪用されてたらお前の命も無くなるとこだったんだからな?



「えっと………今日用意したばかりなので物も無いのです。あの、なので、今日は私の部屋に泊まっていってください!」


大丈夫。今の私は4歳。ランス様13歳。………ヒロイン(笑)18歳ランス様28歳だったら事案だけど今の年なら大丈夫、うん、大丈夫。ダース、うるさいよ。俺も添い寝したいじゃない。



「いや、俺雑魚寝で良いんだけど……馬小屋とかあれば良い方だし」

「駄目です!兄様には幸せになってもらわないと!これが私の使命です!」


使命万歳。ランス様を雑魚寝なんて恐れ多い。ファンに殺されるよ。……………ランス様は原作でどんなキャラだったか?不良っぽいけど面倒見の良い兄貴───────バッドエンドでは終盤ヤンデレに豹変、だよ。暗殺者だからかな、ヒロイン(笑)に近付く奴は全員血を見る(文字通り)になったね。ヤンデレ好きには堪らないキャラだったらしい。ハッピーエンドでも執着心と独占欲は強そうだったしな。


「いや、でもな………」


苦笑しながら私の頭を撫でるランス様。はぅゎ気持ちいい………



じゃなくて!



「あの、兄様にぎゅってしてもらって寝てみたいんです。………駄目、ですか?」


必殺、涙目上目使い。袖をちょっと握りしょぼんとした表情を添えて。


「……………俺が朝起こしに行くんで大丈夫です。はい」


なんか優しげな表情で悟った目をしたダースが溜め息混じりにそう言った。感謝するぞ、相棒。


「………じゃ、今日だけよろしくな、ルナ」

「………!はい、お兄様!」


ランス様と添い寝!






「うわ、ひっろ……」

「仮にもうちは公爵家ですから。うわ、もうこんな時間」


ここの時間は日本と変わらない24時間区切りだ。今は2時くらい。明日は休日だから私も遅起きが許されている。普段6時、休日8時、就寝は変わらず9時って感じの健康生活だ。



「兄様、シャワー浴びます?私は兄様の匂い好きなんでそのままで良いのですが………」


居心地悪そうに、なんか気にしているなーと思って考えて思い至った。確かランス様って匂いフェチ、みたいな感じだった。よくヒロイン(笑)の匂い嗅いだり噛みついたりしてたし。………んで、なんか同じベッドで寝るイベントで俺汗の匂い凄いから………って断ってた記憶がある。



「……少し、借りていいか?」

「はい、良いですよ」


確かに私のベッドなんかでけぇし気後れするよな、うん。それにお嬢様(仮)と寝ろって言われたら体臭気にするかも。だってあの控えめなランス様が拒否することなく行ったからな。まぁ私はあのままのランス様でも全く構わないけどな!





「すまんな、ルナ」

「………………」

「……………おい、どうした?」

「兄様、髪の毛下ろすと印象変わります」


ランス様は仕事で髪が邪魔だからという理由でオールバックにしている。……油が使えている時点で分かるだろうが、この人スラムから出られるくらいには経済力をお持ちです。実力は既にあるので動きやすくて逃げやすい場所、ということでスラムにいたらしい。なおダース情報。



「そうか?子供っぽくなったか?」

「かっこよくなりました!」

「……………」



何故髪を切らないかっていうとそのオッドアイが原因だったりする。これはもろに魔力が表面化した例なので強い適正を持つって狙われる目印になったりするからだ。それを髪で隠すためっていうワケなのです。あと無言で照れないでください顔真っ赤ですよ。


「兄様、早く寝ましょう!もう眠いです!」


照れているランス様を引きずってベッドに行く。…………あ、上れない。このベッドでかいからいつも使用人の誰かに持ち上げられて寝かされてたんだよね。下りる時はジャンプすればいいし。



「ほら、掴まってろ」

「うわっ」


ベッドの前で真顔で佇んでいたら脇に手を置かれ、身体が宙に浮く。たかいたかいの要領で抱きしめられ、いつの間にかランス様の肩口に顔をうずめていた。そのまま横になり、折り畳んでいた布団が上に掛けられる。片手で抱き締めながら片手で引っ張ったんだね、器用です。




「寝るの遅くなってごめんな」

「元はといえば押しかけた私のせいです、から」

「それもそうだな。けど……俺はお前に会えて嬉しかったよ、ルナ」

「私も、兄様に会えて嬉しかった、です。家族がずっと………ずっとずーっと欲しかったので……」


物心ついた時から何か足りないような気がしていた。今思えば、前世にあった家族の愛情が無かったから、だろう。まさか1日でこんなことになるとは思わなかったけど……今日は良い日だ。

ダースとお話出来て。初めて外に抜け出して。兄様と会って。家族が出来て。それで抱き締めてもらえる。…………たまらなく、しあわせで、たまらなく、いとしい。



「もう寝な、寝るまでずっと抱き締めてるから」



その言葉を最後に、私は夢の世界に旅立っていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ