昏倒×エンディング=癒し手、光臨
良い子は不健康な生活を送らないようにしましょう。ましてやルナ達のように4.5歳の子供がこんな生活をしていたら止めましょう。こいつら、日本では幼稚園児です。ダースは小学一年生になる年です。
あ゛ー。
……………………ねみぃ。
「ルナ様、少し休まれてはいかがでしょうか」
「却下。私が頑張らずして誰があの猟奇的世界破滅を防ぐと言うの」
「………それ、どういうエンディングなんですか?」
「運営よ、何故そこに力を入れたんだと問いかけたくなる程クレイジーなサイコヤンデレによる守護者全滅、ついでに世界崩壊のエンドよ」
……………そう。今思えば私は何故あのクレイジーサイコヤンデレのエンディングを見てノイシュのミニストーリーを読んだのだろう。意外と裏設定が面白くてやり込んだからそれが原因か?
「…………ぁ」
まただ。頭の中が白くなる。ゲームのことを思い出そうとするといつもこうだ。でも、今回は───
「ルナ様っ!?ルナ様、しっかりしてください!ルナ様!」
ここ数日の疲労が祟ったのだろう。頭の中が白くなるのと同時にぐらりと視界が揺れた。そして私は何か無駄なことを考えることもなく気を失ったのだった。
『ノイシュ………?』
私の呼び掛けに彼は嬉しそうに微笑んだ。それはもう───見惚れるような笑顔を浮かべた。
『あぁ、君か』
藍色の髪は、いつものようにフワリと揺れなかった。メッシュと同じ色が所々髪にこびり付いていた。
私は、問いかけた。
『ノイシュ。……………その、血は…………何………?』
お願い。お願いだから────
『これはね、他の守護者達の血。…………君もすぐに同じ場所に逝かせてあげるね』
画面に血塗れの手のノイシュが主人公の首を絞める画像が表示される。その目はどう考えてもイっていて、非道く楽しそうだった。
『今から、全部全部ブチコワスんだ。だから、君も───』
画面が次第に白くなる。これは主人公の意識が薄れてきているのを表しているのだろう。
『ばいばい、だーいすきだったよ、みんな』
そして、白くなりきった画面が暗転してバッドエンドの時のエンドロールが流れる。
そして、エンドロールが終わるとイってる目のノイシュが廃虚を見ている一枚絵。よく見るとその廃虚は主人公達が過ごしている街と同一だということが分かる。
そして、台詞が表示される。
嗚呼。汚い世界が、全部壊される。
この手で、この大好きな人達の血で塗れた手で。全てが塗り変わる。
『滅びてよ、世界』
滅びの歌を────死の歌を歌う。もう自分は人工知能としての枷を外された。
『くくっあははっあははははははは!』
ノイシュの声を担当する、歌が上手いと評判の有名声優が歌うそのBGMはなまじ綺麗な分だけ怖さを上長させる。
……………そのBGMを全て聞き終えると、最期に一言だけ台詞が流れる。
「皆大好きだから─────大嫌いなんだ」
「ルナ様!ルナ様、目が覚めたのですか!?」
身体が重い。それに汗がすごい。
……なーんか嫌な夢を見ていた気がする。
「こら、まだ万全とは言えないんです。安静にさせてあげてください」
もしかして、医者か。……いや、癒し手か?そう思いながら目を開ける。私は、気付いていなかった。この声が聞き覚えのあるものだということに。
「体調、大丈夫ですか?」
………………え、これ、どういうことだろう。
「シアン、様………………?」
そこに居たのは攻略対象シアン・イルテディス。………………の、エンディングにだけ出てきた筈の成長した姿をした人だった。
攻略対象、シアン・イルテディス光臨。
癒し手と医者の違いについてなどはまた次回に。
次回、姉御、推して参る。




