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影喰い×王子=………?(第一王子視点)

もはや、何も言うまい。ただ若干発狂したり真顔になったりする頻度が増えているとだけお伝えします。……デイリージャンル別12位、びっくりどころではありませんでした。

「動かない方が身のため、ですよ」


足元からする冷たいモノの気配を感じ、私は足を止めた。





私はこの国の王族、ということになるのだろう。エデン・ハイド、第一王子だ。正式名称はクソ長いため略している。単語が十個を越した時点でこれは名前じゃないと認識した。姓と名だけでいいじゃんと何度思ったことか。


「影喰いか」

「…………この現象の名前を言い当てられる人がいたことに驚きです」

「昔文献で見た記憶がある」

「へー。驚かないんですね、第一王子様」

「この術を行使出来る闇魔術使いがいたことには驚くがな。第一敵意や悪意を感じない」


私は後ろを向かないまま“それ”と会話する。私の生まれつきの特殊能力だ。人の感情の揺れを知ることが出来る、というものは。“それ”からは必死な……懇願のような感情しか感じない。


「して、何の用だ。私に出来ることは少ないぞ。何せ今は表面上も親と仲違いしているからな」


私は“それ”に興味を持った。前世の研究者としての血が騒ぐ。我が家族により迷惑をかけてしまった哀れな人魚をこれから手助けするのにも役に立つやもしれん闇の使い手。…………       の人物やも知れない輩に。





「とりあえず闇の塊での会話になってすみませんね、王子様」

「いや、構わん。闇のままでは干渉することは不可能だからな。それに人に見られると私もお前も困るだろう」

「…………変わってますね、貴方」

「よく言われるよ」



私は元々の行こうとしていた場所、鍛錬場に彼(?)を招いた。先程の会話の直後、私の足を這っていた寒気はすぐに失せた。予想通り彼の使っていた影喰い───影魔術の初歩と闇魔術の最上級の潜在能力、そして努力が無ければ発動が不可能と伝わる伝説の魔術───は自由自在に動かすことが出来るようだ。伝説では確かそれを使えても操作が出来ない、なんて魔術師のことも描かれていたはずだが。

そして、今私の足に絡みついている蛇状の黒いものは彼の影喰いの残滓であり媒体となるものだそうだ。念のため、と完全に消すことはしていないようだ。



「まず、こんな夜分遅くの不躾極まりない訪問を謝罪します。あと今も付けられているその影喰いの件も言葉だけでは謝罪します」


慇懃無礼、というのは彼のことを指すのだろう。闇の塊を見詰めながら考える。彼は未だに本当の姿は見せず、黒々とした50センチ大の闇の塊を媒介して私と会話している。そもそもこれは遠隔操作が難しい………いや、最高難易度と言っても過言ではない力のはずなのだがいとも簡単に闇の塊を媒介する力と併用していることに恐怖を憶えた。



「交渉してくれませんか、王子様」

「…話を聞こう」


瞬間、私達の周囲が闇に閉ざされた感覚がした。

………………ああ、これは本物だ。闇魔術を3つ行使……しかもその内一つが魔力喰いとまで呼ばれる影喰い。そんなことを出来る人物なんてアレしかいない。



思わぬ出物に私は密かに口元を歪ませた。こいつが望むことを出来る限り叶えてやろうと思いながら。








「………は?弟が婚約?」

「まぁ俺の正体は多分予想がつくかとは思いますが彼女に手を出したらいくら王子様と言えどもその影喰い活性化させて殺しますよ」

「怖いな。だがしないよ、そのようなことは。事実私も初耳なんだ。………ガレイア嬢か。才女として既に名を馳せているとは聞いたな。我が愚弟とそう年は変わらんのにな」

「…………で、王子様の見解は」

「我が父親の策略だろう。珍しきアメジストの優秀な使い手を囲い込み王家の傀儡にしようとしたのだろうな。………アクアマリンの優秀な使い手を取り逃した、からだろう」

「やっぱりですか………」


顔は見えないのに溜息を吐いているように見えて申し訳なく思う。我が愚父が迷惑をかけているようで胸が痛む。


「分かった。これはそもそも私の家族の責任だ。彼女のためにはならん……いや、彼女の自由を何処に失わせたのだろうな、我が父は。王といえども許せぬよ。婚約破棄の方向で情報を操作させておこう。なに、彼女に迷惑はかけぬようにするさ」

「…………こんなに都合良く進んである意味びっくりなんですけども」

「はは。私も日頃から我が父親には呆れておるのだ。…………これを機に愚弟の性格を矯正してやろうと考えておったからな。計画を実行に移してやろう」


心なしか笑顔が黒くなっている気がするがそこら辺は仕方が無いと思う。まさか日頃から屑だ王の器では無いとは思っていた我が父が後のアメジストの守護者に成りうる可能性のある人物にまでそのようなことをするとは思ってはおらんだ。…………改革や暗殺事件でも起こして速攻で世代交代した方がマシやもしれんな。考慮しておこう。



「それで王子様は何を望みますか?出来る限りの努力はしますよ、彼女の恩人ですし」

「ふむ、そうだな…………。哀れな人魚の行方を教えてもらおうか」


こいつは先程の傀儡云々の時に動揺していなかった。王城に囚われた人魚がいることは公然の秘密であるというのにそれがいなくなった、ということに全く反応しなかったのだ。………恐らく場所を知っておるのだろうな、というのは想定出来たし彼もそれを狙っていた気がする。



「……………俺と同じ場所で働いていますよ。毎日笑ってます。あんたには感謝していました」

「…そうか。ならば良かった。彼に伝えておいてくれないか?救い出すことが出来なくてすまなんだ、とな」

「いーですよ。で?それだけでいいんですか?これ、俺なりに無償で与えた情報のつもりだったんですけど」

「やはりそうだったか。………うむ、そうだな」



私は彼の影喰いを素手で掴み、引き裂く。微かに驚いた気配がしたのを見てクツクツと笑いを堪える。


「たまにはその姿で遊びに来てはくれぬか、私もこのような力を持て余して暇だからな」



それが私と彼──ダースティア・クロイネルのファーストコンタクトとなった。

沢山ブクマありがとうございます。最近物忘れが激しいのでこれは夢なのではないのかと思っています。


今回は話には出てきていた第一王子視点です。ダース君の暴走こと作戦というのはこいつ……王子を脅し協力を頼むことでした、ということ。そして闇を使っているその場所にはランスもシトリも構えていて、何かあれば王子の記憶を消したり無理矢理やらかす予定でした。それが発動しなくて何よりです。


設定的には王子はこの国の研究者(文献専門)として生涯を過ごし大往生を迎えたその後に転生した元美女です。美女です!(大事だから二回言った)ちなみに独身で研究が恋人でした。………なので微妙に年寄り言葉でたまに女言葉が入ってます。そして       と空白の箇所は彼(彼女?)が研究者だったからこそ知っている事実、というわけです。

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