手紙×お願い=暴走
ブクマが150越えですと……!?これ白昼夢のような気がしてます。そしてデイリーランキング、恋愛ジャンル22位、総合76位というわけで。皆様ブクマ評価、ありがとうございます!………恋愛未だに入り込んでいなくて申し訳なさすぎます。一応ヒーローはダース君です。
「だから!彼は自力で逃げ出せるまでの力があった!そうだと前々から言っていたのにそれを戯れ言だと認識していたのは父上です!第一あの様な処遇で不満を抱かないはずがないでしょう!」
俺はその日、激昂する兄という者を初めて見た。俺にとって兄は絶対の存在で完璧な存在。いつも穏やかで感情を表面に出すことも少なかった。………その、兄が。
「見ていたのか、ウィル」
俺の愛称を呼ぶその声が、何故か突き放しているように聞こえた。
「作戦会議のお時間です」
「…………まさかマジで来るとは」
私は机の上にその手紙を置いた。好奇心旺盛なシトリがいち早く水槽(デカいバスタブに水張ったもの)から出てきて魔術で乾かしたその細い指で封を切る。
「ねぇルナ」
「………どうした、シトリ」
「僕、ちょっと用事が出来たんだけどオージサマ殺してきて良い?」
「あ、俺もお供したいです」
「「お前等落ち着け」」
予想通りの反応に私が声を上げると、ほぼ同時に兄様も同じことを言っていた。彼は味方か……!と思いそちらを見やる。
「ただ殺すだけじゃ生温い。ヤツのピーをピーしてピーするくれぇじゃねぇとな」
「「流石ランス(師匠)!」」
「とりあえずお前等一回落ち着け!そして兄様、一番落ち着いてないですからねあなた!」
このあとめちゃくちゃ説得して家から出るのを諦めさせた。
「だってさー、あの馬鹿だよ?アレ如きがルナに手を出そうなんて百年は早いよね、ダース」
「当然です。とりあえずは生きられる範囲内では早いですね」
「………君達本当私が好きだね」
「「今更何を言ってるの(んですか)?」」
「あ、うん、なんかごめん」
シトリも兄様と同じ家で暮らすこの生活に大分慣れて来た頃、事件こと電報は襲来した。
……………………いわく、貴様の娘を第二王子の婚約者にしてやるぞ、喜べ(大分オブラートに意訳)と。
そしてそれを聞いた使用人が私にそれを手紙で知らせてくれた物がコレ。私はこれを貰った直後に周囲に冷気を漂わせたらしい。あらまごめんあそばせ、最近水魔術を教えてもらっていたもので。
「まっさか本気で婚約者(笑)候補がねぇ…………」
「父豚………いえ、失敬。旦那様が交渉してるとか聞いたこともありましたが…………よくも、まぁ。サクッとコロって殺っちゃっていいですか」
「そうだよねー。ねーねー殺ろうよ殺ろうよー。僕これでも強いから一瞬で出来るよー」
「こらシトリ、落ち着け。今殺ったら奴が泣き喚く様を見ることが出来なくなるだろ」
「あ、そっか」
「だから兄様が一番落ち着いてください」
何なのうちの使用人と護衛とその部下(便宜上)の物騒さは。シトリの恨みとそれに同情するのと私への過保護さとこれから想定できる未来で暴走しまくってる。
「…………ほんとどーしよっか、これ」
一旦我が家に戻り、小さく呟いた。
原作では私とヴィラシア………馬鹿王子は婚約していた。これは多分うちの父豚が何かをしたからだとは想像していたがまさか本当にそうだったとは。
「ルナ様」
「んー?」
私は、こいつと婚約したくない。私の目指す未来はヒロイン(笑)を見て笑うこと。もしそれが成功したり…………ヒロイン(笑)がこの世界にやって来なかったりしたら。そうしたら、もしかしたら私がこいつと結婚する未来があるかもしれない。───────罪を人に押しつけて逃げる、私の大っ嫌いな人種と。
「俺に、頼ってください」
「…………へ?」
「秘策があるんです。悪いようにはしません。俺達に不利益は被らないようにします。自己犠牲とかでは無いです。ですから、俺に任せてもらえませんか?」
何でだろう。この目を私は知っている。
「…………いいよ」
今まで頼ったりしていなかった。私は人を頼る資格なんてない、なんて思ってたんだ。それを気に病んでくれていた彼に、初めての“お願い”を。
「ダース。貴方に、協力を頼みたいわ」
「拝命いたします、我が主」
私はこの時、初めてダースに“協力者”としてではなく一方的なお願いをした。
そしてその後、何が起こったのかを知った後、私は決意する。…………こいつに何かやらせる時は絶対計画話させないといけない、と。
今回は新章導入部分ということで短め。ようやく話には出ていた第一王子と馬鹿王子を書けました。ちなみに作者は第二王子のことは心の中で馬鹿殿と呼んでおります。次回、ダース君+α、暴走。シトリ君は何気に凄く馴染みながらルナ様教に入りかけています。彼がどうしてこうなったのかも後々。




