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無茶×相棒の涙=狼狽

「ルナ様ー」

「ん、どうしたのダース」

「休憩!休憩しましょう!ほらお茶!緑茶作りましたから!」

「いやちょっと待ておい引っ張るなっておい!」




「すげぇ。マジで緑茶と煎餅だ」

「お茶請けも和風にこだわりました」

「………懐かしい味だね」

「…………はい」



私が前世の記憶を取り戻してもう何ヶ月か経つ。概ね平穏な日々が続いている。今折れるフラグは無い状況だ。


「ルナ様」

「ん?」


煎餅を口に頬張りつつ相棒の方を見やる。そう言えば私今度5歳になるなー。こいつと一時的に同い年になれるんだ。あー、緑茶美味い。シトリに後で持って行こう。


「ルナ様は、頑張りすぎなんです」

「………おいこらどうした急に」


急に動き出したかと思えばダースの指が私の頬を摘まんでいた。ムニムニ伸ばされて何気に痛い。


「俺、頑張ってんですよ。でもルナ様にはとても勝てそうにないです」

「いや、んなことは──」

「あるんです!貴方って人はいつもそうです!一人で抱え込んで一人で問題解決しようとして!なんで頼ってくれないんですか!」


そう言ったきり涙目になって顔を伏せたダースに狼狽える。ダース様の涙麗しいとかそういう場合じゃない。私は本気で狼狽えていた。



「お、おーい、ダース……?とりあえず泣き止め、な?」

「泣いてません」

「いや泣いてんだろ」

「泣いてないったら泣いてないんです」


これ男女逆の気がしてきた。でももう(個人的には)長い付き合いになる彼が初めて私にぶつけてくれたその感情は、ひどく心地良い。



「あーもう。ほら、ダース、暫くそのまま動くの禁止ね」

「な!?ルナ様、お離しください!」

「だが断る」


私はいつも兄様がしてくれるようにダースを抱き締める。ダースからは私の顔が見れないように注意を払いながら。 


そっかー。私確かに相談とかせずに突っ走ってたもんなー。アレか。アメジストの加工で無茶したのバレたかな。…………だってせっかくダースの休みを被せれたし徹夜してでも期待に応えたいじゃん。祝詞繋ぐのには集中力と時間が必要だから、その足りない時間は睡眠時間を削れば良いかなーなんて思ったりしたわけですよ。



「ルナ様は」

「ん?」

「人を頼らなさすぎなんです」

「………ごめん」

「俺も、出来ることはあるんです」

「もう、睡眠時間削ったり、やらないでください」

「分かった」

「あの、だから」

「うん」

「………馬鹿王子のフラグ、折るの一人でやらないでくださいね」



あー、そっちもか。私の人生の一大イベントかかってるしな、それがシトリの件で印象最悪な第二王子ならなおのことだろう。



「ん。分かった。次はダースに相談するよ」

「約束ですよ?」

「約束約束。指切りしようか?」

「嘘付いたら針一万本飲ましますよ?」

「0一桁分増えたね!?」

「ふふ、冗談ですよ」


私の腕の拘束が解かれたのを感じてダースはもぞもぞと動いた。上目使いで私を見上げながら彼はいつも通りの悪戯っぽい笑みで笑ってみせた。










しかし、私は分かっていなかった。これが言質をとったという状況だと言うことに。私はこの時のことを思い出す度にこう思うようになる。もう二度とフラグを折るのをダース一人に任せたりしない………と。

そして次はある人の心が折れる回。シトリ視点は敢えて暫く後にまわしています。何かもうすごいブクマで毎回「!?………!!??」となります。嬉しいです。

久しぶりのヒーロー回でしたが彼の本領発揮はまだまだです。彼の初期案は盲目系変態使用人。まだ序の口です。

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