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死後世界触手譚  作者: 青風
新生活
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第05話     俺のトラウマ と 猫にトラウマ

楽しみすぎていつもより早く起きてしまった。

というかほとんど寝れなかった。

レンジャー時代に初陣の日ドキドキとワクワクであまり寝れなかったのと似ているな。


さて、どうしたものか、まだ空が少し白んだ程度だしな・・・

今日の俺は調子がいい。

昨日思う存分ネコをいじくり回し(弱点攻めの刑)たからだ。

おっと、本音と建前が逆になった。

あれは交渉の場で酔っ払った奴らへの罰だ。

決して俺が楽しみたかったのではない!

刑を執行した後コウに


「センさんずいぶんご機嫌ですね?何か良い事あったんですか?」


と言われたが俺は楽しんでいない。あれは罰です。仕方なくやった事だから俺も心が痛いです。

さて、少し早いが今日もって行く秘密兵器を確認しつつ葉っぱで作ったポシェットに入れて用意しておく

もう巻きつけておこうかと思ったが、その前に朝食を食べないとな。

前、しらたま達のおかげで実行できなかった魚でも取りに行くか。しらたま達と4人で行けば何とかなるだろう。

そう思い洞から出るとまだしらたま達は寝ていた。

流石に昨日の放心状態のままというわけでは無いが器用に丸くなって思い思いの場所で寝ていた。

しらたまは洞を出てすぐ横木の幹に寄り添うように、ブッチーは焚き木の傍で、ルーは木の上で。

たまに手がピクピクしてるのは元世界の名残か?

どうやって起こそうか迷っていたのだが心配要らなかった。

近づいたら起きたからである。


「あニャ?・・・ひぃ・・・もうかんべんですニャ」


しらたまが俺に気づくと顔を引きつらせつつ後ずさる


「ん?どうした?」

「あれは気持ちよすぎて訳わからニャくなっちゃうのニャ」


どうやら寝ぼけているらしい。

エロく聞こえるかもしれないがいたって非エロである。

そもそもこの体になってから性欲とは無縁である。人体って不思議だな。


「ん~?どうしたのしらたま~」

「・・・」


ブッチーとルーも起きたか。ちょうどいいな。


「よしお前達、朝飯を取りいくから付いて来い」

「はい」

「・・・」

「わたし達はお客さんニャ」


と距離をとり寝なおそうとするしらたま。ブッチーとルーは、用意しようとしてるのにこいつは・・・


「つ・い・て・こ・い」


と触手をワサワサさせて近づくと飛び起き、首をすんごい勢いで縦に振る。

はじめからそうしろと・・・まぁネコだから仕方ないか。


「で、朝食は何かニャ?」

「角付きの魚を取ろうかと思ってな」

「え?ギランを?」


ブッチーが驚き声を上げる。あの魚ギランというのか。


「4人で行けばあれ位いけるんじゃね?」

「ギランはキルク村では成人の儀式で取る獲物で、まだ成人してニャい私達じゃ無理だと思うニャ」

「え?ネコって1年で20歳になるんじゃ?お前達いくつなんだ?というか成人って何歳からよ?」

「1年でこの大きさにはニャるけど20歳にはならニャいよ?」


まぁ、1年20歳なんて人間が勝手に決めたネコの年齢の計算式だしな。


「ボク達まだこの世界に来て5年ほどです」

「ギランを取れば成人として認められる。逆に取らなければ何時までたっても成人したと認められない。」


ブッチーとルーが補足する。


「ん?ギランを取ったか取ってないかだけの差じゃないのか?

 なら取ればお前らも成人って事になるんじゃね?」

「おおー!なら取りに行くニャ!」

「ですね」

「うん」


皆で気合を入れてると


「おはようございます。楽しそうですね、何の相談ですか?」


とコウが起きてきた。


「今からギランを取りに行くニャ」


胸を張って答えるしらたま


「ギラン?ですか?」

「そそ、前言った角付きの魚だよ。朝食にしようと思ってな。

 けど聞けば、なんでもキルク村で成人するためにはアレを捕まえないといけないらしい。

 まぁ、4人居れば取れるじゃないかな」

「私も行きますね」

「コウは水浴びじゃないのか?」

「そうですけど、危ないかもしれないじゃないですか。水浴びは後でも行けますし」

「そうか。んじゃ皆で行こうか」

「はい」


結局全員で行くことになった。

コウとしらたまがどっちが俺を抱っこするのか揉めてたみたいだがコウが譲らなかったみたいだ。

コウに抱かれながら湖を目指す。

いい機会なので道すがらキルク村の食糧事情やら何やらを聞いてみた。


「キルク村ではあの湖で魚を取ったりしないのか?」

「あそこはギランが居るので支流の川で取ってますね、後は木の実や食べれる葉っぱなんかですね。」

「なるほどな」


俺らのほうがここに来て日が浅いのでキルク村で俺らのまだ知らない食材なんか判ると良いな。


「衣服とかはどうしてるんだ?見た所獣の皮とかっぽいけど。ムウズとジーは絹っぽいものもつけてたよな?」

「あれは成人してからじゃニャいと着れないのニャ」


私も着たいけどニャ~と、しらたまが答える


「そんな決まりがあるのか」

「成人すればモンスターの巣の討伐に参加出来るようになって、その巣で手に入る繊維からあの服ができるんです」

「あぁ、なるほどな、討伐に行ってる証みたいなものか」

「はい、婚礼の儀を済ませてたりしたらその限りでは無いですけど、大まかにはそのような感じです」


ネコ同士の結婚式ってちょっと見てみたいな。


「そう言えばギランの能力について何かしてるか?」


俺らはギランの能力など何も知らない。あの角による攻撃だろうと思うのだが。


「そうですね、あの角での攻撃と電撃と聞いてます」


え?電撃?そんな危ない奴だったの?


「なるほどな。その電撃ってどの位の威力なんだ?」

「個体の大きさにもよります。大きいほうが強いです。

 小さいのだと少し痺れる程度ですが、大きくなるにつれ麻痺が出る可能性があります。

 ヌシ級になると直撃を食らうと跡形も残らないとか・・・聞いた話なんですけどね。」


ヌシは相手にしちゃいけない。コレは絶対だな。


「まぁ、適当な奴(小さめ)でいいだろ。朝食なんだしな。成人するのにギランの大きさとか関係あるのか?」

「そうですね、普通は1人で1匹なので3人ともなれば少し大きめじゃないと成人として認めてもらえないかもしれないですね」

「そうか、ある程度大きさのをさがそうか。後はどうやって陸に上げるかだな」

「ギランは陸にも上がりますよ?」


なん・・・だと・・・

水中戦闘が基本でいざとなったら陸に逃げれば問題ないと思ってたのにその作戦が使えないとは。


「水中では戦えない陸に上げてからの戦闘が基本」


黙々と歩いていたルーが会話に入ってくる


(という事らしいが、どうだ?勝てそうか?アイ参謀長)


とアイに聞いてみる


『YES:問題は無いと思います。コウの攻撃力の方が上回っていると思われます。』


流石だ。参謀長の部分が流された。流石だ・・・


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