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死後世界触手譚  作者: 青風
新生活
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第04話     前の世界 と 今の世界

しらたま達が帰ったあとすぐに作業に取り掛かる。


「センさん、何作ってるんですか?」

「ん?あぁ、秘密兵器だ」

「んんん?」

「ネコ村に行ったら多分必要になるだろうと思ってね。お楽しみだよ」


2,3日掛かるだろうと思っていた返事はすぐに来た。

次の日の昼前にしらたま達と新たに2名のネコミミを連れて。


「はじめまして、キルク村の警備隊長のムウズと言います」

「同じく副隊長のジーです」


ムウはと言った子は白地に所々黒縞が入った雑種なのかな?ジーは艶のある黒一色、ふむ黒猫か。

しらたま達は皮の腰巻とかなのに対し二人とも絹っぽい衣服の上に皮の胸当てをつけている。

村の中でも偉いほうなのだろうか?

ただ、この子ら語尾にニャが付かないな。・・・出来る!


「あぁ、よろしく俺はセンだ」

「私はコウです」

「俺達の事は好きに呼んでくれればいいよ」


お互い簡単に挨拶を済ませ本題へと移る。

一瞬ムウズがビックリしたように目を見開き鼻をヒクヒクと動かしたがすぐに元に戻った。

ちなみに、シラタマ達はすでにキウイ茶を飲んでおかしい事になってるが、ムウズとジーは我関せずを貫き俺らの前に座る。

ムウズとジーはキウイ茶は要らないとの事、流石に警備隊長ともなればそう簡単に警戒は解かないか。


「さて、それで返答はいかに?」

「はい、わがキルク村に来たいとの事ですが、あの3人ですとそこまでの判断は出来かねると思い至ったので私が直にこちらに来させていただきました。

「なるほど、んで君のメガネには適ったかな?」

「確かに敵意は無いようですが、流石にモンスターとなると・・・」


そう言ってムウズは畏まる。

やっぱりモンスターは警戒されるっぽいな。


「ふむ、ひとつ聞きたいんだが、この世界の事について教えて貰えんかね?」

「この世界、ですか」

「うむ、俺らはこの世界に来てまだ日が浅いんだ何もわかってないと言っても過言じゃない」

「なるほど、そうでしたかどおりでエルフとモンスターが一緒に居るわけですね」


今興味深い事を言ったな。

エルフとモンスターが一緒に居たらこの世界的にはオカシイのか?


「というと?」

「ああ、すいません、判りづらかったですね。

 センさんの言い方ですと異世界から来られたという事で合ってるでしょうか?」

「うん、まぁそんな感じだな」

「この世界には2種類の生命があります」

「生命?」

「はい、この世界で普通に生まれた者と、前世で死んだ後この世界に来た者です。」


何そのトンデモ設定。

しかもその言い方だと俺ら死んだのほぼ確定やん?


「違いは前世の記憶があるかどうか、という事と亜人かモンスターかという事です。」

「ほほぉ~という事は前世の記憶があったなら、一度死んだ転生者って事か?」


その通りですとばかりにムウズが頷く。


「ですがそれには法則があります」

「法則?」

「前世で人間だった者に限りますが”人を殺した者かどうか”です」


あ~判っちゃった。

なるほどなぁ~だからエルフとモンスターが一緒に居るのが珍しいのね。


「なるほどな」

「え?どういう事ですか?」


コウはまだ判ってないか。

コウは純粋だしなぁ~


「まぁ、あれだ。

 人を殺したことのある奴はモンスターになって転生するって事らしい」

「え?それじゃあ、センさんって人殺しだった・・・?」

「うむ」

「そんな・・・」


コウが俯いて黙り込み目の前の二人は警戒を強める。

だが俺からしたらそんな事よりもコウを悲しませた事の方が重要だ。


「センさん、その人を殺した理由を聞いても?」


ムウズが理由を聞いてきた。

まぁ、後でコウにも説明するつもりだったからちょうど良いけどな。


「小さい頃海外で住んでてな。

 あぁ、小さいってのは前世でな。

 俺の住んでた所は紛争地域でハイスクール出た後にその紛争が本格的になってきたんだよ。

 んで、その時の紛争で俺の親父が死んでその反動っていうのかな、軍に入って相手を殺したんだ。

 まぁ、最終的にレンジャー部隊で作戦行動でテロリストを殺しまくってたよ。」

「え?それって人殺しじゃないじゃないですか!」


コウがバッと顔を上げて怒ってる。


「え?だから人を殺したんだって。

 だから人殺しやろ?」

「違います!好きで人を殺した人が人殺しで、仕方なく人を殺した人は人殺しじゃないです!」


なるほど、判らん。

人を殺したんだから人殺しだと思うのだが、コウが違うという事はコウの中では違うらしい。


「悲しんで損しましたよ!そうならそうと言ってくださいよ!」


うん、俺はその違いが判らないんだがな。

そう思ったが言わなかった。

またコウが怒りそうだったので。


「なるほど、軍人だったのですね」

「そんな感じだ。

 殺れと言われれば殺すし、そうしないと死ぬのはこっちだしな。

 殺したことにも後悔はしていないよ。」

「それは当然ですね。

 それじゃあもうひとつ質問させてください。」

「OKOKどうぞ」

「何故、キルク村に来たいのですか?」

「猫が大好きだからです!」


クワッと目を見開き(目がないからつもり)宣言する

その場に居たコウとムウズとジーがポカーンとする。

けど、それ以外に理由要る?


「あっははははは、判りました、センさんとコウさんをわがキルク村に招待しましょう。

 ジーもそれでいいね?」

「はい、この方からは悪意を感じませんでしたので事実かと。」

「じゃあそういう事で、何時来られますか?」

「んじゃ、明日の昼位にでも行こうかな」

「判りました。

 それじゃ、シラタマ達を置いて帰りますので案内させてください。

 連れて帰れそうにもないですし。」


忘れてた。

しらたま達を見たらまだあられもない姿で酔っ払ってる。

こいつらは・・・後で弱点攻めの刑だな。

そう心に誓った。


「それでは、この辺でお暇させていただきます」

「あぁ、そうか、わざわざ来てもらってスマンな」

「いえいえ、仕事ですしそれに興味もありましたから」

「ふむ、そうか。んじゃま、気をつけてな」

「はい、では失礼しますね。兄ちゃん」


そう言って去っていく。

ん?兄ちゃん?俺は弟居ないぞ?ま、いいか。

それよりもさっきの話で拗ねてるコウのご機嫌を取っておかないと・・・


「コウちゃんや」

「・・・・」


あ~コレは根が深そうだ。


「まぁ、そのなんだ・・・黙ってて悪かったな。」

「・・・本当に悪いと思ってます?」

「反省してます」


ここは平謝りで!余計な事を言ったら墓穴掘りそうだしな!

下手に怒らせて魔法でも食らったら即死するしな!


「人を殺した事があるのを知られたくないから、前世の事言わなかったんですか?」

「まぁ、それもあるにはあるが・・・それだけじゃない」

「というと?」

「その方が楽しいやろ?折角生き返ったんだし第2の人生楽しんだ者勝ちやと思ってな」

「・・・はー、もういいです・・・怒ってるの馬鹿馬鹿しくなりました。」


なんとかなったかな?そしてコウの矛先はアイへ。


「アイさんは知ってたんですか?」

『何をでしょうか?コウ』

「センさんの過去とか犯罪者はモンスターになるとか」

『YES:マスターの過去の記憶は解析した時に把握しています、モンスターになる事象については、この世界に来た時に獲得した理解明で把握していました。』

「何で教えてくれなかったんですか?」

『ローパーになった理由については尋ねられましたが魔物になった理由は聞かれませんでした。

 それ以上にマスターがコウに心配をかけないようにとしてた事により秘匿しました。』

「そう・・・なんだ・・・ふーん・・・あ、センさん今すぐご飯にしますね♪」


なにやらコウの機嫌が一気に良くなったが何故かわかん。

結果オーライなのでよしとする。

さて、明日は待望のネコ村だ・・・楽しみすぎる。

そんな事を考えながら触手をうねらせつつしらたま達に忍び寄る。


その後触手で足腰立たなくなるまで全身マッサージをされたシラタマ達は、満足そうな顔をした気絶状態のまま放置されて朝を迎える事になる。

次のUPは日曜日になりそうです。

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