第03話 人外 と 人猫
味覚は普通にあるし嗅覚も普通位はあるみたいだな
ここ数日間周りにある色々な物を食ってみた結果コショウっぽい物やらサトウキビっぽい物など色々食べれる素材があることが判明したり
川の少し下流に生えてる木の葉っぱには塩のように辛いものがありそれを煮詰めると塩が出来た。
マングローブの葉みたいな物のようだ。
少し上流には大きな湖みたいな所があり、あの大きな魚の魚影も何匹か確認できた。
余談だが、その湖のほとりの浅瀬で岩に囲まれた所があって、そこがコウの水浴び所になってる。
こういうと、ノゾキイベントに発展とか考えるかもしれないがそれは無い。ノゾキ良くない。
まぁ、そんなワケで水と塩さえあれば何とかなると思うのだがコショウや砂糖まで手に入るとはかなり幸運だ。
流石に味噌や醤油などの代用品は見つからなかったけどそれはまぁ仕方ない。
大豆っぽいものを探して味噌や醤油をつくるか。
進化はというと、今まで食べた物での変化は無かった。
毒キノコを食いまくれば毒液とか毒化とか出来るかと思ったがそれは無く、毒キノコを食べるたびに体が痙攣して水羊羹みたいにプルプルと動けなくなった。
耐性と言っても効果は少しみたいで他の人よりはって感じだった。
ただ、耐性も少しずつは効果が上がってるみたいだが、劇的というほどの進化は無かったのだが、コウが思ったよりも心配するのでやめた。
心配はかけちゃダメだね。
攻撃手段にしても頑張った。
触手を鞭のように叩きつけたり対象に巻きつけて引き寄せたりは出来るようになった。
最初は何本もの触手を動かすのは一苦労だったのだが、手の指のような感覚で動かすと結構自在に動いてくれた。
やってて判ったのだがこの触手、結構伸びるのである。
当ててもあんまりダメージ無さそうなんだけどね・・・
俺も本格的に進化目的で行動しないといけないのかもしれないな。
ちなみにコウはというと魔法の練習(俺には弓の練習に見えたが)をしていた。
魔力を最大限に溜め込み発動すると結構太い木の幹が半分ほどえぐれて消えた。
(なんでやねん・・・)
ただ、貫通力があるわけではなく破壊したその場で消滅する感じに見えたので、障害物に隠れられると反撃される可能性があるだろう。
剣に関しては素人同然で衝撃波に関してもそこまでの威力は無かった、と言っても石を切る位は出来てるんだな・・・。
まぁ、魔法がおかしな威力過ぎるからなトントンやろ。
けど、よく考えるとこれはヤバイ。
本格的に俺の威厳が危ない。
養われてるだけのヒモじゃね?
(少し危険を冒してでも能力獲得の進化をしなければ!)
そう新たに決意する。
何がいいかな~と思い最初に浮かんだのがあの魚である。
「あれしかないな。
よし、あれにしよう。
魚も食べいし良い所もみせないといけない」
1人盛り上がって居たらツッコミが入った。
『一人での成功確率はかなり低いと思われますが?』
「まぁ、何とかなると思う。
あんな大きいのは流石に無理かもしれんが、少し小さめを狙ってみるつもりだ。
いざとなれば秘密兵器もあるし。」
『コウに報告は?』
「いあ、心配して止められそうだから今はしないでおこう、おまえも言うなよ?」
『YES:マスター』
そう意気込んで湖を目指ざそうと洞を出た瞬間
『マスター、大きめの生体反応が3つ近づいてきます』
「え!距離は?」
『2時の方向500mです』
「川の向こうからか。
こっちに気づいてると思うか?」
『こちらへ一直線に向ってきているところを見ると、かなりの確率でここが目的地だと思われます』
「コウには?」
『報告済みです、こちらと合流すべく戻ってきています』
「そうか」
さすがアイすぐコウに言ったらしく、コウもすぐに戻ってきた。
「センさん!」
「おう、なんかこっちに来てるらしい」
「敵ですか?」
コウが緊張した面持ちで剣の柄を握り締める
「いあ、まだそう決まったわけじゃないし、一旦様子を見よう。
ただ、警戒は解いちゃダメだ。」
「はい」
戦闘は初だろうから緊張も当然だろうな。
実は俺は昔取った杵柄って奴で戦闘は初ではない。
「ま、なるようになるさ。楽に行こう。」
そんな俺の気の抜けた様子を見てか、コウの表情が和らいだ。
そして「ふふっ」なんて笑って口に手を当てている。。
「ん?どうした?」
「いえ、センさんって普通の人が動じるような所で動じないのに、どうでもいい所で動じるんですね」
「ん?どういうこと?」
「普通の人は死んだ事にまず動じると思うんですが、そこに動じなくて’その姿’になった事に動じてたじゃないですか?
今も普通の人だとかなりドキドキする場面だと思いますよ?」
なんか気恥ずかしくなったので
「見た目は重要だよ・・・」
とだけ返しておく。
そんなやり取りをしていたらすぐにその時は来た。
『来ます』
大樹の根の所に3つの人影が現れる。
それはあらかじめここの位置が判っていたかのように、こっちへまっすぐ歩いてくる。
でも、それは見た目は人だけどあからさまに違う箇所が・・・ネコミミと尻尾・・・だと・・・
「へぇ珍しい・・・エルフかニャ」
それはニヤリと笑いながら言った。
ニャって言った!
間違いない。
ネコだ!
白い髪の毛の子と黒と茶色とこげ茶の髪の子とグレーと黒の縞の髪っぽい子の3人
白猫と三毛猫とこれはアメショか?
へぇ・・・種類が髪の毛でわかるのは良いな。
3人とも爪の形の武器をつけていた。
俺は猫は大好きなのだが、初めて会う相手への態度ではなかった。
少し考え俺も強気に張り合ってみた。
「へぇ~珍しい二足歩行のネコか」
気づいてなかったのかバッと3人がこっちに振り向く。
ニヤリ顔が驚きに変わる。
「も、モンスターが喋ってるニャ!」
まぁ、そうなるかな?と思ったけど、予想通りそうなった。
3人は飛びのくように警戒し尻尾が膨らむ、やっぱりビックリしたら人型でも尻尾は膨らむのか。
「まぁそう警戒するなよ、別に喧嘩売ってるわけじゃないしな。」
3人が顔を見合わせ恐る恐るこちらを伺う
「んで、お前達はここに何しに来たの?」
「こ、ここらへんから煙が昇ってるのを見たって仲間に聞いて、村からその偵察に来たんニャ」
ふむ、なるほどな。
そりゃ自分の村の近くで煙が昇れば見に来るわな。
「あぁ、キノコを焼いたりしたからな。
んで、原因がわかったわけだがどうするんだ?」
「ワルモノだったらやっつけるつもりだったニャ」
「ふむ、なるほど、んで俺らはそのワルモノか?」
「もちろんモンスターだからワル」
ズバンッ!
触手を勢いよく伸ばしてハリネズミのようにピンと立て威嚇し言葉をさえぎる。
「ぴっ!」
と小さく鳴いて落ち着きかけた尻尾がさらに膨張する。
3人とも爪をこちらに向け臨戦態勢に入るが心なしか涙目だ。
もしかしてチョロイ?
ちょっと面白いけど、舐められるのもあれなんでもうちょい脅しをかけておくか。
「俺らワ・ル・モ・ノか?」
少しドスを聞かせて言ってみる。
「イヤ、アノ・・・」
なんか可愛そうだな。
もう限界っぽいしやめておくかな。
でも、俺を必要以上に怖がってないか?
モンスターだと何かあるのか?
「まぁ、本当にワルモノなら有無を言わさず攻撃してるよ」
そう言って触手を引っ込める
また3匹は顔を見合わせ少し警戒を緩める。
が、黙ったままこちらを伺っている。
どうしたもんだろうか、かなり警戒されてるなぁ・・・
それにしてもネコの村か・・・行きたいなぁ・・・
行けるように交渉してみようかな?
「とりあえず、飲み物でもどうですか?」
そんな一部ピリピリした雰囲気を壊すかのようにコウが声をかける
「わ、わかったニャ」
「あ、ネコさんて猫舌だから冷ましたほうがいいのかな?」
「熱すぎなければだいじょうぶニャ」
「わかりました、ちょっとそちらで待っててくださいね。」
そう言って洞の前の焚き木の周りに敷いた葉っぱ座布団へと誘う
俺は先に席につく。
といっても座布団の上に乗っかる感じだが。
ネコ達も葉っぱに座る。
と言っても葉っぱは2枚しかなかったので、白猫が葉っぱに座り残り2人は直座りだけどな。
「んで?お前達の事はなんて呼べばいい?」
「シラタマニャ」
「僕はブッチー」
「オレはルー」
シラタマて・・・日本の猫っぽいな。
それにブッチーって事は三毛猫じゃなくブチ猫だったのか?
ルーってのは無口っぽいけどいかにもアメショっぽいツンデレ感があるな。
そんな事を考えながら話を聞いていく。
なんでも、誰が偵察に行くかを村で話し合ったが決まらず、最終的にこの3人が自分達で立候補したらしい。
「ふむ、一通りの話はわかった。
んで、俺らをどうしたいんだ?」
木の椀で運ばれてきたお茶(と言っても色々なハーブとか香草を入れたお湯)をペロペロと必死に舐めるシラタマ達
こっちの話を聞かず、呼んでも返事しないほど必死に舐めている。
(ん?必死すぎないか?・・・まさか!)と思った時には遅かった。
「コウ!もしかしてあのキウイっぽい奴をハーブティーにしたか?」
「え?シラタマさん女の子っぽいから甘い方が良いと思ってそうしましたけど?」
「あ~~~やってもたなコレ・・・」
「え?」
「キウイってマタタビ科なんだよね。」
「え?・・・それじゃぁ・・・」
シラタマ達を見ると、そこにはさっきまで警戒していたネコ達のあられもない姿が・・・
シラタマは後ろにひっくり返りながらもお茶がなくなった椀を舐め続け、ブッチーはウットリしながら椀に頬ずりをしてる、ルーに至っては何も無い所で何かと戦っていた。
それから数十分後
「ご、ご迷惑をおかけしたニャ・・・まさかお酒が出てくるとは思わニャかったので・・・」
気を取り直した3人のネコ達は正座をしてうな垂れつつ謝ってくる。
ネコミミが垂れてて可愛い。
横を見るとコウも撫でたそうにウズウズしている。
「まぁいいよ。」
そう言いながら3人の頭に触手を伸ばして撫でる。
申し訳ないと思っているのか嫌がっては無さそうだな。
だが!俺に触れさせたことを後悔するがいい!
フフフッ俺は猫の弱点は把握しているのだ!
そして触手を耳の付け根や首裏などを重点的に撫でてやると気持ちよさそうな表情と共に触手にそこを擦り付ける
フッ・・・堕ちたな。
そして個々の弱い部分を探しそこを撫でながら
「俺らも君らの村に行きたいんだけどどうすればいい?」
そう聞くと、うにゅ~と呆けてたネコ達が一斉にビックリする
「そ、それはダメニャ!」
「なんで?(なでなで)」
「うにゅん・・・ハッ・・・だってモンスターは村に入れない規則だからニャ」
「俺らワルモノじゃないだろ?だったらいけるんじゃね?(なでなで)」
「で・・・でも・・・にゅふん♪」
「じゃぁさ、村の偉い人に聞いてみてくれよ?ワルモノじゃないモンスターが村へ入りたいと言ってると。(なでなで)」
「わ、わかったニャ・・・にゅわふ♪」
ちょろい。ちょろ過ぎる・・・
「じゃぁ返事が決まったら教えに来てよ。」
そう言って触手を離すとシラタマとブッチーは少し残念そうにして、ルーはそっぽを向いてたが目だけはチラ見していた。
「わかったニャ、また来るニャ、今度もまたお酒飲ませて欲しいニャ。」
「OKOK用意しておくよ。」
これで、サクッとネコ村に入れるようになればいいんだがなぁ~