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十五話  「達成・告白・帰還」

十五話と成ります。

今回で1部終了となります

その後も順調にダンジョン攻略は進む。タマランが先制攻撃を仕掛ければ、

リオンが怒涛の攻めに出る。アキラが追い槌を仕掛け、ロッテが威力を抑えた全体攻撃で締め、シャロルとフローラが取りこぼしを刈り取っていく。


「うん。中々にサマに成って来たな。後は問題の奴等だな」


リオンの言う問題の奴等こそ、アキラ達が目標としてきた魔物。

魔物には珍しいほどの数と戦略で冒険者達を手玉にしてきた相手だ。アキラ達の

戦法が、どこまで通用するか…。


「妾がセーブ等せず行なえば、造作も無い事よ。大船に乗った気で居るが良い」

「駄目ですよロッテ様。その油断が貴方様の尤も危ない所なのですから」

「な何を言う。フローラお主は一体妾の何処が危ないと申すのじゃ」

「え~気が緩むと足元が見えないトコで「シャロル!お主は少し言葉を慎め」」


2人のやり取りを見ながら、アキラが立ち止まり、徐に鼻血を流し始めた。

昨夜も風呂場でロッテは大恥を晒す。しかも今回はシャロルを巻き込んでの惨事

チキン野朗は最近寝るに寝れない光景が立て続けに目に焼き付くのであった。


「これ。アキラ!おおお主。いい今は攻略中ぞ!雅か、いい淫奔な事等考えて

 居らぬであろうな」


怒りと恥ずかしさが入り混じったロッテがアキラの尻目掛けて炎の矢を放つ。

当然アキラを含む皆の防具には耐火耐熱付与が在る為燃え盛る事は無いが、

お灸を据えた熱さは伝わり、彼は大きく飛び跳ねたのだ。


冷汗三斗しながらもダンジョンを突き進む一行はついに目的の5階フロアーに到着する。


「皆、気を引き締めよ。此処を越えれば一先ず成功だ。行くぞ」


アキラを含むロッテにシャロルとフローラは、何と言っても此処が初の

ダンジョン攻略。リオンと云う歴戦の指導の下、此処まで来るのに異常な速さで

駆け上ってきた。それは、彼等のポテンシャルが高いことは事実だが、

経験の浅さが命取りになる恐れがある。今一度気を引き締めあい問題の敵を探す


「おったぞ!奴等、下の階の騒ぎ等一切気にしておらん様子だな。…ひぃ・ふぅ

 みぃ…うむ。全部では無いが、約2/3は居る様だ。一気に叩いて残りも

殲滅するぞ。ロッテ殿派手に咬ましてくれ」


リオンが敵に気付かれる前に察知し、数を把握。一網打尽では無いが、戦力分散の今なら十二分に勝算ありとロッテに最大級の魔法を仕掛けさせた。


「ズドドドーン・シュシュシュー」

道中でのやり取りとここ数日の宇佐を晴らすかの様にロッテが最大級の土魔法と

風の魔法を放つ。

僅かばかりの勝利を重ねその上に胡坐を掻いた者共が、烏合の衆と化した今

ロッテが放った大岩に押しつぶされ、竜巻によって切り裂かれる。

透かさず、フローラが数本の矢を放った。ロッテの攻撃に辛くも難を逃れた者達へ容赦ない追い討ちを掛けたのだ。

30体程の残骸が積みあがる。赤みを帯びた肌、鋭い牙、体の割りに大きな頭

通常より2倍は大きい図体『ギガント・ゴブリン』それが50体もの群れを成す

敵の正体だった。


「なるほど、コイツラなら魔法も扱うし道具も使う。それが50体も居たならば

 3兄弟では立ち行き行かなんだのも頷ける。しかし…此処までの群れを作る

など聞いた事が無いな…」


リオンが残骸を調べつつ、過去の症例と比べている。シャロルが換金部位を集めている。フローラは一度に30体もの残骸を眼にして、不安になる


「もしも、この数でダンジョンから抜け町を襲ったら…怖いですね」

「ああ、確かにでも、その杞憂は無用だ。残りも俺達がきっちり片を付けるさ」

アキラとフローラが残骸を見ながら話をしていると、タマランが叫ぶ



「騒ぎを聞きつけ残りが来たニャ~。ヤバイニャ~敵は魔方陣が展開中ニャ~」


流石、盗賊。皆が大勝で気が緩んでいても、しっかりと聞き耳を立て警戒を

行なっていた。だが、数はまだ向うがはるかに上。タマランの察知より遠くの

位置から詠唱を掛ける手誰が居たらしい。


「俺が!「妾に任せよ!『水の障壁』」ガード!」

アキラと共にロッテが防御魔法を放つ。しかし人種の差が発動の差を生む。

チーム全体をアキラの『ガード』が物理障壁を作りその周囲にロッテの魔法障壁

が覆う。奇襲してきた残りの『ギガント・ゴブリン』達が放った火の魔法と

撃たれた矢は、2人の作った障壁で傷一つ負う事は無かった。

シャロルは鞭から吹き矢へといつの間にか持ち替え、2~3匹のギガント・

ゴブリンの喉元を攻める。タマランも負けずに投擲を5本放っていた。

敵の奇襲は奇襲と成らず、先手の己等が逆に倒される事に戸惑いを見せる。


「隙を与えるな。続け!」

普段、肉に溺れ、酒に飲まれ、陽の温かさに癒され続けるリオンが目を疑う

速さで先陣を切り突っ込む。長柄のハルバードが空を舞う。ゴブリンよりも2倍

は大きく骨太のギガントゴブリンもリオンの前では紙くず同然。一振りで3体

2振りで5体、3振りで3体と一気に半分近くの数を削る。


「これ!リオンよ其方が倒して何とする。ここは妾等の修羅場ぞ。少しは力を

 緩めよ。アキラの出番が無いでは無いか」


アレコレ言っても、最近のロッテはアキラを気に入っている。少しは彼の功績

を考えていたようだ。


「これ、アキラお主が気合を入れぬからワシがロッテ殿に叱られたでは無いか

 もっとスバッとそれでいてザバッとゾゾッと切り込め」

(いやアンタ、ザ行じゃ何言っているか意味判んね~ぇしぃ)

元々リオンとアキラでは戦うスタイルが違いすぎる得物も剣と長槍の差は有るが

そんな事は、ロッテとリオンには通用しない話だ。


それでも結局難無く残りも殲滅。結果から見ればアキラのPTには特に難しい

依頼ではなかった。敵に合った武具を揃え理に適った布陣を構え正しい戦術を

用いれば容易い事となったのだ。


ダンジョンを終え、冒険者ギルドに報告し全てを完了。予想より大目の依頼金を

受け取ってアキラの財布も安泰となった。

その後も訓練は続きアキラと娘達は場数を踏む。結果的にリオンが抜けても

安心して戦えるほどまで成長していく。そしてルルガンで2ヶ月の生活が終る。


「一旦トトスに戻るよ。婆にも途中経過報告しないとな」


「何アキラお主は此処を去るのか?」

「あ~出逢った頃に話したけど、俺の目的は強くなる事と嫁探しだ。で一応

 俺自身強くなってきたし、嫁候補の皆も出会ったし、一度国に帰って報告して

後は暫く向うで暮らして…それからかなコッチに戻ってくるのは」

「うむ。月日は如何程じゃ?」

「早くて半年?遅くて1年かな」


「…判った。でわ、皆も付いて行こうぞ!」

勝手に盛り上がるロッテと娘達。実はまだ、彼女達に自分が異世界の住人だとは

教えて居無い。どう切り出すか迷うアキラである。


「おっとその前に他の皆に知らせてくる」

そう言って娘達を残し挨拶回りに走り回る。ヴァシムに暫しの別れを告げ、

ストマック亭の2人にはお土産を頼まれ、パトリックには金の置物10体と

引き換えに『和牛』と『オージービーフ』を頼まれた。アデルとデリーは少し

涙ぐみれ寂しがるが、お土産もチャッカリおねだりされる。


リオンとタマランは、トトスの扉まで付いて来る。2人との契約はそこまでだ。

ギンザも一度話を付けないと行けない。そして3人に本当の事を告げる時が

やってくる。


「私はアキラ様の奴隷です。待てと言われれば、雨の日も、風吹く日も、日照り

 が続く日でも、ずっとお待ち申し上げます」

(フローラ君は可愛いね。でもそれじゃまるで、中堅ハチ公だよ)


「私も同じく奴隷の身ですから、フローラさんと共にお待ちしております」

(シャロルもいつの間にか、フローラに感化されたのね)


「なるほどの。これで合点が行ったぞ。そうかお主は異界の者か…うむ実に愉快

 気に入った!妾もお主の帰りを待とう。この後も面白き事が起こりそうじゃ」


ルルガンで得た資金をフローラに預ければ1年処か5年は遊んで暮らせる筈だ

ロッテの我侭さえ無ければだが、一抹の不安を抱えながら、一行は元の場所

トトスの町の近くの森へ帰って来た。


「これは…」

アキラとリオンにタマランが驚き慌てふためく。アキラがこの地を旅立つ時に

施したバリアと幻影魔法が解かれていたのだ。オマケに異界の扉まで

こじ開けられた形跡が見られた。時限魔法を解き、

大声で扉の向うに呼びかけるアキラ。


「ギンザ!婆~!。ギンザ!!」

「・・・」

「あにき…兄貴~!兄貴か~?」

「ギンザ!何が合った?婆はどうした??」

「魔人が!魔人が扉を越えてこっちに…アキさんが、アキさんが!」


予想もしていなかった事態に陥ったようだ。アキラは急いで帰る事にする。

リオンとタマランは向うの様子が判るまでこちら側で待つと言う。そして

娘達3人は…


「ご主人様のお国で惨事が起こったのなら、付いて参ります」

「私も!」

「魔人…ならば、妾が参らぬと話しに成るまい」

アキラは3人の言葉を聴きリオンを見る。そして彼はゆっくりと大きく頷いた


「おぬし達なら、難しい敵も越えられるであろう。後は任せよ!安心して行け」


予想もしなかった出来事に予想もしなかった帰還となった。それもアチラの事を

何も知らない3人を連れて…だが、この2ヶ月で培った信頼が彼を結ぶ。


フローラ・シャロル・ロッテの3人を引き連れてアキラは明として日本へ帰る事になる。剣と魔法が知らない世界で、この先どんな事が待ち受けるのだろう。


十五話  「達成・告白・帰還」  完

第一部完   

第二部 学園編

見出し:3人を連れ日本に帰る明。扉を通じて魔人が日本に訪れたが、既に逃走。

    後を追う明達。アキ婆の計略で娘達は女子学生に扮する。

学生を演じながら魔人を追う4人。新たな出会いと魔人との対決

無事、事件を乗り越え、再びルトビアに帰ってこれるのか

明の結婚相手は誰に決まるのか?



如何だったでしょうか、楽しんで頂けましたか?

感想・ご指摘 お待ちしております。

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