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序
何ということであろうか! わが十八世紀に吸血鬼が実存しているとは! 言うなれば、ロック、シャフツベリー、トランシャール、コリンズの時代の後、ダランベール、ディデロ、サン-ランベール、デュクロの同時代に、人びとは吸血鬼を信じているのである。
(ヴォルテール 『百科全集』)
鋳造師の美人妻アンナ・ジュードは、ベルリンの王宮に白夫人となって現われ、死を予告する。当時、白はなお喪の色だったのである。彼女が現われると、事情を知る者はだれしも、近々数日ちゅう、遅くとも数週間のうちに、だれかが特別な死にかたをすることを知った。 (シュライバー 『ドイツ怪異集』)