第七章 想いの呼応
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「あそこに…リゲルが居るのか」
倒れても倒れても立ち上がってくる敵を薙ぎ倒しながら、近づきつつあるヴァルド城を眺めて呟いたエナは、急に彼らが起き上がらなくなったことに首を傾げる。
そういえば、痛みも忘れるほど浴び続けた刃の雨も止んでいる。
いったい、どうしたというのだろう。
「――リゲル」
急に拓けた視界に、エナは歩みを緩めた。
なぜだか、右足がなかなか前に出ない。
覚悟は、決めてきたはずだ。
私は、彼を切ってでも止めると。
しかし、この体たらくは何だ?
これではまるで、私がまだ――。
「……」
一度、後方を振り返る。
そこには、自分の意思に同調してヴァルドから脱してきてくれた少数の一般兵と、セレス軍が自分にあてがってくれた部隊たちが、身を刻まれながらも必死で立ち上がろうとしている光景があった。
一時の将の私に、彼らは命を預けている。
それは何故だ?
――私が、誓ったからだ。
「私は、どこにも属さぬ。私は、私が守りたいものを、貫く。だから――…許せ、リゲル」
エナは拳を握りしめ、静まり返ったヴァルド城へと駆けた。
背後の部隊を意識することを忘れない。
隊列は保ったまま、何が起きても対処できるように。
焦りはしない。
今のこの部隊とともに往き、もしリゲルにたどり着いたなら。
その時は…
その時は。
「愛している…今も変わらず。なあ、お前も、そうだろう?」
誰にともなく囁いて、口元を引き締めた。




