第七章 想いの呼応
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「特務師団のみなさーん、聞こえてますかー、聞こえてますねー? アズロ師団長から伝令が来たので、今から俺が指揮します。と、いうわけで…」
そよぐ風に短髪を靡かせるイシオスは、正面に見えるアフィリメノス市街区域正門を指差し、叫ぶ。
「進め! 各々に任せる!!」
手に持っていた長剣を地面に捨て、懐に隠していた暗器を目に見えぬ速さで指の間に挟みつつ、前方に布陣する勢力目掛けて直線状に連投するイシオスの姿に、兵たちが驚いたのも束の間。
特務師団の人間は、各々の得意分野を隠し偽る者も多かった。
忠誠を誓うならば、実力の隠蔽は咎めないとした師団長の言葉に異論があったのも事実だが、急場では隠さず使えという規定がそれらの異論をカバーしている。
逆に言えば、こうした秘匿は、師団の秘策とも言える。
要するに、彼らにとって今の状況は想定内だった。
「わかりました、離脱します!」
地を足で軽く蹴り高所へと跳躍したイシオスを追うように、数名の兵が続く。
正攻法での騎兵攻めに対し、散開して上方から馬の足を狙う特務兵。
発動に時間を要する異能精鋭隊は後方の物陰に控えさせ、先手として軽度の異能技を駆使する中間部隊が前方へと氷の刃、風の刃を無数に放ち始めた。
広がる炎は避けろ、というのが、アズロからの伝令だった。
「今のところ、五分か」
イシオスは表情を変えぬまま、手元のクナイや毒針、小型の催涙弾を見比べる。
猛毒を塗布したナイフは、仕舞ったままだ。
(できるだけ生かせ、とは…。まったく困った命令ですよ、アズロ師団長)
重い鎧を脱ぎ捨てて軽装で動きを取りつつ、苦笑した。




