表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/91

第六章 明日の明日のまた明日

「………君は、そういう風にも笑うのか」


「…え?」


「いや、なんだ…その、今までは薄気味悪い…感情の見えない笑みしか見たことがなかったからな。君も…一応は、人間なのかと…」


訝しげに一歩だけ歩み寄った議員の背を見ながら、ジェイは静かに微笑んでいた。

少しだけ見守って、それから、片手を差し出す。


ジェイの利き手である、右手。

一国の王が、利き手を貸して臣下を立たせる…

その挙動が示す事実は、一目瞭然だった。

議員たちは、諦めたように軽く左右に首を振り、改めて敬礼する。


「…信頼しておられるのですな、そやつを」


「ああ。この者がいなければ、この国は建たなかっただろう」


「…と、申しますと…?」


「矛盾の理由は後で話そう。今は情報操作に専念してくれ。お前たちは民意の動きに明るいはずだ。だからこそ託せる。此度の進軍における民の不安を、できるだけ少なく留めてほしい。お前たちならば、民意を上手く回せるだろう? 期待している」


「王…」

「シグルズ様…」


感嘆の声で応えた彼らの様子を、遠くから見守っていたエナは、小さく囁いた。


「……貴殿のような王がもし、そばに居たなら…リゲルも……」


そして頭を振ると、再び指揮へと戻ったアズロに視線を向ける。


(今は―――ここだけに)


後退りした兵の中には、場に踏みとどまる者も多く。

城内から様子見をしていたのか、噂を聞きつけたのか、一般能力兵たちも一人また一人と、どこからか加わって。


セレス史上初の、一般能力者・異能者連合部隊が大陣を成し、遥かヴァルドを見据えていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ