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田舎と河童の鳴き声

ゴールデンウィーク1日目

私たちは水摸川へ行くために大きい荷物を持って駅のロビーで待ち合わせをしていた。

しかしみんな来るのが遅かった。

私は余裕をもって電車が来る20分前に着いたが15分経過……。

何でみんな来ないのかな~……。

するとやっと石沢先輩と藤崎先輩とあと一人が来た。

「千佳君おはよう。君は早いね~。君に紹介しなくちゃね。」

そう言って藤崎先輩の隣にいる人を前に出した。

あれ?この人ってもしかして……。

「久しぶりだね千佳ちゃん。元気だったかい?」

「ああ!やっぱり!淳先輩じゃないですか!」

皆さんは覚えてる?あの1話目で道でぶつかって私より本を優先した藤崎淳先輩だよ。

すると石沢先輩は「え?何?知ってたのか~」と驚いていた。

「いや~知ってたなら丁度良かった。淳君も一緒に来たいっていってたんだ」

「私はいいですけどどうして急に来たいっていったんですか?家の部とは何にも接点が無いような……」

石沢先輩は笑って「接点ならあるよ」と言って藤崎先輩の横に並べた。

「淳君眼鏡取ってみて」

そう言われて眼鏡を取ると藤崎先輩にそっくりだった。

「え!?藤崎先輩にそっくり!?あ!もしかして兄弟だったんですか!?」

「うんそうだよ。俺と勇矢は兄弟だよ。じゃあ改めて、藤崎淳です!よろしく!」

「こちらもよろしくお願いしますがふぇぶねぬう先輩!」

「ははは!懐かしいね!」

口を手で押さえながら笑っていた。

石沢先輩と藤崎先輩は首を傾げていた。

すると丁度良く福田先輩、みのり先輩、宇佐美先輩、香奈ちゃん達が一緒に来た。

「おい~っす!すまんすまん。宇佐美が朝食食ってないとかでファミレスで食わせてたら遅くなった」

福田先輩が宇佐美先輩を睨みながら。

「えへへ~。だって食べたいもの頼み過ぎちゃったんだもん」

言い訳する宇佐美先輩。

「私はちょっと家のガーデニングを朝6時からしていたら遅れました」

みのり先輩が笑いながら言う。

ちなみに今は8時30分を回ろうとしている所。

へ~朝6時からか~長いな~……えっ!?みのり先輩の庭どんだけ広いの……!?

「私はネットゲームを朝の3時からやっていたらこんな時間に……」

香奈ちゃんは「日が昇るのは早いな~」とつぶやいていた。

朝3時ってまっとうな人にとっては真夜中だと思うんですけど……

「よし!まずみんな揃ったから早く電車に乗ろう!」

そう言ってみんなで改札口へ急いで行った。

   ▼   ▼   ▼

電車に揺られる事30分……。

水摸川に一番近い駅に到着。

駅は木で作られておりぼろぼろで角にはくもの巣が張ってあった。

「うわぁ……こういうのテレビでしか見たとき無いからちょっとワクワクするかも」

私は少しうきうきしながら駅を出てみた。

すると一面田んぼと綺麗な緑色が目立つ古き良き時代を想像させるような景色になっていた。

「うわ~凄い!空気が澄んでる!」

宇佐美先輩が後ろから出てきて大きく深呼吸をした。

私もつられて大きく深呼吸をしてみる。

都会とはまた大きく違った自然の匂いがした。

「そろそろいいかい?」

「……!?」

驚いてとっさに後ろを振り返るとすぐそこには淳先輩が立っておりその後ろではみんなが荷物を持っていた。

「淳先輩ですか……驚かさないでください」

「いやぁだって放心状態みたいだったから大丈夫かな~って思って」

「私はただ空気が澄んでるな~って思っただけです」

淳先輩は「そうか」と笑ってみんなの元へ戻っていった。

「さて、私もみんなの元へ戻ろうかな」

   ▼   ▼   ▼

そのあとみんなであらかじめ予約をしていた旅館へ荷物を預けて水摸川へ向かった。

「それじゃあ!みんな!張り切って河童をさがそ~!」

宇佐美先輩がやたらと張り切っていた。

「お、お~」

「おお~!」

みんなはやる気の無い返事を返した。

しかし、元気な返事をした者が2名。

石沢先輩と淳先輩だった。

どうやら2人は本気で河童を捕まえようとしているらしく虫網やら水中ゴーグルやらイルカの浮き輪やら持ってきていた。

それじゃあまるで海水浴じゃん……。

「それじゃあ私たちも着替えましゅうか」

みのり先輩が急に着ていた服を脱ぎ始めた。

「お、おお~!」

野心おうせい男達が声を上げた。

しかしみのり先輩の真っ白な肌が見えた……訳ではなくて白いビキニが表れた。

「残念。あらかじめ下にビキニを着てきたの。これで思う存分遊べるわ」

この人は遊ぶ気MAXじゃん……。

「それじゃあ私も!」

そう言って宇佐美先輩も着ていた服を脱ぎ捨てる。

下はビキニではなくスクール水着だった。

胸のとこにはひらがなで『2-2うさみせら』と大きく書かれていた。

それと同時にどこからか浮き輪を錬金してきた。

これって特殊な趣味の人が見たら襲い掛かってくるんじゃ……ってかこの人が河童探そうって言ったのになんで浮き輪を錬金したんんだろう……ってか錬金って現実でも出来るんだね~。

そんなこんなで始まった河童探しの1時間後……。

みんなは川で泳いだり水遊びをしたりして自由気ままに遊んでいた。

最終的には宇佐美先輩ですら河童探しではなく川遊びに精を出していた。

ま、まあこうなることは大体予想は付いていたんだけどね……。

「あははは……」と乾いた笑いがついつい出てしまう。

そうして時間は過ぎて行き夕暮れ。

「おーい!そろそろ旅館に戻るぞ~」

みんなで荷物をまとめて川から立ち去った。

宇佐美先輩が夕日が写りこむ川を眺めながら言った。

「あれ?何か大切なことを忘れているような……?まあいっか!」

いや……貴方が言い出した一番忘れてはならない事を一言『まあいっか!』で済ませるな!

私はよほど突っ込もうかと思ったがギリギリ耐えた。

すると川から「バキューン」と銃声のような音が聞こえた。

私は後ろを振り返ると人間のような緑色をした何かが川に潜って行った……

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