ごめんねと避難訓練
家に帰るといつもの通り兄が真っ先に視界に写った。
「お帰り千佳!今日の夕方は楽しかったね」
お兄ちゃんめ……人の気持ちも知らずに言いやがって……。
「……」
私はイライラしていたのでどたどたと足音を立てて兄の横を無言で通り過ぎて居間へ入る。
「つれないなぁ……」
兄は寂しそうな顔をして呟き「はぁ……」とため息をついた。
私はさっさと夕食を食べ終え部屋へ入った。
すると机の上に紙が一枚置いてあった。
その紙切れにはただ一言書かれていた
『夕方はごめん』
私は心の中にあったイライラが治まるのを感じた。
なんだ……意外に気の利いた事出来るじゃない……。
私はパソコンの電源を入れた。
「ふぅ~」
廊下から兄の安心したようなため息が聞こえた気がした。
▼ ▼ ▼
次の日
今日は全校で避難訓練が行われるらしい。
教師達からは何時限目に行われるか教えられていない。
数学の教師曰く「いざという時にすばやく対応するため」だという事だそうな。
そうして向かえた4時限目。
急に放送が流れた。
「緊急事態!緊急事態!学校に不審者が侵入!学校に不審者が侵入!直ちに避難してください」
すると放送の後ろから小さく声が聞こえた。
「おい!今すぐ放送をやめろ!でないと命は無いぞ!」
え!?……これって避難訓練だよね?
教室のみんながざわめき始めた。
「これってまさか本当に?」
「いや、たぶんないでしょ……たぶん」
「ああ!神よ!私を助けたまえ」
最後に聞こえたのは神頼み?まあいいやとりあえず避難しなきゃね……どこに?
すると絵美が後ろから抱き付いてきた。
「わ、私たちもう終わりなのかな……ぶるぶる」
いや擬音語は声に出さなくても分かるから。
そして再び放送が流れた。
「それでは犯人が居るので静かに体育館に避難してください。」
あれこの声ってさっき教師を脅してた犯人の声のような……しかもあんたが犯人だろ。
先ほどの指示でみんなは誰が犯人なのか分かったらしくざわめきが落ち着いた。
すると絵美が口を開いた。
「世の中には……ずいぶんと親切な犯人も居るみたいだね……もしかして学校が避難訓練のために雇ったのかな?ぶるぶる」
こりゃまた突っ込みどころが多すぎる質問ありがとうございまーす。
つーか周りの人は完全に分かってるよ犯人の正体は……絵美ちゃん本気で言ってるのかな~。
そう思いつつみんなで体育館に移動。
もちろんみんなは犯人の正体が分かったので騒ぎながら移動。
そうして私も体育館へ移動する。
「絵美ちゃん……いつまで抱きついてるの?」
すると半泣きになりながら顔を間近にして訴えてきた。
「だって犯人がこの学校の中に居るんだよ!怖いじゃん!」
顔近いって……私レズじゃないから近くても興奮なんてしないから。
それで、じゃあ一体みんなは何でこんなうるさくしてるのかな~。
それでみんなには教えるけど犯人役は数学教師の笹田先生だったよ。
多分もう二度と出てこないよ。
だって作者が授業場面を書くのはめんどくs……げふんげふん。
まあこうしていろいろ面倒な避難訓練の一日は無事?終了した……