楽しい部活?
玄関で靴を履き替え学校案内に書いてある地図を見ながら教室へと向かう。
1年A組は1階で通路の突き当たりの右の教室だった。
「これなら覚えやすくて良いわね」
そう思いながらも教室に入る。
教室の中には結構人がいてみんな新しい友達を作ろうと話しかけたりしている。
教室全体を軽く見た後黒板に目を向ける。
黒板には席割が書いてあり私は窓際の列の真ん中あたりだった。
とりあえず書かれていた席に座り一息を付いた。
するとそこら辺で喋っていた女の子が話しかけてきた。
「あなたどこの中学校から来たの?」
その子はショートカットの茶色の髪の毛に整った顔立ちをしていて背は160cm位でなんとなく明るい子という印象を受ける。
「私は三川中から」
すると彼女は「ふ~ん……」と言って胸の前で腕組をして何かを考え出した。
「あなた結構頭良いね」
「な、何で?」
「だってあそこからここに来るなんて結構大変じゃない?」
「ま、まあここに来るのが憧れだったから頑張っただけだよ」
するとその子は微笑んで「そう大変だったんだね」と言って自己紹介をした。
「私は葉雅絵美って言うんだ!ちなみに出身校は南下中学校だよ!ついでに明るいだけがとりえで勉強はほとんど出来ないよ!」
そう言って自慢げに胸を張った。
「いや何の自慢にもなってないから」
なんか反射的に突っ込んでしまった。
なんか最近ツッコミ役になってる気が……。
とりあえず自己紹介をしておく。
「私は瀧巾千佳。別に私も勉強が出来るわけじゃないから。ただ頑張るところは頑張れる性格だからここに入れただけ」
すると絵美は何かに性格に関心したのか言った。
「ふ~ん凄いね!」
「性格が?」
「ううんツッコミが」
「そっちね……」
「あなた……さては長きにわたり修行してきましたな……」
あなたはどこの老人という設定になってるんですかね?
私は内心で突っ込みながらも苦笑いしながら「別に修行なんてしてないし」と返した。
「とりあえずこれからよろしくね千佳ちゃん」
微笑んで手を出してきたから「こちらこそよろしくね絵美ちゃん」と言って握手をした。
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それから少しして教室に先生が入ってきてざっとこれからの予定を伝えた。
その後自己紹介をしてなんだかんだやって1日目が終わった。
私が帰ろうかなと思いバックに物を入れていると横から絵美が話しかけてきた。
「ねえねえ~千佳ちゃん部活何に入るか決めた?決めてないなら今から部活見学に行かない?」
「絵美ちゃん他の友達は誘ったの?」
「え、ま、まあ誘ったんだけど入る部活決まってたらしく断られちゃった」
「ふ~ん、まあいいよ。どうせ入る部活決めてなかったし」
そう言うと絵美は笑って飛び跳ねた。
「ありがと~!それじゃあ早速行こう!」
そう言って思いっきり腕を引っ張られて教室を後にした。
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30分位で色々な部活を見てきた。
陸上部、テニス部、水泳部、弓道部、書道部、美術部、演劇部どれもいまいちピンと来るものが無かった。
「絵美ちゃんは何に入ろうか決まった?」
すると絵美は「はぁ……」と重いため息をついた。
「だめ……どれもいまいちだった……」
「私も同じだよ。私は帰宅部で良いかな」
「帰宅部でいいの!?青春だな~って思える部活探そうよ!」
「まあ探すとしても今日はもう帰ろうよ。あっ!教室にかばん置いてきちゃった!それじゃあね絵美ちゃん」
私は校舎に入っていった。
教室に行こうと廊下を歩いていると1-Cからにぎやかな話し声が聞こえた。
戸が少し開いていたので何かな~と思って中を覗こうとしたら勢い良く戸が開いて中から眼鏡をかけた男が出てきた。
「入部ありがと~!君が新入部員の一人目だよ!」
「えっ!?」
「さあ入って!みんな居るから自己紹介からしてね」
無理やり背中を押されて教室の中へ入れられた。
教室の中には大小さまざまな6人が居た。
「みんな~喜んで新入部員がきたよ~しかも女の子~」
「ち、ちょっと待ってください!私この部活に入部するなんて一言も言ってません。そもそもこの部活は何なんですか!?」
「部活探し部って部活。まあ良いじゃないか他の部活なんてつまらないしここなら好きなことを好きなだけやれる部活だからいい部活だよ~。ってことで入部決定!」
「え、えええ~!」
こうして私は良く分からない部活探し部に無理やり入部する事になった……