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第5話 処分命令

朝だった。


空は、昨日と同じ色をしている。

それが、ひどく残酷に思えた。


ミオは、焚き火の跡を片づけていた。


「今日、どこへ行くんですか?」


いつも通りの声。

何も知らない声。


アルドは、しばらく黙っていた。


「……話がある」


「はい」


彼女は、素直に頷いた。


その仕草ひとつで、

胸の奥が軋む。



「君は」


アルドは、視線を逸らしたまま言った。


「……処分対象だ」


風が、止んだ。


「世界管理局より、正式命令が下りた」


ミオは、しばらく言葉を探してから、

小さく笑った。


「やっぱり、そうですよね」


その反応が、

彼の胸を、さらに締めつける。


「……怖くないのか」


「怖いです」


即答だった。


「でも……

アルドさんが、言ってくれるなら」


彼女は、彼を見た。


まっすぐに。


「ちゃんと、聞けます」


その優しさが、

彼を追い詰める。



「……逃げろ」


思わず、口をついて出た。


ミオが目を見開く。


「今すぐ、俺の視界から消えろ」


「え……?」


「俺が、執行官でいられるうちに」


拳が、震えている。


「そうすれば……

まだ、間に合う」


ミオは、ゆっくり首を振った。


「それは……

アルドさんが、ひとりになる選択です」


沈黙。


彼女は、一歩、近づいた。


「私は……

消えるの、慣れてます」


その言葉が、

彼の心を、壊した。



「……やめろ」


声が、掠れる。


「そんな顔で言うな」


アルドは、

彼女の手首を掴んだ。


強くはない。

けれど、離せない。


「……君を消すなんて」


初めて、はっきり言葉にする。


「俺には、できない」


ミオは、少しだけ笑った。


「じゃあ……

一緒に、間違えましょう」


その瞬間。



【警告】

執行官アルド

命令違反を確認



世界が、音を立てて歪んだ。


それでも。


アルドは、彼女の手を離さなかった。




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