第一話 始まりの終わり
登場人物
主人公 神村攷
厨二病なヒロイン 誓野明
まともなヒロイン 西宮朋子
バカな親友 近藤テツ(こんどうてつ)
初めて書いた作品なので、誤字や脱字等々あると思いますが、見つけた場合は是非教えていただけると嬉しいです。把握次第、修正致しますので。
第一話 始まりの終わり
私立神村高等学校一年B組教室
(あぁ…いつも通りうるせえな…)
二時間目が終わった休憩時間。皆の眠気も覚めてきたのか、朝とは比べ物にならない程、教室はうるさい。
効きすぎな冷房もあってか、女子たちのキンキン声が俺の耳をグサグサと突き刺してくる。
「ねえねえ、その喋り方っていつまで続けるの?」
「ふっ、そうだな。死ぬまで、かもしれんな……。」
「ってことは、おばあちゃんになっても、厨二病ってコト!?」
「何それ!ウケるwww」
「旦那に貴様とか言って、怒らせてそうwww」
「さっ!さすがにそんなことはしない!」
「えー!絶対するって!!!」
(キンキンうるせえな……)
どんどん、俺の中に-が溜まっているている気がする。
この世界では、-が溜まることは必然だ。プラスが追加されることは無い。
え?急に何かって?どうせ分からんだろ。
「……あぁ、一人で何を言ってるんだ俺は。」
どうやら、溜まっていたのは疲れらしい。
俺はひとつ大きなため息をついて、うつ伏せになった。これが、俺のベーシックスタイルだ。
「……おい、大丈夫か?体調悪いのか?」
「テツ。いや、ちょっと疲れててな。」
今声をかけてきたのはテツ。図体がデカいことと、圧倒的なフィジカルが持ち味のバカだ。
ただ、バカなりの努力をすることが出来る男なので、俺の居るここ神村高校(偏差値68)に補欠合格することができた。
「どしたん。話聞こか?」
「……じゃあ話してあげようかな。」
「え?俺が聞いてやるんじゃないの?話してあげるって何?」
「俺が独自に考えた理論を話してやろう。」
「おい待てよ。ちょっと気になるのやめてくれよ。」
こいつはバカなりに、色々な知識を吸収しようと努力することができる。どれだけくだらなさそうな話でも興味を持って聞いてくれる。俺が話をするにはもってこいの親友……?だ。
それ以前に、警戒心をオフにして喋れるのはこいつくらいなものだから、話せる相手がこいつしか居ない。
「俺が考えたのは、『世界行動の法則』だ。」
「何それ知らない。」
「当たり前だ。誰にも言ってなかったからな。」
「俺1コメ?やったぜ。」
1コメって何だよ。初めて聞くことを1コメって言う奴、現実世界で初めて見たわ。
「簡単に教えてくれ。」
「この法則は、簡単に言うとだな……」
「何をやっても、いいことは起こらない。ってことだな。」
「ど、どういうことだ?」
「例を出した方が早いだろうな。もし俺が、定期テストで満点をとったら、何が起こる思う?」
「いつも通りじゃねえか。」
「あー。じゃあテツがとったらどうなる?何が起こる?」
「何が起こる?って言われても…褒められるとかしか、出てこないぞ。」
「まあ普通そうだろうな。」
テツは何が起こるのかを必死に考えているようで、表情は真剣だ。どんな話であっても親身に聞けるのは、一種の才能だな。
「褒められるといっても、親からとクラスメイトからでは、起こることは全く違う。」
「親なら、うまい飯か何かを食べられるかもな。」
「ちょっと俺今からテスト勉強するわ。」
「待て待て。」
「…でもちょっと待てよ?うまい飯が食えるって、いい事じゃないか?いい事起こってるじゃあないか!」
「いや、クラスメイトについて考えるんだ。学年……と言った方がいいかもしれない。」
ここからが、この法則の面白いところだ。
この理論を考え付いた時には、俺も必死に粗探しをしたものだが、覆すことは出来なかった。
「素直に褒めてくれる、お前みたいに素直な奴も、中にはいるだろう。だが、そうじゃない奴もいる。」
「満点ということは、絶対に一位だということだ。学年の生徒全ての標的となり、敵となってしまう。嫉妬するアホも出てくるだろう。」
「ちなみに、ソースは俺な。」
「確かに、攷はよく嫉妬されているな。陰口をよく聞く。」
「え?まじで?」
俺が陰口を言われたりすることは、この法則的には正しいことなのだが……
やはり、理屈には嫌でも感情が立ちはだかってくるものだな。
「……まあ、事実が確認できたと考えよう。満点をとるような十があったなら、それに見合う一が必ず存在している。」
「なるほど!何となくだが分かったぞ!」
分かったのかよ。まあ、ニュアンスを理解して貰えればいい。
「だが、もう少し先があるんだ。」
「何をやってもマイナスになる。が、そのマイナスにも振れ幅があるんだ。」
「どういうことだ?」
「限りなくプラスマイナスゼロに近いものもあれば、マイナスがでかいものもある。」
「さっきの満点は、手に入れる名声とかも考えると、プラマイゼロに近いタイプだな。」
「簡単に言えば、頑張ればプラマイゼロに近くなれるんだ。」
「どうしても、プラスにはならないのか?」
「ならないな。」
確実にならない。エネルギー保存の法則は、エネルギーは増えも減りもしないという法則だが、俺たちが利用しにくい摩擦や熱に変換されてしまっている時点で、もうマイナスみたいなものなんだ。
「でも、俺たちは毎日ハッピーに暮らせているぞ!もしそれが真実なら、何もしなくなってしまう人がもっと多いはずだ!それに気が付くのは攷だけではないはずだからな!」
「そこが生物がよく出来ている点だ。そのマイナスを補うものをしっかりと作っているんだ。」
「なんだと思う?」
「全く分からない!!!」
「ねえねえ!何の話してるの?」
「急に話しかけてくんな。」
「酷くない!?」
西宮が、急に会話へ乱入してきた。
「なんで来たんだよ。」
「何か面白そうな話してるから。」
「悪いが、1ミリも面白くないぞ。」
現実を突きつけてるだけのクソみたいな会話だ。西宮のような、夢いっぱいな陽キャ女子には全く向いていない。
「どんな話してたの?」
「どんな話か。えーと──────────」
仕方が無いので、詳細を話して、西宮には絶望してもらおう。
西宮は、この学年で一二を争うほどモテている超絶美人だ。黒髪ロングストレート好きの男子たちに大人気。性格も良いので、男女共に人気がある。
そんなハイスペックな女と、俺は何故か友達になれてしまっている。俺は頭がクルクル回るだけの、地味な男だというのに。
「めちゃくちゃ面白いじゃん。早く続き聞きたいんだけど!」
だめでした。俺の想像よりも、西宮は知的好奇心にあふれているようだった。
「あー。じゃあさっさと補ってるのは何か考えてみな。」
「俺は全く思いつかなかったから、頼むぞ!」
「西宮に説明してる時間あったのに……」
テツがバカをやっている間にも、西宮は割と真剣な表情で熟考している。
西宮は割とバカっぽいし、成績もいい方では無いのだが、底知れない知性を感じる。地頭が良いというのか、喋っている時に分かる、あの頭いいやつ感が、この学校の中でも特に強い。
「……快感とか?」
「キッショ、なんで分かるんだよ。」
「えー!やったあ!」
西宮は満面の笑みをあふれさせ、無邪気に喜んでいる。その姿から知性は全く感じられない。
「生物は、マイナスの部分を快感で補っているんだ。面倒なことほど、快感を多く得るんだ。」
「覚○剤とかも?」
「ちげえよ。」
「……いや待て、そうでもないかもな。」
快感は、マイナスの権化と言ってもいい。快感がでかいほど、マイナスも大きい。
「……そうでもあるわ。あいつは快楽物質の構造を模しただけだし、快感がデカいだけだ。」
「じゃあ、覚○剤はプラスってことか!!!!!」
「テツ、危ない考えになるなよ。快感は、表面上マイナスを補っているように感じさせてるだけのもの。偽物のプラスだ。」
「覚○剤はマイナスしかない、最悪なもののひとつだ。」
「マイナスしかないもの……さっき言ってたやつか!」
「そうだ。個人的な目標として、出てくるマイナスを減らすってのをしてるんだがな、その過程であぶり出した、最もマイナスが大きいものの一つだ。」
他にも、マイナスしかない物は多い。殺人とか、犯罪は基本マイナスだし、言いたくないが、アニメや漫画もマイナスは多い。音楽とかもそう。
ただ、娯楽は人間的に必要なものだから、とやかく言わないようにしている。
「他にはどんなのがあるの?マイナスしかないやつってのはさ。」
「…そうだな。厨二病とかは最悪だな。無駄に長いし大きくするし、現実性が無く、何より痛い。」
「あー。」
西宮は、やっちゃったな感ある顔でこちらを見つめている。
え?俺何かやっちゃいました?
なんて、バカみたいなセリフが頭によぎった瞬間に、自分でも気が付いた。
「今……不届き者の声が聞こえたのでな……」
「帰れ。」
「厨二病をバカにした罰!その身をズタボロにきざんでくれる!!!」
「刃物無いだろ。」
「手刀でいける。」
「恐ろしく速くないと無理だな。」
この地獄耳な厨二病の名前は明。
一応幼なじみだが、幼稚園の頃からこれな、成長が早いのか遅いのかよく分からない奴だ。胸部の成長だけは、間違いなく遅いと言える。
「まな板は、研いでも刀にはならないしな。」
「貴様。地雷って分かるか?」
「ああわかるさ。」
「地雷とは、
1地中に埋めておき、人や戦車などがそれを踏むと爆発する仕組みの爆弾。地雷火。
2 俗に、そのことに触れると人を怒らせる事柄。「彼女の地雷を踏む」
3 見た目では容易にわからないが、実際に触れたり関わったりすると厄介な人や物事をたとえていう語。
のことだろ?」
「コピペやめろや。」
「いやいや、意味を聞かれたらインターネットで調べるのは常識だろ。」
「そういう所だ!我の逆鱗に触れた上に、……覚悟はできているな?」
「なんのだよ。」
「論破される覚悟だ。」
「そっち?」
物理じゃないのか。
明は、一応学年二位の成績の持ち主だ。ワンチャン論破されるかもしれないが……
「どうせ、厨二病はマイナスの権化とか言われたことへの反発だろ?無理無理、諦めな。」
「違う。貴様のそのクソみたいな『世界行動の法則』とやらを破壊しに来た!」
「どこから聞いてたそれ!?」
明は、先程まではキンキン声を響かせている女ども。……女子達と会話していたはずだが、一体どの耳を使って、俺の声を聞いていたんだ?
「全てがマイナスになる?ふざけているのか。我に屈して跪くがいいわ。その世界行動の法則とやらを、我が直々に叩き壊してくれるわ!!!」
「長い。二文字で。」
「しね。」
「今のをまとめるとそうなるの!?」
「残念。句読点は国語だと一文字カウント。三文字になっている。惜しかったな。」
「そっ…そんなことはどうでもいいのだ!今の間で、その法則を破壊できるシチュエーションを思い付いたぞ!聞くが良い!」
そうか。まあ、聞くだけ聞いてやるか。
「もし、道に使用可能な状態の一万円札が落ちていたらどうだ!!!」
「確かに!これは流石の攷でも、きついんじゃ!?」
舐めるなよ西宮。この法則は、そう簡単に崩れたりしない。
「まず、拾ため為にエネルギーと時間が必要になる。だが、そんなものは、一万円に比べれば些細なことだろう。」
「論破きたか!?」
「やったか!?」
「あっテツ?それは…」
「残念。論破できてねえよ。」
しっかりと、マイナスになってしまうんだよ。
「その一万円は、道に落ちていたんだろ?」
「そうだ!」
「なら、一万円札を落とした人が確実に居るはずだ。その人に、もう一万円分のマイナスが掛かってるんだよ。」
「……!!」
「つまりその時点でプラマイゼロ。そこから、動きの小さなエネルギーや時間が引かれていくと…」
「結局、マイナスになるんだな。まあほぼプラマイゼロだし、自分だけで考えたらプラスだがな。」
「なっ…ならプラスなのでは!?」
「暴論言うな。そもそも、刑法第254条の遺失物横領罪で犯罪だ。道にお金が落ちてたら無視するか、交番に届けるんだな。」
まあ、実際道に一万円が落ちてるなんて、そうそう無いシチュエーションだ。明はあの短時間で、よく思い付いたな。
「貴様は拾わないのか!?道に落ちている一万円札を!?」
「拾う。」
「えっ?」
「個人的に考えれば利益だからな。落ちていたのが一円玉でも迷い無く拾う。」
「うわぁ……道に落ちてる一円を拾う貴様を想像するだけで、吐き気がしてくるな……」
「勝手に吐いとけ。」
しかし、確かに自分で想像してもかなり気持ち悪い。
「……あっヤバ!?三時間目って、理科の移動教室だよね!?」
「あ」
まずい。バカみたいな話に真剣になっていたせいで、実験に遅刻してしまいそうだ。西宮が気が付いてくれてよかった。
「私準備終わってるから、先いくね?」
「ふっ……我も既に準備済みだ。まさか、貴様が準備をしていない訳あるまいな?」
「……」
教室には、既に俺達四人しか残っていない。
「俺も終わってない……」
「知ってた。」
「男子って、本当にバカみたい。」
「言ってろ。」
西宮達には『行ってろ』に聞こえたようで、さっさと教室を出ていってしまった。
「……俺達も、急いで行くぞ。」
「おう!」
理科室へ移動するには、渡り廊下を渡って、隣の校舎に行かなくてはならない。家庭科室や美術室は、全て隣の校舎にある。
そして、今は七月中盤。地球温暖化のせいで、今日は絶賛猛暑日だ。しかも、渡り廊下には、開けられないタイプの窓がぎっしりと詰められていて、直射日光がギンギンに差し込んでくる。
「あぁ……暑い……」
「マジで、この廊下設計した奴頭おかしいだろ……」
クーラーの無い体育館並の暑さに、俺とテツの脳が死にかけていたその時、全校放送が、俺の脳味噌を冷した。
「臨時でお知らせ致します。お客様がご来校されましたので、生徒、及び教員の皆様は、速やかに準備を開始してください。」
お客様がご来校?
「繰り返します。お客様がご来……いやっ!?」
プツンと、マイクが乱暴に切られる音がして、放送は止まった。
「お客様って誰だろうな……?」
「とことんバカだなテツ!!!」
俺は神村攷。この学校の理事長をしている、クソ親父の息子だ。校内放送の隠語は全て頭に叩き込まれている。
「お客様じゃない、不審者様のご来校だ。」
「ふ、不審者!?」
「あぁ。しかも『臨時で』だ。もう既に校舎内に侵入してる。急いで身を隠す。理科室に行く途中に、見えにくいトイレがある。そこに行くぞ!!!」
「お、おう!」
不審者の目的は不明だが、理事長の息子という立場上、俺は殺されるか、誘拐される可能性が高い。出来る限り身を隠すのが最適だろう。
幸い、トイレはすぐそこだったので、急いで逃げ込む事に成功した。
(さて、ここからどうするか……)
窓からチラリと校庭を覗くと、生徒たちが続々と集められている。不審者は、この小さな窓から見えるだけでも二十人はいるな。
「すげぇ……ゲームみたいな武器持ってる……」
「本物だがな。」
不審者は、全員銃を持っている。人によって、持っている銃の種類が違う。
それに、防具までガチガチだ。ただの学校に攻め込む為にここまでするか?まるで戦争でもするかのような、いかつい装備だ。まだ警察の気配は無い。
校庭を走り回っている奴もいるな。もしかして、誰かを探してたりするのか?
三、四人いない所で、そうそう気が付かないとは思うが……
(見つかったら、かなりやばいだろうな。)
一応個室にこもりつつ、息を殺して潜伏していると、急に声が聞こえてきた。
「そこにいるの、誰?」
女の声。溢れ出る恐怖心を何とか抑えて、冷静になった。
この声は、西宮の声だ。
「……俺だ。」
ここで反応すべきかどうかは分からない。
一か八かの賭けだ。
「やっぱそう。ここら辺に隠れるのは、攷ぐらいしか居ないもんね。」
段々と、気配が近付いてくるのが分かる。
声がするまで気が付かなかったのに、存在を知るとどうしても気になってしまう。
その気配はすぐ近くまで来て、個室のドアを開けた。
「鍵かけてないんだ。」
「鍵掛かってたら、中に誰か居るって速攻で分かるだろ。」
「それもそうか。」
目の前には、少し前に見た美人の顔。無邪気さは消えて、真剣な空気に包まれている。
「……明はどうした。」
「男子トイレに入りたくないらしいから、女子トイレにいるよ?」
あのバカ野郎。こんな時に何をほざいているんだ…
「……今すぐに連れて来てくれ。」
「あいよ。」
西宮は一言だけ返事を返すと、明を引っ張り出してきた。
明はびくびくと何かに怯えている。
「どうした。」
「朋子が…… 」
「どうしたんだよ。」
「私、とりあえず理科室に行ったんだけど誰も居なくて、理科準備室から硫酸とって、入ってきた一人をやったんだよね。」
「は?」
「正当防衛だから。」
「それくらい分かってる。」
雰囲気が暗くなって、テツすら発言しなくなったその時。
コツ……コツ……
固めの足音が、俺達の鼓膜を揺らした。
(土足で上がりこみやがって…)
足音は段々と大きくなってくる。歩きながら、残った生徒が居ないか探しているのか…?
「どうする、出る?」
「いや……」
潜伏するしかないだろ……
「銃を奪えたら、ワンチャンあるとも思うんだけどね。」
確かに。銃を手に入れることが出来れば、確実に生存確率は跳ね上がるだろう。
どうする、賭けに出るか?このままトイレに篭っていても、バレて殺されそうだしな……
「……出るぞ」
「了解」
「モップはあるぞ……?」
「俺は身軽な方がいい。持ちたいなら持ってろ。」
出るとは言っても、どうやって……
「私が一番に出る。」
「正気か!?」
「正気。」
「……分かった。頼む。」
俺達はトイレの出口にスタンバイ。土足が床を弾く音は、もうすぐそこだ。
「……いくよ。」
西宮が、風を起こすほど速いスピードで飛び出した。驚きつつも、それにテツ、俺、明がつづく。
まずは、不審者の持っている銃の種類を見る。あれは……
「……サブマシンガンじゃねえか!!!」
逃げろと口が動く前に、銃声が鳴り響く。
集中砲火を受けているのは、先頭で飛び出した西宮。もちろん流れ弾が、後ろにいる俺たちにも飛んでくる。
「ぐふっ!!!」
「テツ!!!」
「いてぇ……血が止まらん……」
「……だが!!!俺はフィジカルとデカいことが取り柄の男!!!」
「……盾にするには、便利な身体だろ?」
「……くそっ!」
自分を盾にして、逃げて欲しいなら、そう言いやがれバカ野郎。不器用過ぎなんだよ、くそが…!
俺と明は、後ろを向いて、一目散に走り出した。
鳴り響く銃声を、背中に感じながら。
主人公が一話目にしてやられてしまいました。つまり……