新しい所有者のシンだ
またまた新キャラです!
「名は?」
「良く訊け! オレ様の名は、赤鱗竜討伐者のAランク冒険者の『ラガー』様だ!」
「……それで?」
……この喜劇以下のステージから俺は降りても良いか?
「……低劣な」
アリアは辛辣だな。
「……ぷっ」
「なっ!? 何が可笑しい!」
この喜劇以下のステージで主役をしているバカの宣言を聞いて、周りは笑い出した。
まあ、当然だな。
確かに、赤鱗竜を討伐した、という意味なら同じだが、文字通りに「格」が違う。
向こうは1匹で、こちらは同時に複数を討伐している。
同時である以上は、その難易度が「足し算」ではなく、それは「掛け算」や「二乗・三乗」以上になる。
ゴブリン1匹なら楽勝の新米冒険者も、ゴブリン5匹とは同時に戦えない。
……そういう事だ。
「け、決闘だー!」
「……意味を分かっているのか? 模擬戦とは決定的に違うが、良いのか?」
「当たり前だ!」
「本当に良いんだな?」
「ああ!」
「……受付嬢」
「はい。決闘に関する説明を致します」
「要らん……」
「いいえ。この説明は、決闘する上での規約となります」
「チッ。早く始めろ」
「それでは……」
決闘に関する説明とは、模擬戦とは違い、何でも有りで、魔法は勿論の事、毒薬の使用も認められ、何よりも命を奪う事も認められている。
そして、どちらかが、命を失った場合は、命が失った側の全てが勝者に権利が移譲され、相手が誰であれ、命を奪った事に対して勝者を罰せられない。
……と、受付嬢は説明した。
「構わねえ。勝つのはオレ様だしな」
「本当によろしいのですね」
「おう!」
「では、この書類にサインを」
バカは魔法誓約書にサインし、俺もサインした。
「これで、決闘の準備が全て整いました
お二方も練武場へ移動してください」
「おう」
「分かった」
練武場に関係者や野次馬までが入って行く中で俺達に近付く者が4人いた。
「済みません、シンさん」
「リゼか。構わないよ」
「でも……」
「良いから。他の3人もな。これが終わったら近況報告をしてくれ」
「「「「はい!」」」」
リゼ達もリン達の方に移動すると、受付嬢が宣言を始めた。
「これより決闘が行われます!
この決闘で命が失われても勝者には一切の刑罪が発生しません!
そして、勝者は敗者が持つ全ての権利を手に入れる事になります!」
いつもの私刑や模擬戦とは違い野次馬も静かに聞いていた。
「それでは決闘を行います。両者、準備はよろしいですか?」
「おう」
「ああ」
「それでは決闘を開始します……始め!」
受付嬢が開始の宣言をした瞬間にバカは手に持つバスターソードを振り上げながら突進した。
「死ねー!」
「ふ……」
バカの真上から振り下ろすバスターソードの一撃をギリギリ左側に避け、そのまま一歩踏み込み右回し蹴りを打ち込む。
「ぎっ……」
「どうした?」
「このガキがぁ……」
普段の模擬戦なら、ある程度付き合うが、これは決闘だ。
「この……せい……がはぁ……」
バカの突きの一撃を斜め上に流し、バカの鳩尾に下から突き上げる形で右肘撃を打ち込み、一時的な呼吸困難になり隙が生まれた所を、左平突きで刀をバカの心臓に刺し貫く。
「が……」
ドサッ……
「……勝者シン!」
受付嬢の宣言で決闘は終了した。
「お疲れ様でした、シン様」
「お疲れ様です、シンさん」
「ありがとう、リンにリゼ」
勿論、この後、労りの言葉をアリア達やラナ達からも貰った。
そして、勝者の権利としてバカの装備品等は全て売却したのだが、1つ扱いに困るのがあった。
……あのバカ、奴隷を持ってやがった!
「シン様、どうされますか?」
売るにしろ、所有するにしろ、正式に俺が所有者にならないとダメな為に、ギルドは奴隷商を呼んだ。
そして、正式にバカが所有していた奴隷は、俺の奴隷となった。
勿論、所有者変更等の費用はバカから手に入れた金から払った。
呼んだ奴隷商には待ってて貰い、奴隷の希望を聞く事にした。
これは俺だから聞くが、現地人なら問答無用で売るか、宿屋に行ってベッドに直行だろうな。
……はい。綺麗な美少女です。
「新しい所有者のシンだ」
「よろしくお願いいたします、御主人様」
「これから質問するが、嘘偽り無く正直に答える事を命令する」
「畏まりました」
「それでは質問だが……」
質問の結果だが、出身地は南東の城塞都市「ベルガーダ」に属する寂れた村娘で、名前はサラで、母親が元冒険者で治癒の魔法が得意だった。
その血を継いだのか、サラも治癒魔法が使える様になったが、両親が事故で亡くなると、村長は謝礼金目当てで、サラを城塞都市「ベルガーダ」の神殿に売った。
しかし、サラとしても両親を喪ったのは悲しいが、1人で生きるのも難しい為、自分の意思で神殿に行く事を決心した。
神殿での生活は厳しかったが、周りには同じ様な境遇の少女達が居た為に辛くはなかった。
そして、一生懸命頑張った結果、次期聖女候補にまでになった。
因みに、この世界の「聖女」とは、「運命に導かれた者」とかではなく、「特化型治癒術士」を指す。
しかし、同じ次期聖女候補で、侯爵を親に持つ少女に対して毒殺を図ったという冤罪を掛けられ破門され奴隷に堕とされた。
その証拠にサラの胸には「破門」を意味する焼印がされている。
そして、あのバカに買われた、という訳だ。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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裏蛇○山からの零○牙突でした。




