1人で狩るのでありますか?
まさかの……
赤い竜の筈が青くなった赤鱗竜を見てリアンが言った。
「これで、シン兄達が、山登りをする必要が無くなったよ」
……とりあえず、頭を撫でて褒めておこう。
「良くやった、リアン」
「……えへへへ」
しかし、どうするか。
正直、俺達にとっては、赤鱗竜は敵じゃない。
だから、討伐する事は出来るが、これが犬なら耳を伏せ、尻尾を股の下に丸めて「キューン、キューン」と媚を売るかの様に、振る舞っている赤鱗竜を討伐する気になれん。
……リアンに頼もう。
俺はリアンに耳打ちをした。
「分かったよ、シン兄!
今直ぐに他の赤鱗竜が居る所に行って、お前が敵だと思っている赤鱗竜を全て連れて来い」
「GaAAAー!」
一声吼えると、青くなっていた赤鱗竜は、慌てて飛び立ち、3時間後に、13匹の赤鱗竜を連れて来た。
「お前は、僕の後ろに居ろ」
「GaAAAー!」
「準備が出来たよ、シン兄」
「ありがとうな、リアン」
「えへへへ」
褒めながらリアンの頭を撫でると、意識を13匹の赤鱗竜に向けながら呟く。
「……封印解除」
全てが解放された状態で、魔力を解放して殺気を13匹の赤鱗竜に放つと、金縛りに有ったかの様に動かなくなり、その隙を突き、全て首斬りにした。
……と、同時に「倉庫」に仕舞い、改めて1匹ずつ出して、赤鱗竜の血を別の空樽に入れていく。
「……封印閉錠」
13匹全ての血抜きが終わると、リン達が、シートを敷きピクニックが始まった。
これにはリアンも喜び、一時の楽しい時間を皆と過ごした。
楽しい食事の時間が終わり、帰ろうかと思っていたら、先程の赤鱗竜が正しく「トカゲ」だと思える気配を出すモンスターが近付いていた。
「これはまた、大物が釣れたみたいだな」
「そうみたいですね、シン様」
「どうするだ?」
「キサラ。勿論、狩るよ」
「1人で狩るのでありますか?」
「良いか?」
「「「「「「イエス、マイロード!」」」」」」
「ありがとう。封印解除」
「来たのじゃ!」
「アレは、真紅鱗竜王!?」
「リン、詳細は?」
「はい、シン様。あの竜は、赤鱗竜の上位種で、更に、あの額の角が、真紅鱗竜の最強である証です」
「なる程な」
因みに、リンの解説中に、魔法に因る捕縛が終了していた。
そして……
ザシュッ!
「ほい、終わり。封印閉錠」
「これが物語なら、身も蓋もない盛り上がりの無い展開ですね、シン様」
「仕方無いだろう。俺の方が圧倒的に強いのだからな」
まあ、封印を解放したからこその、盛り上がりの無い結果になったんだけどな。
流石に、なし崩しとはいえ、自分の領地を荒らす趣味は無いな。
これが、セラリア王女以外の領地なら、外野が手に汗握る熱いバトルをするけどな。
……この後、血を樽に入れると「倉庫」に仕舞った。
「シン様」
「どうした、リン」
「真紅鱗竜王をダンジョンに吸収させては如何でしょうか」
「……なる程な。良い提案だ、リン!」
「恐縮です、シン様」
要するにリンの提案とは、真紅鱗竜王をダンジョンに吸収させる事で、我がダンジョンにもダンモンとして出せる様にという提案だ。
因みに、利用目的でダンジョンに吸収させる場合は、体内に存在する「魔石」込みで、全体の6割以上を吸収すれば成立する。
まあ、冒険者ギルドに提出する分は赤鱗竜で充分だろう。
……充分どころじゃなかった!
あれから帰って冒険者ギルドに、6匹の赤鱗竜を提出すると、ギルド側が大騒ぎとなり、最終的には、竜族討伐者を通り越して赤鱗竜殲滅者という「二つ名」を授与された。
更に!
領地を赤鱗竜の群れから救ったという事で、伯爵位に叙せられた。
「赤鱗竜6匹の群れから、自身の領地を救った功績に因り伯爵位に叙す」
「謹んでお受けします」
勿論、周りの貴族共からの「赤鱗竜6匹の群れの討伐を1人で成し遂げたとは!」とか、「虚偽の報告を捏造したのでは?」とかを、好き放題に言っていたりする。
それと、赤鱗竜1匹を王家にも献上済みだ。
それと、最初の赤鱗竜は、リアンのペットとなりダンジョン内の活火山の階層も設置して、そこで暮らしている。
謁見の間での茶番劇が終わったかと思っていたら、メイドに案内された部屋に入ると、国王と宰相と、見覚えのある貴族令嬢9人が居た。
「国王陛下、これは……」
「シンファル伯爵よ。もう1人妻を娶る気はないか?」
「は?」
「此処に居る令嬢達は、お主との婚姻を願っておる」
……ああ、首輪か!
此処に居る令嬢達は、全員が、俺が公爵家令息の頃に付き合いが有った上位貴族の令嬢だ。
その令嬢を娶る事で、俺に首輪を付けたいのだろうな。
まあ、赤鱗竜6匹の群れの単独討伐は前代未聞らしいからな。
そんな武力を持つ存在を、この国に縛り付けたいのだろう。
因みに、この9人には婚約者が居ない。
理由は様々だが、外見が理由にはなっていない。
つまり、彼女達に対して「ブス」や「ブサイク」に「デブ」とは、口が裂けても言えない美貌を誇っている。
だから、婚約者が居ない理由は、借金を抱えているとか、親(父親)の溺愛とかがあるが、残りは俺も巻き込まれた「断罪ざまぁ!」で、婚約者を失った令嬢達だ。
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