勝者シンファル子爵!
自分の都合しか認めない奴。
この馬鹿は、今、何をしているのか分かっているのか?
俺は、クリストフ侯爵に視線を送ると、察してくれたみたいで動いてくれた。
「国王陛下、お耳汚しで申し訳ありません」
何時の間にか、国王や他の王族も来ていた。
まあ、関係者に帝国皇女がいるからと考えるのが妥当だろうな。
「うむ。余興として認めよう」
「やったぜ!」
「ただし! この決闘に於いての敗者の爵位は返上する事を命ずる」
「な!?」
ビセデル伯爵だけが、文句寄りの反応を返した。
それは当事者達は、決闘に勝つと思っているからだ。
まあ、実力が、正に天と地ほどの差があるがな。
「当然であろう。どれ程の理由が有ろうとも、我が王位認証記念日を血で汚すのだからな」
「宰相」
「では決闘ですが、明日の午後1時から開始とします。ですから、明日の正午までには当城するように。次に決闘の規則ですが、伝統に則り、武器や防具等、全て此方で用意します」
「え!?」
「ですので、お2人は何も用意する必要がありません」
「待ってくれ」
「何か?」
「……いえ、何も」
あの馬鹿、何かズルをする気だったみたいで、文句を言おうとしたら、宰相に睨まれて黙り込んだ。
……ざまぁ!
そして、翌日の午後1時までに後、20分に迫っていた。
場所は王城の騎士達が使う練武場で、観客席にはかなり見学者が集まっていた。
俺と馬鹿も宰相が用意した武器と防具を身に付けている。
まあ、俺が武器に「剣」を選ぶと、馬鹿は「槍」を選んでいた。
選んだ理由が、磨き上げた新品のガラス並みに透けてて笑えるな。
後、ソフィアもグーラもリング脇の特等席で俺を見ている。
因みに、俺から見て左端にソフィアで、その隣がグーラで、真ん中に何故か国王が、その隣が王太子で、その隣が、これまた何故かフローネ嬢が座っていた。
午後1時まで残り5分で、リング上に上がり、睨みあった。
「逃げなかった事だけは褒めてやる」
「逃げる必要など無いからな」
「そこまでの空威張は初めてだな」
「決闘が終れば平民か。頑張れよ」
「……殺す!」
残り1分になり、宰相が宣言を始めた。
「これより、国王陛下の御前で伝統に則った決闘を行う。勝敗を決するは、どちらかが負けを認めるか、どちらかが戦闘不能か意識を失うか、審判である私が勝負は決したと判断した場合とする。更に、言い訳は一切認めない。良いな?」
「楽勝だぜ」
「ああ」
「では、決闘を開始する。……始め!」
宰相が開始の宣言をした瞬間に、馬鹿は俺の顔面に目掛けて槍の突きを繰り出した。
「速い!」
「シンファル!」
……いや、遅いからなグーラ。
俺は、槍に貫かれたと錯覚する程の高速で頭だけをギリギリに躱す。
「殺った!」
「何処が?」
「貫いた筈だ!」
すると、リング脇に居た騎士団長が言った。
「いや、貫いていない。そう見える程にギリギリに躱しただけだ」
「そんなにギリギリに躱すしか余裕の無いのなら直ぐに終わらせてやる!」
いえ、余裕たっぷりだが。
「シッ! ハッ! セイ!」
「うむ。言うだけあって、それなりみたいだな」
国王の言葉に、更に調子に乗る馬鹿は、体力の配分を無視して攻撃を繰り出してきたから、この馬鹿の体力が有る内に潰さないとな。
「どうした! 逃げるだけか!」
「もう、終わらす」
「ほざけ! 終わるのはお前だ!」
更に激しくなった槍の攻撃を躱しながら接近して、かなり鋭利な殺気を飛ばして、馬鹿が萎縮した瞬間に、槍で防御したかの様に見える形で下から槍ごと、龍翔○で馬鹿を上空に飛ばして、追尾して追い抜いた所を龍槌○でリングに叩き付け、剣の切っ先を馬鹿の胸の前に当てる。
「勝者シンファル子爵!」
宰相の宣言を聞いて馬鹿が起き上がる。
「無効だ!」
「何故だ?」
「今のは油断していたからだ」
「そうか、油断か」
「そうだ! だからやり直しを請求する!」
誰の前で決闘したのか理解する頭が無い阿呆がキャンキャン吠えた。
「国王陛下、並びに宰相殿。そう言っていますが?」
「そこの犯罪者に『愚か者』の焼印を顔と胸と背中に烙印し、鉱山労働に直ぐに送れ」
「は!」
当然だな。
「何を言っているんだ! やり直しを請求しているんだぞ!」
「国王陛下のお言葉が聞こえなかったのか?」
「「「はっ!」」」
馬鹿のドップラー現象を聞きながら、俺は女神ソフィアと、序でにグーラからの抱擁を受けていた。
宰相が……
「コホン」
ソフィアとグーラは俺から離れ、姿勢を正す。
「素晴らしい決闘であった。褒めて遣わす」
「ありがたき御言葉」
「騎し……大義であった!」
こうして、茶番はおわった。
……アブねぇ!
国王の野郎、俺に「騎士団に入らないか?」と言いそうになりやがった!
昨日の夜の内に、ダンモンにお願いして、国王に脅迫を刺しておいて良かった。
因みに、ダンモンには、こう言って貰いました。
「シンファル子爵に、これ以上爵位以外を与えるな」
……ってな。
これを思い出した国王は、スカウトを止めた訳だ。
それに、ああ言えば、俺の敵対者がやったみたいに感じるだろ?
こうして、1日延びた面倒臭い式典が終了したのだった。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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