言質を取ったからな
学園編は、衝動的に入れました。
セラリア王女に聞いたら、実在する子爵家みたいで、爵位こそ「子爵」だが、建国時から仕えている伝統を持ち、信頼出来るみたいで、今回も快く承諾したみたいだ。
名目は、現当主の先代が手を出して辞職したメイドが妊娠していて、更に、そのメイドの成人した娘に息子がいる事が分かり、引き取る事となり、色々とあって、留学する流れとなった……が、筋書きとなる。
何か、ややこしいが、簡単に言えば、先代に孫が居た、という訳だ。
それが、俺って事になり、厄介払いが表向きの理由となって、俺が貴族的な知識や礼儀が無い事を誤魔化せるな。
「シン様。私は、旅行に一緒に行けるのが嬉しいです」
「シャナも嬉しいであります!」
……最大2人まで従者を連れても良いらしい。
通常は1ヶ月掛かる距離を、夜も走る事で10日後に帝国「マレソーヤ」の帝都に到着した俺達5人と1匹は、宿屋に馬車を預け、今日は旅の疲れを癒やして、明日の編入試験に望んだ。
一応補足すると、マレソーヤは確かに軍事国家だが、それに特化している訳じゃなく、武力を前面に出しているだけらしい。
要するに、この国は「ボクちんは強いだぞ。だから仲良くした方が良いんだぞ!」と言っている訳だ。
……だから、帝都の帝立学園は実力主義を提唱している。
翌日の9時前に帝立学園に到着した俺達は、編入試験を受けるのだが、審査員の1人がカスでクズだった。
「我が帝立学園も質が落ちたものだ。この様な下賤の者の編入を受け入れるのだから」
「ヤシーグ先生!」
「いや、事実でしょう?」
「他国とはいえ、建国時からの伝統を持つ家ですよ」
「しかしですねぇ……」
「不満なら、退室しますか?」
「滅相もない、学園長」
「それなら、平等に審査をお願いします」
……という会話を、俺達の前でするか、普通。
こんな感じで、不安な編入試験が始まった。
「これより編入試験を開始する!」
……3日後、帝立学園の講堂の壇上で自己紹介をする俺達が居た。
「俺は、厳粛な編入試験を受け、今日より皆さんと同じ生徒となったシンファル=メイズ=アールスバイドだ」
「シンファル様の従者のリンです」
「シンファル様の従者のシャナです」
壇上での挨拶だから、シャナの口調を今回だけは我慢して貰った。
「最後に、3年生の筆頭教師のヤシーグ先生からの言葉をお願いします」
挨拶が終わって壇上にある指定された椅子に座っている俺達を一瞬睨み、述べた。
「伝統と格式ある我が帝立学園は、混ざり物が増え、誇りを失いつつある。是非、各々が再度認識し、学業に勤しんで欲しい。以上だ」
ふ~ん、混ざり物、かぁ。
再度認識……ねぇ。
何処にでも居るんだなぁ。
自分の考えが、正道だと思い込んでいる間抜けな馬鹿って奴は。
このまま放置すれば、20数年後には牙が無い腑抜けた馬鹿が「政」と「武」の中央に居る事になるだろう。
それは、確実に「国」としての崩壊を招き入れる事になる。
回想
「最初の試験は『座学』からだ」
1時間後
「全員が満点です!」
「馬鹿な!? ……貴様ら、不正したな!」
「どうやって?」
そう。
この座学の試験は、審査員の眼の前で行われた。
因って、不正のしようがないのだ。
因みに試験内容は、算数だった。
「ぐぬぬぬ……」
「問題が無いようなので、次の試験をします。次の試験は物理戦闘力と魔法の試験となる為、移動します」
移動すると、練武場みたいな場所だ。
「先に物理戦闘力を試験します。この3人の中から1人選び模擬戦をして貰います」
「受験生リン、選びなさい」
此処で、俺はリンに念話で指示を出した。
今回の審査員の中で、1人だけ「審査員」らしからぬ空気を纏った奴が居るから、そいつに選ばせろ、と。
「では、審査員の貴方が選んでください」
「え、ボクかい?」
「はい」
「……分かった」
そして選ばれたのは、1番体格の良い奴だったが、模擬戦の中で腕力勝負以外の全ての要素で勝った。
同じ様に、シャナも楽勝で勝った。
そして、俺は……
「1人を選ぶなんて面倒臭いから、3人同時に相手してやるよ」
勿論、これには冷静だった他の審査員も声を荒げた。
「随分と傲慢な考えね」
「模擬戦だからと甘く捉えてないか?」
「構わん。死ななければ問題無い!」
模擬戦用の3人も心情が顔に出ていた。
「その高い鼻をへし折ってやる!」
「覚悟は出来ているな?」
「3ヶ月はベッドから起きられると思うな」
そして模擬戦を開始した。
「……しょ、勝者シンファル受験生」
「馬鹿な!?」
「服にすらキズが無いだと!」
「なんて事なの……」
「……」
「次」
俺がそう言うと、我に返った半分パニック状態だった審査員が言った。
「次は魔法の試験です」
「この試験では、標的である的を自分の最高の魔法で的の破壊を目指しなさい」
「それと周りの事は気にしなくて良いわよ。
結界を張ってあるし、的自体も、魔法耐性の高い素材を使っているから安心しなさい」
……的は5つ有るな。
結果は、リンもシャナも的を消滅させ、俺は周りの結界をも消滅させ、壁を破壊して学園長が趣味で育てていたと言う盆栽も消滅させた。
勿論、俺は先に言質を取っていた。
「確認だが、最高の魔法を放ち、破壊を目指せと言う以上は、その結果の被害に対して責任を問わないという事だな?」
「勿論です」
「そうです」
「出来るものならな」
「どうぞ」
全員が承諾した。
「言質を取ったからな」
そして、何故、そこに有ったかは分からないが、学園長の盆栽も消滅したのだった。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




