1年後の私達の成長に驚きなさいよ!
楽を選び易いのが人情だが……
ローリエル嬢が言った。
「それなら、1週間後に長期休暇が終わって王立学園での毎日が再開するのよ」
「そうか。 頑張れ」
「ありがとう……って、そうじゃなくて、従者として半年間雇いたいのよ!」
「……正気か?」
「そう返すシン様だから、大丈夫だと思って雇いたいと思っているの」
「理由は?」
「実はね……」
話の内容は、どうやら本来の従者……いや、侍女アシナは居たのだが、ローリエル嬢が暗殺され掛けて、ローリエル嬢を庇って侍女アシナが代わりに重傷を負い、凶器には毒が塗ってあって、暗殺者の襲撃から未だに意識すら回復していないらしい。
それに、このタイミングでの暗殺者からの襲撃で、ほぼ相手は特定出来たが、決め手になる証拠は無く、そんな状態で長期休暇が終わる。
親の保護が無い為に、学園内での安全が保障出来ない。
だから、今は侍女ではなく護衛が出来る強者が必要だったのだが、そこに、ちょっと前に颯爽と現れてモンスターを軽々と討伐して、昨日の雑談等からラーガリア伯爵から了解を貰った俺が現れた訳だ。
「俺には仲間が居るから、流石に直ぐには返事は出来ない」
「分かったわ。 でも、シン様の仲間には悪いけど、明日中には返事が欲しいの」
「……分かった」
受けても良いが、レイナ達はどう思うか考えながら俺は、ラーガリア伯爵邸を後にした。
レイナside
「どうしたの、レイナ」
「……」
「悩み事なら、聞くよ」
「ありがとう、セレスにメグ。 実は……」
適当な喫茶店に入って、レイナの話を聞いた。
内容は、このまま絶対的な強者であるシンの保護下に居て良いのだろうか……だった。
「確かに、シンは強いし金銭的にも余裕が有るわ」
「そうだね」
「それにやろうと思えば、3日以内に国王との会食も出来る伝手も有る」
「確かに」
「そんな人の保護下に入れば安泰だわ。
でも、それは『冒険者』とは言えない気がするの」
「それは……」
「分かっているわ。 私達はシンに救けられた。
その恩は返しきれていないわ」
「……そうね。 じゃあ、その恩を返す為に私達の
身体を……ってのも違うしね」
「……」
「メグは、どう思う?」
「私としては、正直に言えばシンの保護下に居たいと思っているわ」
「そうよね」
「でもね。 それと同じぐらいの気持ちで、レイナ達と冒険をしたいって気持ちも有るわ」
「それなら……」
「保護者シンの了解を取る必要が有るけど、言うだけなら問題無いわ」
「私も賛成よ」
「ありがとう、セレスにメグ」
シンside
アールスバイド大公邸に帰ると、レイナ達が待っていた。
「それで、大切な話が有るって何だ?」
レイナが大切な話が有ると言うから、俺達は応接室に移動した。
「シン。 私達は私達だけで冒険者をしてみたいの」
「……続きを」
「確かに、シンと一緒なら安全で快適で余裕の有る冒険が出来るわ。
でも、それだと、私達の冒険者としての成長が無い様に感じたの」
「……分かった。 レイナ達が本気なら俺は拒むつもりは無いが」
「無いが?」
「俺のクランには入っておけよ。 それと……」
「それと?」
「俺も、とある貴族からの依頼で半年間拘束されるから、レイナ達も半年間、頑張ってみるか?」
「……良いの?」
「そう言っただろ」
「……ありがとう、シン」
「ありがとう、シン」
「それなら、半年間と言わず、1年間頑張るわ!」
この後、思い立ったが吉日って事で、冒険者ギルドに行き、レイナ達3人が新チームとなり、俺のクランに加入した。
名前は「星屑の薔薇」となった。
かなり厨ニな名前だが、本人達が気に入っているのだから仕方ない。
冒険者ギルドを後にした俺達は、レイナ達が冒険の旅に出る際に必要な道具等を買いに行った。
その途中に俺は「倉庫」から出したバッグをレイナに渡した。
「そのバッグは、マジックバッグで、容量はかなり大きいからな」
「そんな高額な魔道具なんて受け取れないわよ」
「大丈夫だ。 まだまだ余分が有るからな」
「……マジックバッグが余分が有ると言える程、持っているなんて。
やっぱり、シンはシンね」
「おい!」
「呆れているけど、一応は褒めているのよ」
「それなら、一応は余計だ」
「余計じゃないわ。 事実よ。
でも、ありがとう」
そう言いながらも、レイナは笑顔でマジックバッグを受け取った。
買い物も終わり、レイナ達はアールスバイド大公邸に先に戻った。
俺は、ローリエル嬢の従者になる依頼を受ける事を伝える為に、ラーガリア伯爵邸に向かった。
ラーガリア伯爵邸に到着すると、ちょうど出掛けるみたいで、ローリエル嬢の従者になる依頼を受ける事を伝えた。
「それは良かった。 また明日の午前8時以降に来てくれ」
「分かった」
俺もアールスバイド大公邸に帰ると、帰っていたカーライザスに伝えた。
「分かりました。 末娘も通うので半年間とはいえ、同じ学園内にシンさんが居るのは心強いです」
「まあ、俺が無理でもダンモン達も居るしな」
「そうでしたね」
……と、いう訳でカーライザスからも許可を得る事が出来た。
翌日、レイナ達は自立するべく、拠点となる宿屋を探しに屋敷を出た。
「1年後の私達の成長に驚きなさいよ!」
「ああ、期待しているからな」
昨日の夕食後に、しっかりと話し合ったからレイナからのドヤ顔発言だけで充分だ。
……そして俺も、ラーガリア伯爵邸に向かった。
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