……当分は遠慮します
足長おじさんっぽい事。
声を掛けてきたのはカーライザスの第2夫人であるマリディアだった。
「ちょっとした切っ掛けで、食事を一緒にする栄誉を得たから、細やかながらドレスとアクセサリーを贈ったんだ」
「そうですの。 とてもお似合いですわね。
それで、何処の御令嬢ですの?」
「以前、話したアカリだよ」
「……ああ! シン様が森で救けたという」
「そうだ」
「は、初めまして。 アカリです」
「アカリさん。 ゆっくりと過ごしてくださいな。
歓迎しますわ」
そう言って一礼した後、マリディアは去った。
「シンさん。 今の方は?」
「アールスバイド大公の第2夫人のマリディアだ」
「……え!?」
「大丈夫だ。 歓迎するって言ってただろ?」
「う、うん」
「だから、心配するな」
「分かりました、シンさん」
この後、適当な部屋に入ってメイドに助けて貰いながら、アカリは自分の服に着替えた。
そして、ドレス等は俺が預かった。
勿論、専用の木箱に入れたし、アクセサリーと下着類は洗浄を掛けてから、それぞれを別の袋に入れてから木箱の中に入れた。
そして、俺も冒険者の格好に戻して、一緒にアカリの家に向かった。
「美味しかったか?」
「美味しかったけど、食べ辛かった…かな」
「確かに、フォークとナイフで食べるのは食べ辛いよな」
「……大変だね、貴族様も」
「そうかもな」
雑談しながら暫く歩いていると、アカリの家に到着した。
「ただいま、お母さんにお姉ちゃん」
「お帰りなさい、アカリ」
「お帰り、アカリ」
「はい、お土産! お持ち帰りを包んで貰ったの」
「「ありがとうございます」」
「あのね、お母さん。 最初にね……」
「じゃあ……」
「あ、シンさん。 今日はありがとうございました」
「また、食べような」
「……当分は遠慮します」
「あははは! またな」
「はい! またなです!」
こうして俺は、アカリの家を後にした。
1人で、のんびり帰っていると、とある貴族令嬢との約束を思い出した。
「そういえば、あの時に王都に来たら顔を出せって言っていたな」
そんな訳で、アウトに近い時間帯だが、先触れ代わりに会える日を聞いておこうと、今回もソフィアに教えて貰った貴族街の家名付き地図を思い出しながら向かった。
「止まれ! 此処はラーガリア伯爵様の屋敷だ!」
「俺は冒険者のシンだ。 以前、ラーガリア伯爵様の御令嬢ローリエル様と御縁が有り、俺が王都に来た際には面会の許可を得ている。
都合の良い日をお伺いに来たので、取り次ぎか都合の良い日を教えて欲しい」
「……少し待っていろ」
問答無用で、去れと言われないだけマシだなって思っていると、約20分で屋敷に向かった門番が帰って来た。
「お会いしても良いとの、お達しだ」
「良いのか?」
思わず、聞き返してしまった。
「ラーガリア伯爵様が良いと言っておられる」
「分かった」
「玄関まで案内する」
「ああ」
門番に玄関まで案内され、到着するとノックをして言った。
「冒険者シンを連れて参りました」
門番が、そう言うと玄関の扉が開く。
「こちらの方が?」
「そうだ」
「ご苦労さまです」
「それでは失礼します」
そう言って門番は持ち場に帰った。
「ようこそ、冒険者シン様。 私は、執事のメルガでございます」
「冒険者のシンだ」
「ローリエルお嬢様よりお話を聞いております。
お部屋にご案内いたします」
そう言われて中に入ったのだが、執事のメルガの後ろにはメイドが4人控えていた。
……護衛も出来るメイドさんかな?
何故、分かるかというとだな、暗器を使うのが得意な転生魔王が居たんだよ。
かなり辛酸を飲まされたお陰で、そっち系が何となく分かる様になった。
時間だけは有ったから、色々とやり込んだ訳だ。
そんな事を考えていると、とある部屋の扉の前で止まると、その扉を開ける。
「此方の部屋でお待ちください」
「分かった」
俺は、呼吸をする様に部屋の配置等を確認すると下座のソファーに座る。
4人の内、1人が残って紅茶を淹れてくれた。
「……美味いな」
「ありがとうございます」
ラーガリア伯爵は、良い意味で意識が高い貴族みたいだな。
メイドの彼女が、どんな生い立ちや過去が有るか分からないが、こんなに美味い紅茶を淹られるのだからな。
廊下の方で気配がした。
「待たせたな。 この屋敷の主ラーガリア伯爵だ」
部屋に入り、ソファーの上座に座ると自己紹介されたが、やはり当主のラーガリア伯爵みたいだ。
後、当然の付属だが、執事のメルガも入ってきた。
「初めまして。 冒険者のシンだ」
「娘のローリエルから話は聞いている。
危ない所を救けてくれて感謝している」
「救ける事が出来て良かったよ」
「それでも、感謝をきちんとしないとな」
そう言うと、ラーガリア伯爵の斜め後ろに立っていた執事のメルガが、懐から小袋を出して俺の前に置いた。
置いた時の硬質な音で、多分口止め料込みのお礼金だろう。
「少ないが、大金貨4枚入っている」
「有り難く頂戴する」
俺は中身を確認してから「倉庫」に仕舞う。
「さて。 当時、どんな状況だった?」
「それは……」
俺は、当時の状況を話した。
「……なる程な」
「ローリエルお嬢様が、お話した内容と同じです」
罠的な意味を持った確認だったか。
きちんと答えたら本人で、ローリエル嬢と違う内容なら偽者って訳か。
「シン様。 実は……」
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